2008 01,27 15:15 |
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素晴らしいのは、前半の中心人物であるアショカとアシケだ。二人ともとても印象的な演技でしみじみとした余韻を残す。一方、子供たちを演じる役者は、それほど魅力的でない。 映画も全体を通して観るとどこに焦点があたっているのか分からず、物語は散漫だ。 それでも、ある家族の何でもない一生をしみじみと描き、切なくもちょっと幸せな気分にさせてくれる。とりわけ根底にインドの文化や宗教が流れていながらもアメリカという土地に染まっていく若者たちが興味深い。 ちょっと散漫な印象で、名前にちなむエピソードが拍子抜けだが、家族や人生について考えさせられた。なんとも言えない味わいのある余韻を残す。 栗4つ。 日比谷シャンテシネ3にて。 |
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2008 01,26 23:16 |
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これは、とても良い映画。
オーソドックスな作りだが、原作がいいのだろう。大人になってから忘れてしまった何かを気づかせてくれる。 森の中の秘密の場所、子供の頃は持っていたなあ。イマジネーションの世界は、大好きなのだ。 音楽の授業のシーンが秀逸。歌われる曲も素敵だ。 心がすがすがしくなる。 テレビゲームや漫画ばかりが原作の昨今の邦画に欠けているものが、この映画にはあるなあ。文字が持つ力、文字から広がるイマジネーション、それがやはり一番素晴らしい。 栗4つ。 ユナイテッドシネマ豊洲スクリーン11にて。
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2008 01,26 20:17 |
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吉永小百合は、素晴らしく魅力的なるも、過去の山田洋次監督作品と比べるとがっかりするくらい平凡な出来。
視点は違うが同じ主題の黒澤の 「わが青春に悔なし」と比べてしまうとあまりにお粗末。まあ、母親に焦点があたっているのでしょうがないが、映画というより、原作者の思い出話を聞いてい るようで、それもやはり戦後間もない頃の映画と比べてしまうと観客を引き込むだけの力がないなあ。 黒澤、成瀬、木下など、戦時中の抑圧から解放されて、ここぞとばかりに芸術をものすごいパワーで炸裂させた戦後の作品を観ているので、この「母べえ」では何の感慨もないなあ。ああ、そうですかって感じ。 意外や印象的な演技を見せる鶴瓶だが、とってつけたようなエピソードはそのまま無くなっても何の違和感もない。 映像表現も陳腐だし、ストーリーの展開も予定調和、これが山田洋次監督作かと思うと、ただただ残念なばかりだ。 山田洋次は、大好きな監督なだけに、消化不良気味。 されど、吉永小百合は、素晴らしい。吉永小百合の演技を観るだけの映画だ。 野上照代は、黒澤の仕事を見ているはずなのに、この程度ですか? 栗3つ。 ユナイテッドシネマ豊洲スクリーン10にて。 |
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2008 01,25 23:18 |
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今夜の「誰でもピカソ」、聴き惚れました。素敵すぎます、ちあきなおみ。
子供の頃から大好きで(<-どんな子供だ)、CDも、紅白の録画も持っています。しかし、大人になってから改めて聴くと、なんとも心に染みる歌声。映像で見るとその演劇的表現力に圧倒されました。歌を一曲聴いたというより、舞台を一つ観たような感覚です。 共通しているのは、メロディもさることながらどの楽曲も詞が素晴らしいということです。昔の歌は、良かったねえ。そして、本物の歌、本物の歌手とは、ここまで違うものなのですねえ。 個人的に大好きな「かなしみ模様」、「花吹雪」、「さだめ川」なんかを生で聴きたいですねえ。 なんか、お酒が飲みたくなりました。酔いしれて、ちょっと泣いて、そして眠りにつきたいです。 ああ、今度は、フランク永井を特集してくれないかなあ。 |
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2008 01,20 21:19 |
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マイミクゆみこさんがお席亭の落語会。回を重ねるごとにお客さんが増えてきている。そろそろ日本橋亭では窮屈だなあ。毎回、楽しい企画があり、メンバー 揃ってのおしゃべりもすごく面白い。今回は、メンバー間でネタ教え、教わって高座にかけようというもの。誰が誰に教えるかは、くじで決めたそう。
菊志ん 「だくだく」 明るく元気ある高座。テンポもよく、楽しい。先日、好二郎さんのを聴いたばかりなので、比較しながら聴いたが、やはり菊志んの落語になっている。すごい。 鯉朝 「祇園祭」 苦しいというかひどい出来。そもそも噺をちゃんと覚えていない。思い出し、思い出しで冷や冷やした。ネタが完全に自分の中に入っていない。他のメンバーが全員、きちんとネタを覚えてきているのに、あまりにプロ意識に欠ける。笑いをとっていた部分も本筋に関係ないアドリブだ。 江戸っ子は全然粋でなくメリハリもなく気性も穏やか、一方京都人もただただ気味が悪いだけ。江戸っ子と京都人の対比がこの噺の見せ所なのにまるでダメ。一言で言えば、どちらもただただ気持ち悪い。 この人に、古典は無理なのだろう。ペコちゃんとホテトルをやり続けるしかないのか。 まあ、今回の中で一番難しい噺だが、あまりにひどい、がっかり。 好二郎 「公家でおじゃる」 この人は、何をやらせても上手い。自分とは異質ネタと言いながらも完全に自分のものにしている。きちんとネタで笑わせており、鯉朝とは大違いだ。噺を自分流に料理して、客に披露している。 丈二 「江戸の荒物」 こちらも出来としては、ちょっと怪しいが、関東人が関西人を演じ、その関西人が江戸弁を話すという難しさのネタ振りが功を奏し、そうした前提の上で別の笑いが生まれた。 関西人の走り方に場内大爆笑。 里光 「よるのてんやもの」 関西弁バージョンで。この人も自分らしくネタを料理していた。 |
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2008 01,20 17:21 |
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「甘い生活」は、一応ストーリーがあるので寝ることはないのだが、それでも昔は、ちょっと寝た。 しかし、改めて観てみると、上流階級の話とは言え、この性と金の退廃した日常は、あまりに人間的で、お前もこうだろうと胸に突きつけられるようだ。中身があるようで無い台詞は、こんなの思いつくのが不思議と思うくらいだ。 空飛ぶキリスト像、トレビの泉での戯れ、完全な配置の部屋での役者の位置、打ち上げられる不思議な魚など印象的なシーンが次々に現れる。溺愛する子供を殺して自殺する友人、父親と久しぶりに再会する夜のクラブのシーンも忘れがたい。 とんでもない絵空事、だけどあまりに現実的。とんでもなく他人事、でももしかしたら明日は我が身。 栗4つ。 早稲田松竹にて。 |
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2008 01,20 15:23 |
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2008 01,20 12:26 |
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伊勢物語は、受験の時に何段かかじった程度だけど、今回、展示されている場面は、結構知っているものも多くて懐かしかった。 し かし、よくよく考えてみると、『源氏物語』もそうだけど、恋愛小説というか、好色ものだよねえ。思いを和歌なんかに託すからちょっと風流だけど、好きに なったから誘拐したりとか、覗き見するとか、妹と契りを結びたくなるとか、時々変態入っているよねえ。まあ、それがあまりに人間的だけど・・・。 古来から変わらぬ人間の営み。それだから、今も惹かれてしまうのだろうな。重要文化財の「伊勢物語絵巻」は、2月5日からの公開らしく、それから混むのだろうなあ。 |
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2008 01,19 21:28 |
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室内や夜の映像はレンブラント、草原の映像はアンドリュー・ワイエスの絵画を思わせ美しい。オーソドックスだが、久しぶりの重厚な映像にわくわくする。 憧憬から憎しみへ、虚栄と自尊、うつろい易い世間の感情などドラマとしての要素は、僕好み。 ちょっと残念なのは、それぞれの登場人物の描き方があまり掘り下げられていないこと。大好きなサム・シェパードもちょっとしか出てこないのも寂しい。 しかし、最近のアメリカ映画の中では、なかなか見ごたえあったなあ。 キーとなるのは、ジェシーよりボブなんだけど、ミスキャストかなあ? 栗4つ。 ユナイテッド・シネマ豊洲 スクリーン6にて。 |
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2008 01,19 15:29 |
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