2007 10,06 23:42 |
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長谷川和彦のデビュー作。二作目の「太陽を盗んだ男」より、僕は好き。
実際にあった両親殺人事件を題材にした中上健次の原作の映画化。両親を惨殺してしまう主人公の若者、殺した後に殺した理由を探す旅のような作品だ。生きることへのやるせない喪失感、それでも生きようとする言葉にできない執着心の葛藤に胸がえぐられる。 圧 巻は、主人公を演じる水谷豊と母親役の市原悦子の死闘。愛情と憎悪、憐憫と殺意が同居する親子の殺し合いは、「太陽を盗んだ男」の沢田・菅原の死闘を上回 る度肝抜くシーンの連続だ。水谷の狂気の表情と市原の狂おしい台詞の応酬は、このシーンだけでも1本の映画を観終わったよう。 主人公の境遇は違うが、全体に流れる魂の喪失に「ファイブ・イージー・ピーセス」を思い出した。金切り声の原田美枝子にカレン・ブラックがだぶる。 切れない絆としがらみを殺すことと死ぬことで切ろうとするのは、何故なのだろう。そもそも、僕らはどうして行動に理由を求めるのだろう。 頭をかち割られて、脳みそに直に傷をつけられたように、痛々しく記憶に焼きつく恐ろしい映画だ。 栗5つ。 早稲田松竹にて。
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