2007 04,21 23:59 |
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追悼特集 映画監督 今村昌平と黒木和雄が、近代フィルムセンターで開催中。この機会に、スクリーンで多くの作品を観たいものだ。
今 日は、今村作品で未見の「人間蒸発」へ。これ、フィアンセが失踪した女性と共にその足取りを追うドキュメンタリー・・・と思いきやいつの間にか観客は、虚 構の世界に引きずり込まれる。映画にもドキュメンタリーにも、恐ろしいまでのアンチテーゼをぶつけるものすごい傑作。今村昌平のものすごい才能に背筋が凍 りつく。 前半は、フィアンセが失踪した女性と共にその男の足取りを追う。男の家族、愛人、会社の同僚、取引先の社長、イタコなどに取材していくうちに登場しないその男の姿とフィアンセの知らない素顔が現れていく・・・。 後半、いつの間にか、失踪した男のことはさておき、取り残された女性とその姉との確執がクローズアップされる。現実と虚構を一瞬のうちに逆転させる今村の手法に脱帽する。(ここでは書かない) その後、これが現実なのか虚構なのか、分からないまま映画は進む。芥川龍之介の小説「藪の中」のように、ある人にとっての現実は、ある人の虚構、自分のことしか考えない人間の本性がまざまざと露わにされる。 40年前に、今村は既にこんなすごい仕事をしていたのか。現代の日本の映画人は、いったい何をしているのか・・・。 栗5つ。 京橋・フィルムセンターにて。
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