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2010 12,01 22:00 |
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旅から帰ってきた三四郎だが、強さ故の辛さに苦悩する日々。そこに登場するのが、車屋の少年。過去の自分を投影させているが、この辺りが分かるようで、二番煎じのようで・・・。また、異種格闘もちょっとおちゃらけていて、まあ三四郎の賞金の扱い方などコミカルで面白いけど・・・。 見所は、荒れて道場で酒を飲む三四郎に、怒りもせず酒徳利で足技をしてみせる矢野正五郎の描写。師匠の器の大きさを示すすごい場面だ。 かつての宿敵檜垣源之助を人力車で送る三四郎、そこに現れる小夜、ここでの源之助の台詞が決まっている。 今回の敵は、檜垣源之助の弟たち。兄貴の敵を討とうとするのだが、月形龍之介が源之助と次男の二役を演じているところと、三男の源三郎のキャラ設定に能の動きを取り入れて不気味で独特の雰囲気を出しており、これが最後の最後まで狂気じみていて怖い。 ラストの決闘場面は、雪中で裸足と過酷だが、前作の圧倒的映像美と比べるとかなり見劣りする。 しかし、この作品は、その後、山小屋でのこれまた緊張感あふれる静かな戦いがあり、その場面が興味深い。 そして最後の三四郎の満面の笑みは、すべてを達観し、これまでの苦悩を吹き飛ばし、次なる人生に進みだした一人の男の未来を台詞のない表情だけで示した素敵なものである。この藤田を笑顔を観るだけでも、この映画を観る価値があるね。 栗3つ。 どうせ一作目は超えられない、じゃあ好き勝手気に実験しちゃおうって姿勢が随所にあって楽しい。 京橋・フィルムセンターにて。
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2010 11,28 20:54 |
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大好きな談幸師匠の独演会。なんと今回は、地元中央区。わーい、近ーい。
それにしても、社会教育会館と落語って、結びつかないなあ。でも、最近、ここで開かれる落語会増えているんだよねえ。 松幸 「雑徘」
最近、アドリブが入る余裕がでてきたんだねえ。楽しい高座だった。 吉幸 「目黒のさんま」 爆笑のまくらは、以前たまごの会で聴いたものだけど、やっぱり可笑しい。 「目黒のさんま」もこの秋の聞き納めかな。 談幸 「富久」 この噺は、好きなんだよねえ。人生の盛衰が凝縮されている良い噺だよなあ。とてもお手本にしたくない人間のタイプである主人公の幇間だけど、これって誰しもが持つ人間の弱さと身勝手さを反映しているよなあ。 富札が燃えてしまっているのに食い入るあたりの描写は、もう素晴らしく、久さんにいらいらしちゃうほど。 身勝手な主人公をとりまく周りの人の優しい気持ちがなんとも素敵だよねえ。 コント青年団 コント 社会派コント。こういうのは、生の舞台じゃないと難しいだろうな。テレビだとクレームが来そう。(笑) トロツキーとか久しぶりに聞いたよ。東洋館とかに出ているのかなあ? 談幸 「薮入り」 談幸師匠の「薮入り」は、もう何度も聴いているけど、これ五代目円楽師匠に稽古してもらったものなんだって。 子供を思う親父さんの風邪をひいた時の場面が秀逸で涙が出そうになるね。 あ、そうそう、今日は、会場が人形町ということもあり着物で出かけたよ。東京の中では、和服が似合う町のひとつだと思うけど、やっぱりそれでも随分近代的になってしまったよなあ。 帰りに自分の会社のビルが見え、ちょっと興ざめ。(笑) |
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2010 11,26 23:51 |
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2010 11,21 21:55 |
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東大寺大仏展に行ってきた。もちろん大仏様は、来てないよ。来てたら、びっくりだけどね。(笑) それでも大仏に関連する宝物がたくさん来ていた。あわせて正倉院の宝物もちょっぴり。 このところ東京国立博物館の展示方法は、とっても凝っていて、特にハイビジョンを活用した映像の展示などビジュアルに力を入れている。細かい文様やデザインのアップの表示に、ハイビジョンのスクリーンをうまく活用している。 今回の目玉は、国宝の八角燈籠を展示しているところか。もって来ちゃったのねえ、こんなすごいもの。持ってくりゃいいってもんじゃないと思うのよねえ。あるべきところにずっとある方がいいものもあるんだと思うのよ。これ、この展示期間中、奈良の東大寺に行った人はがっかりだろうねえ。 しかし、大仏殿の前で見た八角燈籠は、それほど大きい感じがしなかったんだけど、室内に展示されているとまあ大きいこと大きいこと・・・。何度も見ているのに、こんなに大きかったんだねえ。 そして、バーチャル・リアリティーを活用した展示。実物大の大仏と、細かい意匠が大スクリーンに拡大されて観ることができる。最近、こういうものにもお金をかけえ作っているよなあ。 凝っているけど、ペイしているのかちょっと心配になる。博物館の企画展示の終始決算ってどうなっているのかねえ。 もちろん、奈良まで行った方がいいに決まっているんだけど、趣向を凝らした展示方法は、なかなかだった。 特別展「東大寺大仏―天平の至宝―」 東京国立博物館・平成館 ~12月12日(日)まで |
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2010 11,20 21:33 |
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まさに黒澤映画の集大成、魂を揺さぶるヒューマニズムの傑作中の傑作だ。 三船の存在感は、圧倒的。全てが素晴らしく、彼以外の配役は考えられないほど。物語は、新入りの医者役の加山雄三の視点で展開していくが、群像劇さながら、多くの登場人物の生き様が織り込まれている。どれも悲惨で、切なく、絶望的ながら、その中にささやかな幸せと生きる希望が垣間見える。 そして、それぞれが強烈な印象を残す俳優陣の演技と演技とぶつかりあいに驚愕する。 過酷の環境の中、それでも生きている人間がいる。「どん底」がとことん希望がないなか、この「赤ひげ」では、人間の優しさと強さの連鎖が他の人々への支えになっている。 途中、何度も鳥肌が立ち、涙腺が切れそうになる。 最初反発している若者が成長していく様が描かれるが、その真っ当な物語展開はあまりに直球だが、心の底からの感動を与えてくれる。 映画を観て、魂が揺さぶられる、そんな数少ない体験をさせてくれる映画史上に残る傑作だ。 栗5つ。なにもかもが完璧。栗10個くらいあげたい。 京橋・フィルムセンターにて。
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2010 11,16 23:29 |
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二つ目の会だった火曜会。メンバーが徐々に真打になっていき、今日は、二人とも真打の会に。
今日も超満員。知っている顔もたくさんいて、とってもいい雰囲気だった。 龍玉 「ぞろぞろ」 若いのに、この人のジジイとババアは、味があって好き。 三之助 「お見立て」 正直まだしっくりこないなあ。三之助の実力から言って、まだまだ。 三之助 「浮世床」 これは二つ目時代から何度も観ている。三之助の「浮世床」は、面白い。すっとぼけた男がなんともいい。観劇の場面も茶屋の場面も何度見ても面白い。 まくらのベトナムの話は、面白かった。ベトナムでわざとiPhone無くした話は聞けなかったけど・・・。 龍玉 「駒長」 前にも思ったけど、これはとってもこの人で味が出る噺だ。それほど湿っぽくならず、あっけらかーんとした展開がとってもいい。それでいて、男と女の言葉ではいい表せない感情が良く出たいい噺だ。 |
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2010 11,14 21:31 |
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タイトル通り、まさに人生の底辺、どん底にある江戸の崖下の長屋が舞台。およそ人が住むところと思えぬほどみすぼらしく汚い長屋からカメラはほとんど出ない。もともとが戯曲だから当たり前だが、映画というよりは演劇的色彩が強く、実際40日間のリハーサルを経て撮影されている。 夢も希望もなく、救いようもない絶望的な毎日の中で、それでもなんとか生き抜く市井の人々の描写がものすごい。まるで本当に登場人物そのものになりきっていて、切なくもあり、悲しくもある。されど、悲惨な生活の中でも、博打や歌や踊りに明け暮れる時の人々の表情の明るさに、生きるとは何だろうと考えさせられる。 ここでも山田五十鈴の悪女ぶりは圧巻で、ぶったまげる。 最後にはきっと何か救いがあるのではという観客の想いは、裏切られ、絶望的な最後が待っている。 ラストのどんちゃん騒ぎの後の最高の台詞が印象深い。 絶望的でどん底の人生、それでも生きている人間。生きるとは何ぞやと答の出ぬ問いかけに、映画的表現で応じたものすごい傑作。栗5つ。 京橋・フィルムセンターにて。
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2010 11,14 21:29 |
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そして、こういう特集上映の時は、やっぱりかかさず観にいってしまう。映画は、テレビの画面ではやっぱり物足りない。 この作品は、シェイクスピアの『マクベス』を戦国時代に置き換えたもの。脚本には、 小国英雄、橋本忍、菊島隆三、黒澤明と日本映画の神様的存在の名前が連なる。 三船敏郎の存在感は言わずもがなだが、圧巻は、山田五十鈴だ。彼女の動きには、能の技法が取り入れられ、暗闇から現れる不気味な演出は、背筋がぞっとするほど強烈な印象を残す。 森を疾走する馬に乗った武士、不気味なもののけ、効果的に使われた靄や霧と映像表現にもハッとさせられる。 もののけの予言に振り回されながらも、忠義や信頼をかなぐり捨て、自分の欲望と野望のままに滅び行く人間の悲しい生き様が凄まじい。天下を取ろうとする武将の影で、不気味に男を操る女の恐ろしさも強烈だ。 そして語り草にもなっている有名なラストの弓矢のシーンの迫力たるや、キューブリックの「シャイニング」も真っ青になる。 栗5つ。久しぶりに観てもやっぱりすごい。
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2010 11,10 23:21 |
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このところ仕事が忙しかったのと休日に予定が合わなくて、今回のお披露目には全く行けず。披露目の千秋楽にやっと伺えたよ。
小春日和のいい陽気だったので、着物を着て出かけた。 一力 「子ほめ」 開演は13時だけど、前座は12時45分に上がるので、会場は入ってくる人でざわざわ。やりにくいやねえ。でもめげずに明るく元気でお上手。 才紫 「黄金の大黒」 笛吹き童子の才紫さんは、お披露目では引っ張りだこ。 なんかいつも着物がピンクな印象。間抜けな長屋の連中のやりとりが可笑しい。 馬石 「元犬」 前半はしょってたけど、後半じっくり。 紫文 粋曲 お馴染み。だけど笑っちゃう。 伯楽 「猫の皿」 なんかお久しぶりに拝見。飄々とした風情。 相変らず仲入りに本を売ってたよ。(笑) 金馬 「七五三」 この噺は、初めてあたった。ラッキー。 口上 馬石・伯楽・龍玉・雲助・金馬・小三治 口上は、やっぱりいいねえ。大先輩の熱い言葉に胸がきゅん。 あした順子 漫談 ひろしさんがいないステージも、もう随分長くなっちゃったけど大丈夫なのかしら? それでも楽しく力強い。 雲助 「粗忽の釘」 いつもより不思議と凛として見えた。そして、やっぱりこの師匠はすごい。 アサダ二世 奇術 こちらもお馴染み。 龍玉 「夢金」 力強く、観客を冬の江戸時代へ引き込む。 冷たい描写と飄々としたサゲが秀逸だった。 |
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2010 11,08 23:32 |
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久しぶりの研精会。日本橋公会堂だと会社から徒歩数分なので本当に助かるわあ。日本橋劇場という名前も付いているホールだけど、近隣でその名で呼ぶ者は、皆無。昔から日本橋公会堂という方が通りがいい。
今日は、全体的に皆、早口だったねえ。志ん吉さんへの時間確保のため? 辰じん 「たらちね」 いろんな人がここを巣立って行き、そして次なる希望の星が辰じんだ。これほど観るのが楽しみな前座は、章五以来だね。いや、本当にこれから楽しみ。辰じんが前座なら、研精会に遅刻しないでがんばろうって思うよ。 夢吉 「寄合酒」 久しぶりに夢吉さんを観たよ。なんか太ったねえ。 楽しい高座。鬼ごっごの場面が秀逸。 小駒 「辰巳の辻占」 着物が渋くて素敵だった。 こみち 「死神」 以前、らくごカフェで聴いた時よりも格段に不気味な老婆の死神が秀逸だった。ダークなテイストの中に笑いを散りばめ、全体的な構成も素晴らしい。 ちょっと言い間違いが多かったのだけが残念。でも、これ今後、ものすごくこみちさんの中で聴きものになるね。本当に老婆が現れたような表情の変化が素晴らしい。 一之輔 「化物使い」 NHK新人演芸大賞受賞した一之輔さんだけど、正直受賞するのは当たり前過ぎて、それで持って今さら遅すぎた感すらあり。 高座は、もはや圧倒的。圧巻だ。 淀みない台詞の応酬、会場を爆笑の渦へ導くその手腕は、まさに至芸。 目線やその動きで家屋や内部のその空間までもが伝わってくる。本当に化物たちが目の前にいるような錯覚すら覚えた。 されど、今後まだまだすごくなっていくんだろうな。 志ん吉 「鮑のし」 前半、さすがに緊張していたのか、ちょっと表情が硬かったけど、立派に高座を勤めたなあ。 前座から二つ目になっただけで、いきなり変わるなんてことはないことは分かっているんだけど、今日の志ん吉さんは、大きく見えたな。トリの出番というのは、不思議な緊張感とパワーを持っているんだろう。 |
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