2012 06,09 23:30 |
|||
往年の傑作「カイロの紫のバラ」を彷彿させるロマンティックなラブ・コメディー。ただ、「カイロ」に比べるとかなり笑いの度合いは少なく落ち着いた感じ。クスクス可笑しいけれどね。
冒頭のパリの案内シーンが美しすぎる。パリのあらゆる有名な場所が次々に現れては消えて行く。「ああ、ここ行ったことある」と多くの人が思うだろう。 誰もが羨むような生活をしているのに、現代の生活と現在の恋人にどこか満足できない主人公。恋人とその両親とで出かけたきたパリで、夜な夜な1920年代へとタイムスリップする。その手法がウディ・アレンらしく鮮やか。コール・ポーター、フィッツジェラルド、ヘミングウェイ、ピカソ、ダリなどその時代にパリにいた憧れの人物と出会い、ピカソの恋人だった女性と恋に落ちて行く。 尚古主義一辺倒だったウディが自ら結論を出すクライマックスは、そうした達観をする年齢になったのかなあとも思うし、それが人間で、それが人生なんだなあとひしひしと伝わる。 「カイロの紫のバラ」では身勝手な人間が残酷で悲しい結末を生むが、こちらの作品は、前向きで新たなスタートを気付かせてくれる優しい展開で終わる。「重罪と軽罪」「マッチポイント」「私の中のもう一人の私」など、人生の厳しく残酷で立ち直れないほどのつらいラストシーンを突きつけたきた作品もあったけど、今回はその点、見終わった後も重々しくない。僕は、残酷なラストの方が好きだけどね。 栗4つ。丸の内ピカデリー2にて。
|
|||
コメント |
コメント投稿 |
|