2006 12,09 22:48 |
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この映画を作った映画人には、敬意を表したい。この本当に小さな島で60年前に何があったのか、それを知ることは非常に意味がある。栗林という人間が、確かにいたということも・・・。
ただ映画の出来はというと、硫黄島関連の文献やドキュメンタリーと比べると薄っぺらい。まず、洞窟だが、文献では、ものすごい温度と硫黄の臭いで、あんなに涼しい顔で兵士たちが会話をしていたとは信じがたい。中村師童演じるステレオタイプ的な日本軍人の配置が、今までの戦争映画と変わっていない。 戦争シーンや、若い兵士が死んでいく場面も、例えば今井正の「海軍特別少年兵」などの昔の日本映画と比べてしまうと、全然人間が描けてない。 栗林の手紙のシーンもアメリカにいた頃の話が中心で、あれでは彼の細やかな配慮と気遣いが浮かんでこない。梯 久美子の『散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道』を読んだ時以上の感慨と衝撃がこの映画には無い。 あの悲惨で残酷な硫黄島戦の片鱗を見ることができるが、栗林の人間像が描き切れていない。というか主役は、二宮演ずる少年兵だ。 中途半端な描き方をしているのは残念だが、やはりこの映画を作ったということに意味がある。 栗3つ。 丸ノ内ピカデリー1にて。 |
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