2007 05,20 12:38 |
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伏見へ来たのは、ここを訪れるためだった。ここは、伊藤若冲が草庵を結んでいたお寺だ。伏見稲荷大社から歩いてすぐのところにある。 幅は狭いけど長い階段が空へと続くアプローチが素敵。 どこか中国風情の赤い門を抜けると小さな本堂がある。 小さいながらも花が咲き乱れ、とても素敵な境内だ。 伊藤若冲の墓。 彼の墓は、相国寺にもある。 石峰寺の裏手の竹林の丘には、若冲が下絵を描いた五百羅漢の像がある。その丘への階段。またあの赤い門がある。緑の中の赤い門。別世界への入り口だ。 風にそよぐ竹林、揺らぐ陽の光、鶯の声が飛び、鳥が木をつつき虫の居場所を確かめている。そんな森の中のあちらこちらに筍が生えているいかのように、にょきにょきと若冲の描いた羅漢たちが佇んでいる。 見ているのは僕なのに、僕が見られているような錯覚。 羅漢像は、だいぶ風化が進んではいるが、そのさまざまな表情はみてとれる。なんとも優しい眼差しだ。 誰もいない竹林の中、どれほどここにいただろうか。訪れる人も少なく、羅漢と僕だけの時間が流れていた。何百年と居座っている石たちは、無言だけど雄弁だ。語りかけられているようで、とても不思議な時間だった。 自分のいる世界とは違う所にいたような気がした。 |
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