2006 12,09 22:49 |
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井原西鶴の「好色一代女」を映画化した溝口絶頂期の作品群の一つ。前半の京都の景色は、いつもながらうっとりするような溝口的映像美だ。
当 時の身分制度の中での悲しい女の一生を追うが、溝口の手腕というよりも、原作の西鶴の人間を見る冷静な視点に圧倒される。波瀾万丈な人生の浮き沈みは、男 と女の違いを見せつける。この時代、女が一人で生きていくことは無理だった。悲しく、残酷で、切ないが、それが今と比べてどうこうということではなくて、 その時代の人間の生き方だったのである。蔑みと体裁ばかり気にする人間の虚栄心は、いつの時代も変わらぬものなのか。 落ちぶれた主人公が自分の息子に偶然遭遇するサイレント・シーンは、とても印象的だ。また、田中絹代の存在感は、日本映画史上もっとも圧倒的な女優だろう。 栗4つ。 国立近代フィルムセンターにて。
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