2007 07,27 23:50 |
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フィルムの保存状態がかなり悪かったが、この作品をスクリーンで観られることに感謝! もうそれだけで泣けてくる。
アルトマンの群像劇の 最高峰と言っても過言でない。たった数日間に、多くの登場人物が交差する。すごいのは、登場人物の過去や現在そして未来に対して何の説明もないのだが、そ れぞれ少ない出演シーンの台詞や仕草でその人物の過去や性格、抱えている悩みや野望、悲しみを観客にそれぞれ想像させるところだ。とにかく役者の一挙手一 投足に人生が現れている。カレン・ブラックが花を受け取らないところとか、病室でマニキュアを塗るシーンとかねえ・・・。 キース・キャラダインとカレン・ブラックが提供し自ら歌う素晴らしい歌曲の他たくさんのカントリー・ミュージックの美しい名曲にあふれ、その歌詞がまた映画の台詞のようだ。 主人公のいないこの映画、地球のある街の姿を切り取り、実は誰もが主人公なのだ。 こういう脚本を書き上げ、映画にしあげるその達成感とやらはものすごいものだろう。人間の良い面も嫌な面も強烈に凝縮され、人生の頂点と没落をステージに投影する様に、遺作「今宵、フィッツジェラルド劇場で」が重なる。 物語が終わり、クレジットが流れ、真っ暗なスクリーンに音楽だけがこだまする。何とも表現できない思いに言葉もなく暫く席を立てなかった。 渋谷・ユーロスペース2にて。栗5つ。
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