2012 06,06 12:11 |
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今回の展示とほぼ同じ内容の展覧会が30年ほど前にあった。東京国立博物館の本館での開催で、当時も「日本の至宝」が帰って来たとものすごく話題になっていた。中学生だった僕、それまで美術展の絵画というと印象派やルネサンスなど西洋のものばかり観ていたけれど、この展覧会は、日本美術の素晴らしさを気付かさせてくれた。特に「平治物語絵巻」の荒れ狂う炎の描写には、ものすごく感銘を受けて、大人になったらボストン美術館へ行こうと思ったほどだ。
そして、大人になってからボストンへ行き、真っ先にボストン美術館へ行ったのだけど、日本美術の展示コーナーはとても狭く、そして江戸時代の看板の展示とかそんなものがやっていた。所蔵していると展示しているとは別問題なのだ。まあ、別の機会の時に観たボストン美術館の浮世絵展の色鮮やかさに驚いたけれど、本当に保存状態良く保管してくれている美術館なのだろう。 という訳で、ボストンに行けばいつでも日本美術の至宝が観られるというのではないので、こうした展覧会は本当に貴重だ。 当然、展覧会は大混雑。平日でも入場規制がかかるほど。全部をゆっくりなどはとても無理。ということで、30年前に観た絵巻との再会に注力し、ガラスにへばりつきながら鑑賞した。やはり、展示されていた2巻の絵巻は、圧巻だった。 「吉備大臣入唐絵巻」は、全巻展示。普通、絵巻ものの展示は一部分だけが鑑賞できることが多いが、今回は全部観られた。これは、まさにSFアドベンチャー。超能力を持った吉備大臣は、空を飛び、厳重な警備の王宮に忍び込み、スパイ活動などして、唐の皇帝が出す難題をクリアしていく。阿倍仲麻呂の幽霊が出て来たりと当時から想像力溢れるストーリー展開がされていた。 続く「平治物語絵巻」は、「吉備大臣・・・」と比べると絵画の技術力と表現力が飛躍的に向上していているのがよく分かる。30年前に驚愕した炎は、当時の感動のまま、そして登場人物の細かい動き、表情は、時に迫力があり、時に切なくそして残酷で、戦に翻弄される人間の運命が凄まじい。 他にもすごい作品がたくさんあったけど、個人的にはこの2巻の絵巻との再会に尽きる。 東京での展覧会は、終わってしまったけど、来週から名古屋のその名も名古屋ボストン美術館での展覧会が始まる。続いて、来年福岡、大阪と巡回する。 ボストン美術館展ホームページ その後、常設展示へ。 特別展では、人だかりで全体を観るのが困難だった横山大観の「雲中富士」も常設展示ではゆったり観られる。特別展に展示される作品も常設展示に通っているとゆっくり観られるので、国立博物館を頻繁に訪れるといいと思うよ。 |
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コメント |
5月、日曜に行ったら、外で20分くらい待ったけど、行くかいのある展示だった。画集では伝わらない迫力。真備も平治も曽我蕭白も。
【2012/06/2315:37】||のんだくれ#5cfcf98f1c[ EDIT? ]
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そうそう、写真と実物って全く違いますよね。
今度は、いつ観られるのかなあ? 【2012/07/0823:56】||栗坊#294e587dc9[ EDIT? ]
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