2008 10,12 19:18 |
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7年前にボストンに行った時、真っ先にボストン美術館へ行ったのだけど、日本美術室は想像以上に狭く、展示している作品数も思わず「たったこれっぽち?」と叫んでしまう程度だった。ものすごい量のコレクションを持っているのに、普段展示しているのは雀の涙程度なのね。 という訳で、こういう展覧会の方がたくさん観られる。 今回の目当ては、歌川国政。歌舞伎役者を真横から、太い線と直線を多用して小さい絵なのに度迫力だ。それでいて細かい点も工夫があり、写楽より強烈な印象を残す。でも、これを含めて4枚しか展示されていなかったけど・・・。 他にも北斎、広重、写楽、春信、清長、国貞、国芳など、超有名画家の超有名作品のオンパレード。特に珍しい初刷りのものも多く展示されていた。 見応えたっぷり。もっともっと観たいと思った。 ボストン美術館 浮世絵名品展 ~11月30日(日) 江戸東京博物館 |
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2008 10,11 18:21 |
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案の定、今週の激務の疲れで昼まで寝てしまう。だらだらとしながらも、たまっている美術展の前売り券とにらめっこ、今日は、美術展をニつはしごしたかったけど、あきらめて一つだけに。
夕方、上野の国立西洋美術館で開催されている「ヴィルヘルム・ハンマースホイ展」へ。 全体的にグレーで、明るい色は使われていない。誰もいない部屋か、後姿の人物、またはこちらを向いていても視線はどこか他にあり、まるで鑑賞者に見られることを気にも留めぬような画家の姿勢が伺える。 しかし、後姿の人物がここまで雄弁な絵があっただろうか。誰もいない部屋も、それは誰もいないようで、実は、扉が開いており、その向こうにまた開 いた扉があったり、光があったりと、さっきまで誰かがいた部屋の一瞬の不在のように思えた。モノトーンで統一された部屋にさす光の美しさ、吸い込まれそう な静かな美しさがある。繰り返し描かれる、愛用の調度品の数々がまた素晴らしい。 光を無視した不思議な影、一本または二本足りない脚の椅子やピアノがまた不思議な世界を醸しだしている。 美しい、とにかく美しい。静謐な美しさに息をのむ。 個人的に、これは今年の西洋美術のベスト展覧会かも。 とにかく美しい。会期中、また訪れたくなった。 |
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2008 10,08 17:22 |
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2008 10,05 21:24 |
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2008 10,05 20:25 |
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2008 10,04 23:26 |
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しかし、有名な序段の文章は、美しすぎる。「平家物語」と同じくらい、この「方丈記」には、美しい日本語のリズムと表現に溢れている。 地震、飢饉、遷都により荒れる都の表現は、一級のルポルタージュのようで、苦しむ人間の姿、腐り朽ち果ててゆく数万の民衆、路上で横たわる腐乱死体の無残な日常が強烈に脳裏に焼き付き目の前に見えてくるようだ。 そんな時代だったからかもしれないが、余計に彼の”人の世の無常”がひしひしと伝わる。見えてくるのは、そんな時代でも自分が可愛く、立身出世のために自己矛盾を正当化する人間の営みだ。 とにもかくにも至上の美しさを誇る名文に酔いしれた。 |
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2008 10,04 20:28 |
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京橋のギャラリーで開催されている個展を訪ねました。加藤雄太展-記憶と時間を巡って-という展覧会です。 加藤さんの個展に足を運ぶのは三回目。プライベートのブログが同じプロバイダーだった縁で何度もコメントをしあったりしていましたが、二年前に彼の個展に初めて伺いました。 僕も美術は好きなので、行く度に美術談義で話し込んでしまいます。今日も1時間ほどいましたかしら? 彼の絵には、共通のモチーフがあります。空と丘とその上に建つ家です。初めて伺った時は、その3つのモチーフは、明確な線で別れており、それぞれ が独立したものでした。二回目に伺った時は、それが揺らぎ始め、景色として見ていたものが、まるで脳みそのどこかにある心象風景のように思えました。岩絵 の具を使った色使いも深遠な世界を構築していました。 三回目の今日、モチーフは過去のものと同じながら、揺らいでいた風景は、今度は、互いに滲み始め、絵によっては、空と丘と家の区別ができないばか りか、それぞれが違ったもののようにも見えました。家は池に落ちて滲んだ月のよう、丘も中心に集約され別の何かになろうとしているようでした。 彼自身好きだと言っているマーク・ロスコをふと思いおこします。キャンバスに岩絵の具で描かれているのに、和紙に滲む墨のような独特な空間が広がっていました。 自身の心の中にある湖面に映った景色のような、彼の絵には不思議な魅力があります。同じモチーフだけど、見る度に変化しています。次に会う時には、どんな絵になっているのか楽しみです。 |
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2008 10,04 13:29 |
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豊洲のららぽーと内にある浮世絵美術館。美術館と呼ぶには、おこがましいほど小さい。小さなギャラリーといった風情だ。
しかし、一歩館内に入ると、ショッピング・センターの喧騒はかき消され、静かな別空間が広がっている。 僕が入った時も、僕を入れてお客さんが3人ほどだった。観る側としては、ゆっくり観れていいけど、ここが潰れないか心配になるほど。 今回は、隅田川の景色を描いた浮世絵展。どこも知っている地名、行ったことがある所ばかりなのに、同じ場所とは思えない。こんな美しい世界がここ東京にあったのかと、毎度毎度信じられない。 当時の古地図も飾られていた。吉原の周りが田圃だらけ。落語「唐茄子屋政談」を思い出した。 「隅田川の四季」展 平木浮世絵美術館 UKIYO-e TOKYO |
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2008 10,01 17:31 |
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だいたいにおいて、こやつの上から目線の一方的な思想は好かんのだ。何様のつもりなんだろう。 当時のいろんな風物詩が分かるのは興味深いし、落語のようにサゲがある小話は、なかなか面白いのだけど・・・。 とにかくそれほど関心しないこやつの思想には、なんかつまらん人間だなあと思う。 「方丈記」の鴨長明は、確かに、ちょっと負け犬の遠吠え的な色合いもあるのだけど、彼の自己を見つめる姿勢と文章表現の美しさは、やっぱり素晴らしい。 鴨長明の文章は美しいが、兼好法師は文章が下手だ。 扱う題材は、短い「方丈記」に比べると多岐に渡るが、別段心に残るものはないなあ。「枕草子」の視点の方が遥かに楽しい。 過大評価されすぎの書物だと思う。 |
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2008 09,29 22:33 |
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