2008 04,29 23:57 |
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妻から見た昭和の大作家の姿。何度か補筆されながら版を重ねてきたらしいが、読むのは初めてだ。
太宰のそれぞれの作品が生まれた背景や、人間津島修治を最も近い場所から見ていた視線がなんとも興味深い。 また戦前の三鷹や甲府の姿がよく書かれている。特筆すべきは、津軽の太宰の実家に疎開していた時代の話で、当時の津軽の言葉や風俗を記録した一級の風俗誌になっている。 ボツになった原稿や書き損じた原稿用紙をリンゴ箱に貼って書籍入れを作り、太宰の死後、それを丁寧に剥がし、それがまた太宰の作品の片鱗を示す貴重な資料にもなっている。 戦前、戦中、戦後。短い生涯の天才を見つめた妻の回想録は、過ぎ去ってしまった激動の時代の市井の側からの貴重な記録だと言えよう。 『回想の太宰治』 (講談社文芸文庫 つH 1) 津島 美知子 (著) ISBN-10: 4062900076 ISBN-13: 978-4062900072 |
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