2006 10,28 19:08 |
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デ・パルマらしい回転ショットは健在なるも、それ以外に観客を酔わしてくれる映像が無い。「殺しのドレス」や「キャリー」で魅せてくれたうっとりするような映像美は、微塵もないのだ。 また、一見何でもない分断されたエピソードが最後に怒濤のごとく一つになっていくデ・パルマお得意の手法も総崩れ。最後まで散漫なまま。「ボディ・ダブル」のあの鮮やかなトリックを知っている観客が観たら拍子抜けもいいところだ。 役者もいま一つ。「殺しのドレス」のどうしようもなくエロティックな残酷さは見ることもできない。 ヒラリー・スワンクの母親役のあの大根演技は何?ひどすぎる。おまけに、ヒラリー・スワンクは、エロくない。 アーロン・エッカードが襲われるビルのシーンだけ、昔のデ・パルマの香りが漂っていた。 キャスティングが失敗なのか、そもそも脚本がダメなのか、なんともお粗末な作品だ。 デ・パルマの大ファンなので、かなりがっかり。次回作に期待。栗一つ。 日比谷スカラ座にて。 |
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2006 10,27 23:10 |
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今日は、六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで開催されている「クリーブランド美術館展」へ行ってきた。 今回、協賛しているアメリカン・エキスプレス主催のプライベート・ビューイングに当選したのだ。美術館閉館後、なんと40人だけに美術館が開放され、ゆっくりと絵を鑑賞することができた。 まずは、六本木ヒルズの森タワー51階にあるクラブのthe star barで美術館が閉館するまでカクテル・アワー。シャンパンを飲みながらフィンガー・フードを食べ、夜景を眺めていた。 美術館が閉館後、森アーツセンターギャラリーへ移動。 最初に、森アーツセンターギャラリーの学芸員の方より、各展示室のハイライトの絵の解説を聞きながら館内を案内された。やっぱり絵の描かれた背景や意味などを聞くと感慨深く、また様々な角度から絵を鑑賞できる。 その後、ゆっくりと絵を自由に鑑賞。美術館には、たった40人の客。全ての絵をゆっくり、じっくり、たっぷり鑑賞できた。なんて、贅沢な時間と空間なんだろう。 今回、各画家の初期の作品の多くが展示されており、所謂この作家のタッチとは違う作品がたくさんあった。「え、これがモネ? これがモディリアニ?」と思わず声をあげてしまった。 中 でも、モネが生涯自分の側に置き手放さなかった「赤いスカーフ、モネ夫人の肖像」には感動した。雪の世界に赤いスカーフ、部屋の中にいる画家と外の雪の中 に赤いスカーフでいる妻カミーユ。そのカミーユが今、まさに窓の外を通り過ぎようとしている。この2年後に妻カミーユは死んでしまう。それを予言している ような、なんとも切ない妻の表情に心打たれた。 他にも、瞳が描かれたモディリアニの作品や初期のルノワールの美しい少女など、今まで観たことがない貴重な作品ばかりだ。有名で派手な作品は、なかったけど、初めて観る魅力的な絵に感激しちゃった。 なんと、出口で今回の展覧会のカタログをプレゼントしてくれた。嬉しい! その後、なんと展望台も無料で入れた。夜の六本木ヒルズの展望台は、初めて。ちょっと曇ってたけど、綺麗だった。 なんとも贅沢でゴージャスな時間と空間を味わえた夜だった。 |
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2006 10,22 22:13 |
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桃井かおりと映画初出演の武田鉄矢が成長していく過程が見事で、高倉健演ずる男とのふれあいを描くたった3日間の物語だ。 さえない武田と泣き虫でちょっと癖のある女桃井が最高の面白さを見せる前半の喜劇は、とても楽しく、何度観ても大笑いしてしまう。 一 転、後半、高倉健が刑務所から出所したばかりだとわかり独白から回想シーンへ向かうが、その切なさはたまらない。高倉の「この女しかいない。初めて会って そう思ってから、口をきくまでに半年もかかってなあ」の名台詞のシーンは、もう鳥肌もの。高倉健が最高の演技を見せる。 刑務所での別れのシーン、倍賞千恵子の台詞「あんたって勝手な人だねえ」も涙無くしては観られない。 それにしてもこの映画の高倉健は、最高にかっこいい。不器用で、自分勝手な男を見事に演じている。桃井も武田も最高の演技で、当時の若者像を見事に表している。 結末が分かっているのに、どうしてこんなにもワクワクしてドキドキして、大笑いして、切なさにほろっとしてしまうのだろう。何度観ても、泣けちゃう。涙が止まらない。 脚本は、まるで映画のお手本のよう・・・。魅力的な登場人物、その全ての背景が丁寧に書けている。台詞も素晴らしく、回想シーンのフラッシュバックの挿入もいい。高倉と倍賞の物語に武田と桃井の物語がだんだんと交差していく設定も本当に見事だ。 誰もが結末を知っているこの映画。なのに何度観ても笑って、泣いてしまう。涙といっしょに身体の中の邪悪なものが全て洗い流される。 栗5つ。満点。映画の素晴らしさを満喫できる! ユナイテッドシネマ豊洲にて。
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2006 10,21 22:14 |
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ヴィスコンティの愛人でもあったヘルムート・バーガーが美しい。美貌と権力、これって怖いものなしだよなあ。真実の愛を得られず芸術に陶酔し、孤独から狂気の沙汰へと墜ちていくなんとも言えない表情のバーガーの演技は最高だ。 それにもまして、ロミー・シュナイダーの存在感。もう圧倒的。圧巻。こんなにすごい人なのに、それほど代表作がないのよねえ。私生活での不幸ばかりが目立って、華やかなスターであったこそ、一層悲壮感にひたってしまう。 有名な白鳥のいる池のゴンドラのシーンの照明とバーガーの狂気の表情、雨の中の逮捕突入シーン、美術作品越しのカメラアングル、またまた雨の中の松明のラストシーンの美しさたるや、もうメロメロ。 豪華な衣装、豪華な音楽、豪華なキャスト、何の不自由もないはずの人たちの孤独と喪失感がひしひしと伝わってくる。 これが映画というものだ。栗5つ。新宿テアトルタイムズスクエアにて。 これってオリジナルは、何語なんだろう。声がアフレコぽかったなあ。クレジットの最後にイタリア版の声優っていうのが出てたけど・・・。確かに、台詞と口の動きがあってなかったような・・・。
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2006 10,21 19:14 |
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展示されているのを観た時、最初意外だったけど、やっぱりなるほど納得だったのが、植田正治の写真だ。絵でなく写真というのが、ハッとしたのと、なるほど自画像のシークエンスがそっくりだった。 藤田嗣治の絵も1枚あった。なんと、彼の他の展示予定作品の2点は、この後巡回される名古屋と松江には展示されるらしく、東京では展示無し。こういうのも面白いねえ。 よくよく見ると、ルソーの絵ってちょっと下手くそなんだけど、この平面で奥行きがなくて立体感がなく、だけど不思議な色使いとプリミティブなジャングルの奇妙な植物の描写に魅了されてしまう。とにかく不思議な魅力のある画家だ。 世田谷美術館の常設展も観てきた。 感動したのは、高峰秀子の肖像画。高峰本人が世田谷美術館に寄贈したもの。なんと描いたのは、梅原龍三郎。その度肝抜くタッチ、デコちゃんのなんとも言えない表情をとらえた絵の前で動けなくなってしまった。梅原作のデコちゃん肖像画がたくさんあり、これってこの美術館の宝だと思う。素晴らしい。 |
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2006 10,18 22:16 |
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談幸師匠の落語会。会の名の通り、あまり寄席ではかからないネタを中心に演じられる。この会でしか聴いたことがない噺が多く、毎回とても楽しみだ。今回のネタは、比較的メジャーだが、ちょっと違うんだなこれが。
それにしても、談幸師匠の落語が流れるこの空間、なんて素晴らしいのだろう。今回は、ネタのせいもあるけど、ゆったりとまったりと、それでいて決めるところは電光石火のごとくズバッと決まる。なんとも贅沢で幸せな時間を満喫できるのだ。 松幸 「寄合酒」
談幸師匠の高座を見る度、これが本当の落語なんだなあって思う。微笑ましい寄合。与太郎が利口に見えた(笑)。 吉幸 「幇間腹」 この人、真打と言われても違和感ないよなあ。時間の関係かちょっと早口だったけど、逆にスピード感があって、たたみかける台詞も軽快で、それでいて表情の変化も素早く切り替わり、なんとも素晴らしい。 ブラ房さん時代からファンだったけど、談幸師匠の弟子になったおかげで以前よりたくさん拝見できて嬉しい。 談幸 「甲府ぃ」 談志師匠の古希を祝うため、談志師匠の独演会の後にサプライズの余興をしたというまくらが大爆笑。 「甲府ぃ」は、大好きな噺。優しさ溢れる温かい噺に、談幸師匠の人柄がそのままにじみ出るようで、聴いていて幸せな気分になれる。味わい深い、本当に良い噺だ。 談幸 「三人旅」(通し) 何度か聴いたことがある「三人旅」だが、もともとはこんな長い噺だったのね。通しで聴いたのは、初めてで、またその初めてのパートがとても面白かった。まあ、確かに長い噺だ。いったいこの噺、どこまで続くのか今夜中に終わらないのではと思ったくらい。(笑) 談 幸師匠の「三人旅」、楽しかったなあ。本当に三人と旅をしているようで、目の前で起こる珍道中に大爆笑。江戸時代の徒歩の旅を満喫した。今は、あっという 間に目的地に着いて、そこから旅が始まるけど、昔は、目的地までの道中も楽しかったんだなあ。知るはずもない江戸時代の旅、落語ってタイムスリップできる のよね。 |
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2006 10,17 23:02 |
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2006 10,17 21:06 |
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佐竹商店街は、上野の商店街だ。でも、広小路や上野駅周辺の喧噪とは、ちょっと離れたところにある。明治、江戸へと歴史を遡れる由緒ある商店街なのだ。 大量輸送機関から離れたところにあるので、このところちょっと寂しいかなと思っていたら、最近、真下につくばエキスプレスの新御徒町駅ができ、また利便性もよくなった。 でも、そんなことはどこ吹く風。この商店街は、なんとも言えない昭和の風情に溢れている。 それでも昼間は、ちょっと寂しいな。 布団屋さん。ショーウインドー?が素敵! 商店街があるって本当に散歩が楽しい。あ、もちろん買い物もね。 扉を開ければ、そこは昭和。素敵な喫茶店。 うーん、やっぱり昼間は寂しいなあ。きっと皆さん、夕方買い物に来るのね。 上野に来たら、ちょっと足を伸ばしてみたらどうだろう。 |
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2006 10,15 23:11 |
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貴族って見かけの豪華さと気品とは裏腹に普通の人以上にエロで愚か。この主人公の男、全然共感できない。女性像は、みな理解できるけど、この男はねえ・・・。まあ、狙いは、分からないでもないけどね。 自分は、浮気し放題なのに、妻の浮気には嫉妬し、悲劇に向かう男の話。 人を愛さないのに自分だけは、愛されたい。そんな人間の身勝手さは、痛切に絢爛豪華な映像美の中に表現されている。 「家族の肖像」もそうだったけど、気づくと、孤独な自分がいる。でも、あんな結末になるかなあ? どうもこの主人公の男の行動が理解できず、いまいち感情移入できない。 ただヴィスコンティの映画の中では、すごく取っつきやすい。 もと、アイマックスシアターだった劇場の大画面に、裸体、性器、裸体がデーンとくるのは、すごいなあ。(笑) 映画館は、ほぼ満席。観客の8割は、50代以上。年配には、今も圧倒的な人気だ。 ヴィスコンティの映画としては、分かりやすいけど、ちょっと物足りなさも感じる。 栗3つ。 新宿テアトルタイムズスクエアにて。
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2006 10,15 21:14 |
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旧帝国図書館建築100周年記念展示会を観に国際子ども図書館へ。ここのラウンジで開かれていたのだが、うん、確かに展示会だった。展覧会ではない。まあ、無料だし、この建物自体が一つの作品だしな。ま、無料だし・・・。 ここは、ついこの間まで国会図書館の上野分室で、今は、国際子ども図書館になり、リニューアルされて、お洒落なカフェなんかも併設されている。免震構造でゴム菅の上に載っているハイテクな建築に生まれ変わった。 も ともとは、明治に帝国図書館として、東洋一の規模で企画されたもの。しかし、当初の3分の一のサイズになった。それでも、重厚な石造りの外観には、うっと り。館内は、かなり綺麗になってしまって、古き時代の雰囲気に浸るには、かなり想像力がいるが、レトロな階段や窓、高い天井には、思わず溜息。 上野の美術館に来たら、ぜひ散歩コースに入れてほしい。子供と一緒なら、たくさんの児童書があって楽しめる。 旧帝国図書館建築100周年記念展示会 国際子ども図書館 12月17日まで(その後、永田町の現・国会図書館で開催) 現在、館内のミュージアムでは、北欧からのおくりもの展も開催中。素敵な絵本がたくさん展示されている。こちらも無料。 テレビゲームなんかしないで、絵本を読むようなお子様がいいね。 |
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