2007 07,28 23:49 |
|
遠藤周作の原作は、学生の頃に読んだが、映画は未見だった。小説にある冒頭の現代の勝呂医師のエピソードの部分は、まるまる無かったが、かえって映画の雰囲気に統一感が出ている。
それ以外は、原作にかなり忠実で台詞もほぼ同じだ。登場人物の心象風景のようにうねる海、舞台のセットのように簡素な空間での光と闇の陰影や独特の構図は映画的技法がこれでもかと美しく冷たく昇華され圧倒的だ。 戦時中、九州帝国大学医学部で行われたアメリカ人捕虜の生体実験。戦争という極限下ということもあれど、人間の尊厳を問う重いテーマだ。 個人的には、奥田瑛二演ずる主人公勝呂より、渡辺謙演じる戸田に感情移入してしまう。善悪や理性の問題より、その時代の生き方というのを考えてしまう。 「人を殺すということに無感動になってしまう」という戸田の台詞が強烈だ。この残酷な行為が何とも人間的だから胸に深く何かが突き刺さる。 栗5つ。スクリーンで観られて良かった。 銀座シネパトス1にて。 |
|
コメント |
コメント投稿 |
|
trackback |
トラックバックURL |