2007 05,01 23:55 |
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現在、フィルムセンターで開催中の追悼特集 「映画監督 今村昌平と黒木和雄」、今回は、黒木監督の作品を観に行く。されど、実は、黒木監督の映画というよりは、中島丈博の脚本の映画を観に行ったというのが正しい。
映 画を監督名で選ぶ人も多いだろうけど、実は、脚本家で選ぶことが楽しいのだ。中島丈博、好きなのだあ。「津軽じょんがら節」は圧倒的だったし、テレビドラ マでも「草燃える」、「かぐわしき日々の歌」もとても良かった。実は、トラック野郎も1本書いていて、その1本がこれまたすごく良くできている。 こ の作品、中島の自伝的作品と言われているが、ドラマ「かぐわしき日々の歌」ともども、田舎の青年が田舎でのしがらみを断ち切って東京へ旅立つまでが描かれ ている。おかしくて、悲しくて、おぞましくて、残酷で、楽しくて、優しくて、狂おしい、そんな人間の本性の全てが実は、市井の生活にあることを思い知らさ れる。何でもない日常が何ともドラマチックなのだ。 それにしても、出てくる人間は、どいつもこいつも自分のことしか考えず、本能のおもむ くままに生きている。愛することも、生きることも、あまりに人間的で嫌気がさすようだ。そんな中、江藤潤扮する主人公の自然な演技はとても良く、男なら容 易に感情移入ができるだろう。しかし、竹下景子の大根演技には、ちょっと興冷め。女性から見ると、この映画、ちょっと入りにくいかもねえ。まあ、母親役の あの気持ちは、ああいうものなのかなあとしみじみ・・・。 圧巻は、原田芳雄。すごすぎる。こんなすごい演技、昔はしていたのかと驚いた。ラストは、彼の独壇場。胸を打つラストシーンだ。 青春映画の秀作、アメリカに「ラストショー」あれば、日本に「祭りの準備」あり。なんとも心に染みる名作だ。 栗4つ。 京橋・近代フィルムセンターにて。
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