2012 10,15 11:52 |
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銀閣で名高い慈照寺は、この銀閣寺垣を通って行く。その先にあるものを期待させる独特のアプローチが素晴らしい。 菱形の石畳も粋な意匠だ。 有名な銀閣の手前にある白砂を段形に盛り上げた銀沙灘や円錐台形の向月台は、創建当時のものではなく江戸時代の意匠らしい。まさに最初から設計されていたかのような調和だ。そして、月夜に白く輝くらしい。夜に訪れてみたいなあ。そしてこの銀沙灘、台風が来ても壊れないとのこと。随分頑丈に固められているのだね。 現在、慈照寺では「秋の特別拝観」を実施中。拝観料500円の他に追加で1000円必要だが、これは絶対に入るべし。時間も30分から40分ほど必要だが、もうあまりの素晴らしさに至福の時はあっという間に過ぎてしまうほどだ。特別なパンフレットももらえる。 まずは、写真の方丈(本堂)から。江戸中期の建造で、内部の部屋には、与謝蕪村と池大雅の襖絵がある。普段は、レプリカがはめらているのだけど、この特別拝観の時のみ本物に替えられる。与謝蕪村の襖絵は、「飲中八仙図」「山水人物図」「棕櫚に叭叭鳥図」の三作品が所蔵されている。特に「飲中八仙図」は、酔っぱらった仙人たちのユーモラスな姿が楽しい。 池大雅の襖絵は、「琴棋書画図」。中国が舞台でそれぞれの技芸を楽しんでいるが、掛け軸だけ富士山の風景と日本的なのが面白い。 もう最初の方丈だけで、感激してしまった。もっともっとこの部屋でゆっくりしたかったなあ。続いていよいよ国宝の東求堂の中へ。 こじんまりしているけど、創建当時の遺構で国宝の東求堂。慈照寺には、何度も来ているけど、この中に入るのは初めてだ。堂内には、足利義政公像が安置されている。「何事も夢まぼろしと思ひ知る 身にはうれひも悦びもなし」と読んだ人。政治家というより文化人だよねえ。天下を取り、何不自由ない生活をしているのにも関わらずこうした世の無常を歌う感覚はものすごいなあ。 日本最初の四畳半間取りは、ここにあり、今回書斎の書院飾りが再現されていた。襖を真ん中だけすこし開けると、そこには自然を借りた掛け軸になり、茶の湯のための水のせせらぎが大文字山から流れ、窓際の机に書道具七品が置かれていた。当時の記録資料から、置いてあった物の配置が再現されていた。なんとも風流で粋な計らい。筆置き、硯、文鎮、水差しなど当時の道具の再現が素晴らしい。配置がこれまた芸術的なのだ。 平成8年に再建された弄清亭には、奥田元宗の襖絵が。こちらは、色鮮やかで目にも眩しい。奈良の唐招提寺の東山魁夷の絵と双璧をなす美しさだ。もうすごすぎる。 高台からの眺めが素晴らしい。 この質素で渋い佇まいがたまらない。何度でも訪れたくなる、そしてその度変わらぬ姿を見せてくれるというのが京都の素晴らしさだ。 慈照寺の秋の特別拝観は、12月2日まで。 ちなみに、銀閣で有名な慈照寺、金閣で有名な鹿苑寺は、ともに相国寺の塔頭だ。ホームページのフラッシュ・バージョンがものすごく凝った作りだ。 |
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