2006 11,06 18:38 |
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東大寺南大門。日本で一番大きな三門は、京都の知恩院だが、こっちの方が大きく感じるんだよなあ。やっぱり、運慶作の仁王像の圧倒的迫力によるところが大きいのだろうか。この風格には、本当に言葉も無い。 正倉院展と紅葉が重なるこの時期は、人でいっぱい。ゆっくり見られないけど、やっぱりここは多くの人に来てほしい。京都や奈良って、期待は裏切らないし、季節季節に違った表情で迎えてくれる。いつ訪れても何度訪れても飽きないなあ。 関西って、京都や奈良のように世界中のどんなテーマパークより素晴らしいものがあるのに、何でユニバーサル・スタジオみたいなものを輸入したんだろう。 東大寺大仏殿。世界最大の木造建築。だけど、創建当時の三分の一の大きさだというから驚かされる。 三月堂(法華堂)。東大寺に来て、大仏殿に入らないことはあっても、この三月堂に入らないことはない。ここは、僕にとっては1000年の時を超えることが できるタイムマシンのような場所だ。何度も来ているのに、来る度に発見がある。訪れた日の自分の心境によって、仏像の表情が変わって見える。外の天気、障 子や窓から漏れてくる陽の光の加減でまた違った空間ができあがる。僕の視点を移せば、映画のモンタージュのようにそこにある仏像がクローズアップで迫って くる。いながらにしてどこか違うところへ旅ができるそんな空間が、いつでもここで口を開けている。 外から見るとただの建物なのに、中に入ると別世界。恐ろしく美しい場所だ。 二月堂。今日は、ちょっと天気が悪いけど、奈良の街を見下ろす眺めが素晴らしい。目の前に大仏殿の屋根や興福寺の五重塔が見える。変わらないでいることが難しい日本で、変わらないものがここにある。 |
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2006 11,05 21:49 |
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正倉院展と並んで今回の旅のもう一つのメインイベント「興福寺 国宝特別公開2006」だ。中金堂や北円堂など4年や5年ぶりの内部公開となる。 も ともと興福寺には、東西の金堂の間に中金堂があった。金堂は、まさにお寺の中心。それが江戸時代の享保二年(1717)に焼失、その裏手に建てられた仮金 堂が現在の金堂になっている。この仮金堂は、文政二年(1819)の建造。中金堂より若干小規模で、仮というだけあって内部もそっけない。 本尊は、釈迦如来。江戸時代のもので5代目の本尊となる。 現在、中金堂を再建すべく基礎工事の真っ最中だ。 国宝館は、普段も公開されており、有名な写真の阿修羅像は、いつでも観られる。 今回の目玉は、「板彫十二神将展」の一挙展示。縦約1m、横約40cm、厚さ約3cmの檜板12枚に掘り込まれた平面の像で、小さな枠に魔法で押し込まれたようななんとも不思議な作品群だ。言葉で表現できない浮き出し感(立体感)が躍動的で素晴らしい。 等身大の法相六祖坐像も圧倒的迫力だった。まるでこれから動き出すかのよう・・・。 今回、個人的なクライマックスは、ここ北円堂。弥勒如来坐像は、運慶の作。代表作とも言われる傑作だ。 そ、そ、そして、ここには、やはり 運慶作の無著菩薩像がある。この像は、単体で過去の興福寺展で東京にも展示されたことがあったけど、やはりあるべき場所に立っているのを観られるのは至福 の喜びだ。角度によって様々な表情を見せるこの全てを達観したような眼差し、紛れもなく日本彫刻の傑作中の傑作の一つだ。 ここは、初層を覗き込む形で公開されていた。ここも中を見るのは、初めてだ。美しい三重の塔だが、内部には弁財天が安置されていた。とても可愛い小さな弁天様だった。 内部は、かなりはげていたが、千の如来が小さく描かれていた。天井も美しい模様だが、かなり色褪せていた。明治に復元された部分が緑と赤で美しい彩色だった。 こちらは、お馴染み猿沢の池からの興福寺五重塔。 京都は、だいぶ景観が乱れてきたが、奈良はいつきても1000年前と変わらない。(・・・と思う) いつまでも、この美しい姿で旅人を迎えてほしい。1000年を超えるシルエット、奈良には今でもそれがあるのだ。 |
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2006 11,05 20:55 |
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美術館というよりは、市役所の廊下みたいな展示室だったけど、なんとも市民ギャラリーみたいな手作りな雰囲気が良い感じ。 応挙と弟子の芦雪の作品を並べて展覧していた。芦雪の作品は、応挙のユーモラスで微笑ましい部分をより引き出した感じで面白い。 応挙と芦雪、どちらも鳥の絵が美しく素晴らしかった。最近、日本美術がとみに身体と心に染みてしまう。そういう年齢になったということか。まあ、子供の頃から爺臭いとは言われていたけど。 今回、もっともひきこまれたのは、応挙の「七難七福図巻(天災・人災)」。天災の中の人々とその後の人間による人間への残虐な行動を描いた絵巻で、その殺戮の様子がものすごくリアルで戦慄を覚えた。こういう絵も描いていたんだなあ。 この展覧会、前期と後期に分かれていて、ほとんど展示替えするというすごい展覧会。後期のものも観たいけど、もう今年は奈良へ来られないなあ。 |
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2006 11,04 21:58 |
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開館時間9時の30分前に博物館に着いたのだが、既に長蛇の列。博物館の前で二重三重にとぐろを巻き、さらに列は、博物館の裏手へ・・・。これ伸ばした ら、近鉄奈良駅まで行ってしまうのではと思われた。しかし、人は、あとからあとからどんどんやってくる。おまけに、団体ツアー参加者のバスが団体専用入り 口へ続々と集まる。 「入り口まで1時間です」と係員の声。開館時間を早めたのか、とりあえず30分くらいで館内に入れた。 しかし、人、人、人、人。もう、ものすごい大混雑。あれ、去年は、昼頃来て結構楽に観られたのになあ。あ、去年は、確か会社を休んで平日来たんだ。おまけに雨だったしね。 今年出品されているのものは、昨年に比べると地味だったなあ。豪華さや美しさでうっとりするようなものは、それほどなかったけど、渋く珍しいものはたくさんあった。 面白かったのは、古文書。戸籍とか貸し借りの記録とか、当時の生活を垣間見れるものが興味深かった。これが意外と読めちゃうのよね。1000年前の記録を読んで、いろんなものが見えてきて、面白かった。人間の営みって、基本的なところは何も進歩していないね。 上の写真とこの写真もそうだけど、先日の「ペルシャ展」での出品作と酷似している。まあ、シルクロードを渡ってきたものだから当たり前なんだけど、とても感慨深い。 展示の内容は、素晴らしいけど、この混雑では、来年はやっぱり会社を休んで平日に来ないとだめかなあ。 昼には、入館まで150分待ちになってた。そんなに並ぶのは、つらいねえ。 来週の会期最後の週末に行く予定の方は、博物館に情況を事前に確認した方がいいかもね。ちなみに、朝6時から並んでいた人がいたそうだ。 |
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2006 11,03 22:00 |
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大阪に来ている。いつものようにANAに乗って。 カメラとPCをつなぐケーブル、アダプターカード共に忘れてきてしまったので、写真がアップできない・・・。 明日は、奈良へ移動。正倉院展と興福寺の国宝特別公開に行く予定。早起きしなくちゃ。 あ、そうそう。今日、大阪の街を散歩してたら、ザ・ぼんちのおさむちゃんが赤ちゃんをあやしながら歩いてた。お孫さんなのかな。 写真は、勝鬘院・愛染堂の多宝塔。現存する大阪市最古の建造物だそうで、国の重要文化財。慶長二年(1597)豊臣秀吉により再建されたもので、もともとは推古天皇の時代まで遡る。 |
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2006 10,30 22:02 |
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銀座7丁目、一時期シャディがあった場所にモンブランの銀座本店が並木通りから移転してきた。エレベーターがシースルーでかつ万年筆の形をしているのが面白い。夜のネオンも落ち着いた渋い輝きでなかなか。 モンブランは、シンプルで好きなんだけど、宝飾系の万年筆は、ちょっと派手かなあ。でも、手帳とか財布の黒のレザーでモンブランのマークがワンポイントで付いているのは好き。 最近、やたらと建設ラッシュの銀座。エルメスの増床に続いて、11月3日には、グッチの銀座旗艦店舗がオープンする。ガラス張りでもう店内が見える。しかし、日本の老舗の街は、どんどん海外ブランドに侵食されているなあ。 |
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2006 10,29 23:04 |
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毎月行くことが恒例になりつつあるこの落語会。小さい会場ながら毎回、満席になるので、ちょっと窮屈なんだけど、皆さん良いお客さんばかりだから、楽しみに足を運んでいる。
金翔 「時そば」 古典の中の古典。落語の基本が満載の楽しい噺。最初の「今何時?」の面白さが良く伝わるともっと良かったと思う。初めてこの落語を聞く人がちょっとぽかーんとしていた印象あり。 駿之介 「」 ネタの名前分からず・・・。 え、この人、講談やるの?と一瞬疑ってしまうかぼそい声と内気な振る舞い。それが逆に可笑しくツボにはまった。流石に講談に入ると元気いっぱいになった。こういう変わった面白い人がいると講談ファンの裾野が広がるのだろうな。 金翔 「厩火事」 このネタは、傑作中の傑作。大好きな噺で、噺家さんがいなくてもそらんじてしまうことができるくらい頭の中に入っている。なので、いろいろと粗探しを自然としてしまって、いけない僕だなあ。 会の後、残ったお客さんを交えて、この登場人物の談義を始めてしまったが、それくらいこの噺は、人を引きつける魅力を持っている。 金 翔さんは、女性の描写が上手だ。ちょっと可愛く、ちょっと馬鹿っぽいおさきさんがよく表現されていた。噺の素晴らしさもあるけど、大いに観客を沸かせてい た。落語を聴いて楽しく笑っているお客さんの笑顔を見ているのは楽しい。僕のような天の邪鬼観客より、素直なお客さんを喜ばせるのが一番大事なことだ。 もっともっと稽古して金翔タッチを出してもらい、もっともっと聴かせて欲しいネタだ。 |
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2006 10,29 19:05 |
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映 画は、硫黄島での戦争より、すり鉢山で撮られた有名な写真に関わった人間のドラマに焦点があたっている。軍に利用され、英雄にまつりあげられ、戦後は忘れ 去れたように悲しい運命が待っている。戦地でのむごさより、政府やマスコミそして大衆のいい加減な思いに矛先を向ける。 むごい戦闘シーンは、悲惨だが、栗林の手記などを読む限りでは、実際は、もっともっと悲惨でひどいものだったのだろうと想像される。 役者の演技と演出が普通なので、写真に映っていたはずの死にゆく兵士への感情移入がそれほどできず、あまり映画に引きこまれないのが残念だ。 映画としては普通の出来だが、この映画は、観なければいけないと思う。硫黄島で何があったのか。そこで起こったことがどう利用されたのか。今を生きる人間に知ってほしいと思う。 丸ノ内ピカデリー1にて。 |
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2006 10,29 17:06 |
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街の掲示板に「復元された震災の記録~関東大震災映画フィルム~」というのが明石町の郷土資料館で上映中とあったので行ってみた。小さいながらも日本橋や 銀座の江戸、明治、大正、昭和の様々な展示があって面白かった。築地の郷土資料館より綺麗でお金がかかっている感じがした。築地ホテルのジオラマとかも見 入ってしまった。 「復元された震災の記録~関東大震災映画フィルム~」は、京都に西本願寺の映像班が復興援助もかねて記録したもの。当時の災害の悲惨さや復興支援活動の様子が映っていて興味深かった。 特に火事の熱から起こる竜巻のすさまじさ、皇居前ですら避難テントであふれている景色は異様だった。 京都や大阪などでの募金活動の様子も撮影されていたが、昔の日本ってこんなに美しかったのかと感慨深くなる。入館料100円。散歩の途中に入館してみては。 プラネタリウムも併設されている。こちらは入館料300円。未見なのでどの程度のものかは分からない。今度、見に来てみようかな。 タイムドーム明石(郷土天文館) 中央区明石町12番1号 中央区保健所等複合施設6階 月曜休館 |
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2006 10,28 22:08 |
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そ れでもカンザス州での冷たい映像とニューヨークでの華やかな上流社会でのカポーティの対比は、良く出来ており、またホフマンの演技は噂に違わず圧倒的だ。 脇のキャサリン・キーナー(老けてて最後のクレジット見るまで分からなかったよ)と大好きなクリス・クーパーの演技も素晴らしい。クーパーのシーンが少な くてこれもちょっと残念だった。 カポーティとダンフィーの描写が曖昧だったけど、「冷血」を書くにいたった真意は、何だったのかは非常に興味深い。 単に名声を得るためだったのか、本当に自分自身を殺人犯に投影したのか、映画は、強烈な答えを出さないが、離乳食を与えるシーンやその後のカポーティの執筆状態からも伺えることができる。 ホフマン、キーナー、クーパーの演技に酔いしれながら、良くできた脚本、人生の陰と陽を見事に表現した楽しめる一作。栗4つ。 日比谷シャンテ・シネ2にて。
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