2018 07,12 21:58 |
|||
本が売れない時代、まして翻訳文学となるとなかなか大変だと思う昨今、サウザンブックスさんが取った方法は、クラウドファンディング。成立したら本をもらえるのは当然のことだが、出版パーティーに招待されるなど出資額によって様々な特典がある。
僕は、一冊を自分に、一冊をどこかの図書館に寄贈のペイ・フォワードを選んだ。 「僕を燃やす炎」、内容は、同性の同級生に好きだと告白した主人公の少年が、悲惨ないじめに合うことから始まる。日本でも一橋大学でのアウティングの悲しい事件があったが、この主人公もいじめに耐えられず自分をカッターで傷つける。追い撃ちををかけるように父親からのDV。親が理解してくれないのは辛い。と、前半はかなり読んでいて気が滅入る。しかし、後半、主人公がいじめに負けないようにと通い始める柔道教室での少年との出会いが希望の光を灯す。人を痛めつけるのも人間だが、そこから救ってくれるのも人間なのだ。 この物語は、実際に特定のモデルがいるわけではなく、多くの少年少女にヒアリングした結果から生まれたらしい。今風だなあと思ったのが、主人公が匿名で心情を吐露する先がSNSで、恋人同士になった少年二人がやり取りするのは電話でもラブレターでもなくLINEのようなチャットだということ。夜、ベッドに入ってメッセージを送る、そしてしばらく返事を待つ。その幸せなドキドキ感がなんとも懐かしく微笑ましかったな。 僕の寄贈した一冊、どこかで誰かが読んでくれているのかな。
|
|||
コメント |
コメント投稿 |
|