2015 05,16 18:35 |
|
昨年、札幌に行った時に北海道立近代美術館で片岡球子の「伊豆風景」を見て、その色彩感覚と大胆な構図の素晴らしさに圧倒されてしまった。今年は、彼女の生誕110年ということで、一大回顧展が東京国立近代美術館で開催された。
彼女の作品は、初期はそれほど認められなかったそうだけど、確かにぶっ飛び過ぎていて、なかなか理解されなかったんだろうなあ。初期は、ちょっと地味な色使いだけど、着物の柄の緻密な描写には将来の片鱗があった。 狭く細長い最初の展示室に初期の作品が飾られ、そこを抜け広い展示室に入った途端、爆発する色彩に一気に囲まれ、思わず声をあげそうだった。北海道で観た二作も来ており、嬉しい再会となる。 個人的に圧巻だったのは、「火山(浅間山)」。山は、確かに時間と光の関係で様々に表情を変える。しかし、球子が写し取ったその姿は、あらゆるものが超越されている。まるで山が硝子のように透明になり、蠢くマグマが変化するような、この光景はいったい何? どうすれば、こんな風に見えるのだ? 隣に展示されていた「死火山(妙義山)」は、神話に出てくる世界のよう。この世に確かに存在するのに、まるでどこにも無いような不思議な景色だ。 ムンクのように心象風景を表現しているような空や波、クリムトも卒倒しそうな煌びやかで緻密なデザインにも、脱帽。いつまでも展示室から立ち去りがたかった。ネットや書物で見たことある絵も、実際見るとまるで違う。本物の迫力は、本当にすごい。 今回、スケッチもたくさん展示されていた。これまでの巨匠の作品をかなり模写している。しかし、それが自分の作品にどこにも現れていない。いろんなものを吸収しつつも、作品として表現する際には、完全に自分のオリジナルになっている。 色彩感覚と大胆な構図に本当に圧倒された。 東京近代国立美術館での開催は、5月17日まで。この後、6月12日(金)〜 7月26日(日)は、愛知県美術館に巡回する。 生誕110年 片岡球子展 〜 5月17日(日) 東京国立近代美術館 6月12日(金)〜 7月26日(日) 愛知県美術館 |
|
コメント |
コメント投稿 |
|