2007 08,16 00:13 |
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これは介在の文学だなあと思った。小泉八雲ことラフカディオ・ハーンは、妻節子が読む日本の昔話を聴き、それを英語にアレンジして書く。それをまた日本人 が日本語に訳してできたのがこの『怪談・奇談』だ。古くから伝わる日本の話が、日本人が語る音となり、それが外国人を通して英語の物語になり、それがまた 日本人により日本語の文学に戻ってくる。この介在の生む新しい風がこの文学の面白さだろう。
どの話もとても良くできていて面白い。古来から変わらぬ日本人の、人間の心理が非常によく描写されている。 英語版を読んだら、また違った面白さがあるんだろうなあ。 後半、話の原拠がそのまま掲載されている。正直言って、原典は、小泉八雲を通した物語より遙かに面白い。耳なし芳一しかり、今昔物語しかり、日本語の持つ美しいリズムと簡潔な描写から得られる想像の世界の方が脳味噌には一層刺激的だ。 怪談・奇談 小泉八雲 / 平川 祐弘 編 講談社学術文庫 |
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