2008 07,21 21:53 |
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登場人物は、皆明るく楽しいのだが、どこかで孤独と寂しさを感じている。 正体不明で自己のアイデンティティーと友達を探すチェブラーシカ。ミカン箱に紛れ、間違って果物屋に運ばれ、動物園に連れて行かれるが、正体不明だからと入園を断られる。そんなチェブに孤独な動物園のワニが「友達募集」の貼り紙を・・・。 自 己と友達を探す人形アニメ。チェブの可愛らしさは言わずもがなだが、いじわる婆さんもいい味を出している。全編を通して貫かれているのは、友達を探す姿 だ。正体不明だから友達を探す、孤独だから友達を探す、人に意地悪をすることで友達を探す、それぞれの登場人物はユーモラスだが、心の底に孤独と寂寥感が あるのが切ない。 挿入歌の「誕生日の歌」もとても心に染みる。 栗4つ。また観たい。何度でも観たい。 シネマ・イクスピアリ スクリーン2にて。 映画館のロビーにいたチェブラーシカ。
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2008 07,21 20:56 |
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さて、いよいよ大銀座落語会のオーラスだ。フェニックスホールへ向かう途中、仕事を終えた金也師匠、三之助さん、小駒さんの一行で出っくわす。金也師匠に「金時兄さんの会だね」と言われ、うっ、図星・・・。
ホールのロビーでは、ばったり金時師匠に遭遇。「何かリクエストある?」と聞かれたのだけど、とっさのことだったので「何でもいいですよー」って答えちゃった。でも、リクエストしておけば良かった。おかげで、今日は、死神デーに・・・。(笑) 金翔 「初天神」 素晴らしい出来だった。親父、子供、奥さん、どれもキャラクター設定がよく出来ていて、またよく演じ分けられていた。台詞、言い回し、何気ない細かいしぐさまでとてもよく表現されていて、洗練された芸になっていた。 何度も聴いたことある噺なのに、笑っちゃったなあ。楽しかった。 金兵衛 「冨士詣り」 この人は、ゆったりとした不思議な色気がある。艶のある噺は、とてもあうね。 金時 「死神」 というわけで本日二度目の「死神」。とりつかれたか?(笑) 金時師匠の「死神」は、以前も拝聴したことがあるが、ダークなテイストの中にあるそこはことない可笑しさ。今日のまじないは、「アジャラカモクレン紙パルプ」(笑) 冒頭、死のうとする主人公の表情には鬼気迫るものがあり、赤く滲んだ眼に涙もたまる。いきなりどうしてこんな表情ができるのか本当に不思議。 細かい描写はないけど、どことなく渋みのある死神は、時に優しく、時に恐ろしい。まるで一本の映画を観ているようで、幕切れと同時に重みのある余韻が残る。 |
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2008 07,21 19:58 |
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本当は、何も予定が入っていなかった最終日の大銀座落語祭だったけど、マイミク花菊さんが、今日のチケットの前から二列目余っているというので、飛びつい ちゃった。結局、4日連続、銀座で落語。これも今年で終わるとなると寂しいねえ。なにせ、家から近い銀座は、とにかく楽だもの。
たま 「時うどん」 めくりが出て会場がどよめく。前座さんが出てくるかと思いきや、笑福亭たまが登場。誰が師匠か直ぐ分かる怒涛のパワー落語だ。 笑いに徹し、派手なオーバーアクションは、僕の嗜好とは違うのだが、こうしたものもたまには楽しい。ただ、この人を独演会でずっと観たいとは思わないなあ。観ていて疲れそう・・・。 好二郎 「一分茶番」 笑った。こういうネタは、好二郎の真骨頂だ。権助のモノローグも、舞台に出てからの展開も最高に可笑しい。 全楽 「新聞記事」 なんとなーくやりにくそうだったなあ。客層が違う気がした。本人も「アウェイな感じ」と言っていたけど。 好二郎 「死神」 ダークなテイストは大分抑えられ、笑いの要素が多く、どちらかというと明るい「死神」だった。サゲも初めて聴くものだった。繰り返されるシチュエーションで終わるのは、なるほど面白いサゲではあるが、死神が人間をからかっているようなふうにも感じられ、そうなると落語というより映画的なラストシーンだね。 |
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2008 07,20 22:00 |
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銀座小劇場は、初めて入った。銀座にこんなアングラ劇場があったのねえ。演劇界のシネパトスだ。(笑)
最前列で見やすかったけど、パイプ椅子みたいなもので、お尻が痛かった。 ぽっぽ 「転失気」 口調が講談ぽかったけど、明るく楽しい前座さんだ。 朝太 「粗忽の釘」 まくら30分ほど話していたかなあ。入門のきっかけや、志ん朝師匠との思い出など、前にも聞いたことあるエピソードもあったけど、楽しく、そしてしみじみ聞けた。 朝太さんの「粗忽の釘」は、何度も聴いているけど、毎度笑ってしまう。大工の八の表情が素晴らしい。「男はつらいよ」の寅さんみたいだなあ朝太さんは・・・。憎めないキャラクターだ。 朝太&ゆたか 住吉踊りから「越後獅子」 ゆたかさんいわく「来月の住吉踊りを一足お先に皆様にお届け、ではなくて稽古の時間ないのでここでしちゃう・・・」だった。(笑) それにしても踊っている朝太さん楽しそう。満面の笑み。 8月の住吉、楽しみだなあ。もう夏の風物詩。 笑組 漫才 時間がたっぷりあるというこで、こちらも入門までのエピソードから・・・。(笑) それにしても、かずおさん、大丈夫?ってくらいの太りよう。トーキングヘッズのデヴィッド・バーンかと思ったよ、ダブダブの背広。かずおさんが着ててもまだダブダブの背広、どんだけ巨大なんだろう。まだ太るつもりであんなに大きいの仕立てたのかな? かずおさんの動きと独特のツッコミが可笑しい。笑った。 朝太 「火焔太鼓」 古今亭のお家芸だからね、それを受け継ぐのは朝太だよって感じで行ってほしいねえ。楽しいし、表情はいいし、明るい高座だ。本当にこういう憎めないキャラクターは、彼の真骨頂だねえ。喜劇役者をやってほしいくらい。満喫した。 |
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2008 07,20 15:02 |
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2008 07,19 22:03 |
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会場に着くとロビーにチナマルさんとぱんださんが・・・。噂をしているところに僕が現れたそうで、驚いていた。まして、一番僕がいそうもないこの会だし・・・。
18時開演で終演が21時50分。たっぷりだった。2回も休憩があったので、その間、チナマルさん、お久しぶりのぱんださんとお話できて良かったよ。 「深海獣レイゴー」(★☆☆☆☆)
ごめんちゃい。個人的には、とても鑑賞に堪えうる作品ではなかった。笑いどころは満載である。それは、良く知った芸人たちがところどころに出てくるからで、落語ファン以外の人が観たらこれ面白いんだろうか? 怪獣映画ファンの人が観たら面白いんだろうか? 疑問。 戦争で死にゆく者の悲哀はまるでないし、ドラマも見所は皆無。だいたい、主役の杉浦太陽は、滑舌が悪いし演技もド下手で、何もかもが台無し。 一方、芸達者ぶりを見せる螢雪次朗は素晴らしい。この人の起用は大成功。本当の主役は、彼だね。映画の硬軟すべて決めるところを決めていたのは彼だけだ。役者やのお。シリアス、コメディ、エロティック、すべてが螢雪次朗の独壇場。 ゲスト出演っぽい黒部進は、演技が重厚すぎて浮いている。 あとは、落語的な視点の興味しかない。ちょっとメタボの三之助がどんなふうに死ぬか、雲助、はん治、一朝の名脇演技などなど。いい味出していたのが時松だ。坊主頭にロイド眼鏡をかけたその風貌は、出演者陣の中で一番その時代の人っぽかった。時松、「ラストエンペラー」の溥儀役も似合うかも・・・。 知っている噺家を探す以外に取り立てて面白いものはない。映画的には栗ゼロだけど、螢雪次朗が素晴らしかったので栗1つ。 あとは裏でみうらじゅんでもそそのかして、第ニの「シベ超」にしてもらうしかないね。 お粗末さま。まあ、でも落語好きなら観て損はない。それなりに楽しめる。映画ファンには薦められない。怪獣映画ファンには、どうなのだろう?意見を聞いてみたい。 後半は、新作落語の会。新作落語は、古典として残っている落語と比べると明らかに人間の普遍性が欠如している。ああ、そんな人いるねで終わっている。そこがつらいところだ。 というわけでネタの題名はほぼ分からない。 遊方 ジミー大西みたいな風貌だった。免許を取って初めての彼女とのドライブというネタ。テレビのお笑い芸人となんらかわらぬネタ。こんなの落語にして何が面白いんだろう? しん平 その後の仮面ライダー1号の物語。学芸会の余興のよう。つまらなかった。 福笑 ネタはつまらないけど、高座は面白い。ドタバタ・スラップスティック・スプラッターな感じ。破天荒で個性がありパワーがある。落語としての確固たる基盤があるからなせる業なのだろう。ただネタは、誰でも考え付きそうで、いまいち。 あやめ 女性がおっさん化しているというネタ。面白いけど、これって落語? これじゃまるで友近じゃん。飲み屋で酔っ払っている近所のおもろいおばさんという感じ。お笑い芸人としては最高に面白いが、寂しい女の独り言みたいな高座は、噺家である必要がない。3人の女性の会話で進められるが、その3人が全く演じ分けられていない。いっそのこと三重人格の精神分裂女でしたってサゲの方が笑えたのに・・・。 彦いち 「熱血怪談部」 彦いち師匠は、ちょっと違う。新作でありがながら、登場人物の作りこみが良くできていて、また素晴らしく演じ分けられている。お化けや幽霊の困った描写は、なんとも可笑しい。 人間の普遍性とまで行かないが、他の新作と違い「そんな人いるね」ではなく、「その行動、分かる」がある。明るく華がある高座は、魅力的だ。 しかし、この噺、サゲはもうちょっと工夫がほしいところ。 |
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2008 07,18 22:06 |
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A列の1番だった。僕が最初にこのチケットを買ったのかなあ?
ラクゴリラは、お江戸日本橋亭に何度が行っているけど、やはり上方の噺家なので、そう頻繁には聴けないので、まず飛びついちゃった。 タイトルが、日本上陸。「今までも日本でやっていたんですけどねえ」とまくらで・・・。(笑) 歌ぶと 「権助魚」 前座さんは、落語協会の歌ぶとさんだった。この人は、上手。基本はかなり出来上がっている。 つく枝 「平の蔭(手紙無筆)」 パワー炸裂。本当に楽しい。骨格は同じだけど細部は、江戸ものと結構違っていて楽しめた。くすぐりも最高に可笑しい。表情もいいし、テンポ良くぐいぐい惹きこまれた。幸せな気分になれる楽しい高座。 生喬 「質屋芝居」 これも面白かったなあ。もう芸達者というほかはないね。鳴り物とのかけあいも絶妙だった。また表情、表現ともに素晴らしく、すごいものを観せてくれるなあ。あまりの可笑しさと楽しさに、もうずっと終わらないでと思ったほどだ。 こごろう 「青菜」 これも江戸版との違いが如実に出ていた。前半、ゆったりと涼しい風が流れる江戸ものと違って、前半から暑苦しくギャグ満載。お屋敷にいるうちから品のない小話の連発は、ちょっとどうかと思った。全編を通して暑苦しく、ギャグと笑いが満載だが、風流と風情のギャップがある江戸版「青菜」の方が僕は好きだな。 花丸 「幸助餅」 一転、こちらはグッときてしまった。落語には珍しく、馬鹿馬鹿しくないいい話。 |
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2008 07,14 22:09 |
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マイミクで会社の同僚のChebさんが先日、「怪談噺というのを聴いてみたいわ」って言っていたので、そう言えば今度金時師匠の会は、牡丹灯籠だということで、お誘いして行ってきた。
金時師匠に予約していたのに、予約が通ってなく・・・。もう確認のメールももらっていたのにぃ。でも受付に師匠の奥様がいらしたので前売り料金になったよ。良かった。 正太郎 「桃太郎」 今日の前座さん。初めて拝見した。あら、すごくお上手。子供が憎たらしいのに可愛い。 金翔 「ちりとてちん」 これは、2年前のネタ卸の時に聴いた。ある意味、季節感のある噺だねえ。(笑)今の時期にぴったり。嫌味な男が良かったねえ。吐きそうなところは、こちらも思わず、顔がこわばる。 時松 「五目講釈」 ぼそぼそ講釈するところ笑った。そこはかとない可笑しさあり。 ぺぺ桜井 ギター漫談 もう何十回と同じネタを聴いているのに、やっぱり笑ってしまう。 不思議な魅力。 金時 「愛宕山」 明るく楽しい高座。崖の上へ戻るために竹を曲げるところ、本当に竹が見えるようだった。パントマイムみたい。 金時 「牡丹灯籠-お露新三郎~お札はがし」 今日は、このために最前列にかぶりつき。やっぱり表情も楽しみたいからね。 それほど陰気にならず、ちょっとユーモア交じりに演じていた。それでも、お米が豹変するところは怖いねえ。 この噺の幽霊は、恨めしいでなく、愛しくて出てくる。また幽霊なのに、カランコロンと下駄の音、当時は斬新だったんだろうなあ。 この前段の「刀屋」は、たまに聴くことがあるけど、「お札はがし」の後の噺は、なかなか聴く機会がないんだよねえ。金時師匠、せっかくだから、今度通しでやってみてね。 |
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2008 07,13 22:21 |
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展示替えもあるで、あと1回は行かないとダメかなあ?「風塵雷神」は、8月11日からの展示だった。 有名どころが一堂に会すまたとない機会ではあるが、意外と個人的には、前にも見たことある作品がチラホラ。でもそういう再会も嬉しいもの・・・。 円空と木喰の展示スペースは、独特なプリミティブな雰囲気があって良かった。 それから、やっぱり若冲は良かったなあ。鶏は言わずもがななのだけど、「石灯籠図屏風」は近くで見ると点の集まり、でも遠くから見るとまるで本物の風景のようだった。構図はどれもハッとするほど素晴らしい。 一方の蕭白は余白が少なく、描き込み過ぎで五月蝿い感じがした。僕は苦手だなあ。 仁清、乾山の器は、どちらも色彩鮮やかで見とれてしまった。 鉄斎の「妙義山・瀞八丁図屏風」は、日本なのに大陸的な情景が広がり、大観の「雲中富士図屏風」には、やはり圧倒された。 とても全部触れられないけど、展示作品が全部すごいという展覧会は、そうないのでは・・・。 もう1回は、必ず行くとして、暇があればあと数回通いたいほどの展覧会だ。 |
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2008 07,13 22:20 |
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死にゆく運命の死刑囚を日々監視する刑務官。いつかは自分たちの手で刑を執行しなければならない囚人と、刑務官はなるべく人間的つながり持たないようにする。されど死刑囚は、この世で最後の人間的なつながりを刑務官にすがろうとする。 新人刑務官は、明るく仕事に前向きだが、ベテラン刑務官になるほど口数が少なく、無感情だ。死刑囚と刑務官との日常がまず興味深い。 小林薫の起用は、他に考えられないほど素晴らしい。小林は、感情はおろか人間性さえも殺してしまった刑務官を最高の演技で見せる。 この映画では、小林演じる主人公が三度人を抱きしめるシーンがある。一つは、まさに死にゆく死刑囚、それから再婚相手の女、そして再婚相手の連れ子。小林薫のこの三様の抱きしめ方が感動的だ。 新聞の評論に、「死刑制度への立場を明確にしていない」とあったが、そんなのこの映画の真髄ではない。人間が死ぬ一方で、とある家族が再生していく、なんとも悲しく拮抗する相容れない主人公の感情に目頭が熱くなる。 ラストシーン、人間性を取り戻す小林薫の笑顔が忘れられない。 栗4つ。 有楽町スバル座にて。 |
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