2005 11,20 23:30 |
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落語の名作「文七元結」がプログラムにあったので、出かけてみた。いつものようにネットで席を予約。現歌舞伎座で、なるべく多く歌舞伎を観ておきたい。 息子 幕が開くとはらはら雪が舞うステージの真ん中にの番小屋が一つ。あとは、一面の雪の世界。暗闇に浮かぶ白い舞台は、美しかった。山内薫が、スコットランドの劇作家ハロルド・チャピンの一幕物を翻案したもので、9年ぶりに会う父と子の姿が描かれるが、父親が気づかない設定になっている。自分の子なら9年くらい離れていても分かるはずだと、当時正宗白鳥が揶揄したらしいが、これは、父親は気づいていながら気づかぬ振りをしていたと解釈する方が正しいのだろう。ハッピーエンドが多い歌舞伎の中で、なんとも切ない余韻を残し、短いながらもとてもいい舞台だった。現代劇の映画では、最低の演技の染五郎が、一応歌舞伎は、できることが分かった。 一谷嫩軍記 熊谷陣屋 これ、今回の拾い物、とっても良かった。平家物語で有名な敦盛の最期、実は、違った背景と結末があったという設定なのだが、こちらの方が、主人公熊谷直実が出家する理由に納得が行く。 それにしても、武士の世界とは、つらく厳しいものだ。主君のためには、我が子(それも世継ぎ)を殺すという忠義は、正直理解し難いものがある。されど、古来からのこうした日本人の美意識は、歌舞伎のかっこうの題材なのだろう。 熊谷直実の仁左衛門、相模の雀右衛門の心理表現が見所だ。 雨の五郎/うかれ坊主 どちらも舞。歌舞伎にあまり詳しくないので、しゃべらないと誰だか分からない。五郎時致は、吉右衛門だった。超有名・・・。 うかれ坊主は、富十郎だったけど、藤山寛美にしか見えなかった。(笑) 人情噺文七元結 三遊亭円朝の傑作落語が原作。落語では、何度も聴いているこの噺が、歌舞伎では、どうなるのだろうと思い、興味津々だった。主人公左官長兵衛には、松本幸四郎。これまた、超有名だ。 どちらかというと喜劇的側面の方がクローズアップされていた。吾妻橋のシーンは、大川端になっていて、吉原の店が角海老になっていた。文七が主人に打ち明けるシーンは、まるまる無かった。 楽しく拝見できたが、正直落語の方が面白い。舞台に再現された世界は、僕の想像力には、勝っていない。落語だと泣いてしまうのに、歌舞伎だと笑ってしまう。 ただ、舞台としては、よくまとまっていたと思う。 今日は、掛け声の上手い人と下手な人がいた。下手な人は、止めてほしい。調子が崩れる。 銀座・歌舞伎座にて。 |
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