2011 10,08 17:14 |
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歌舞伎座が建て直し中で遠ざかっていたけど、久しぶりの歌舞伎を観に来た。そして秋めいてきたので久しぶりの着物姿で観劇。場所は、歌舞伎座じゃなくて、日生劇場だけど、この劇場も建築的に非常に好きなので嬉しい。ちょっぴり暖かかったね。袷で薄手の着物は、これしかなくて、羽織も同じアンサンブルでお洒落度は、ちょっと落ちるけど、着物で歌舞伎は、やっぱり優雅な気分になれるなあ。 日生劇場のロビー。古き良き劇場が無くなっていくなか、風情があり、風格ある貴重な劇場だなあ。絵がたくさん飾ってある。シャガールの絵もあったよ。 赤を基調にしたロビーが素敵。そして、湾曲した階段が美しい。 さて、今回の公演は、玉三郎の舞踊ということで、9割がた女性の観客だったよ。宝塚に来ちゃったと勘違いしちゃうほど。(笑) 物心付いた時から、女形と言えば玉三郎ってイメージがあったけど、それから何十年と変わらぬ存在感はすごいよな。 今回の演目は、全て舞踊。全てが一度会場が真っ暗になり幻想的な舞台が眩く開くという構成だった。 傾城 吉原絵巻 まずは、江戸の吉原へタイムスリップ。通常の歌舞伎舞台に比べると絢爛豪華というセットや登場人物はないけれど、そこは玉三郎、一人花魁で圧倒的なオーラを醸し出す。 長唄『傾城』と挿入される『英執着獅子』で短い時間の中で四季の移ろいを感じさせる。年中、本当の恋に憧れるが、叶わぬ花魁の宿命に揺れる女心が舞で表現されていた。終盤の雪景色がとても美しかった。 藤娘 これは、玉三郎で観たかったんだよねえ。歌舞伎座でも観たことあるけど、おじいさん役者だったからなあ。ただ、日生劇場の舞台は、歌舞伎座と比較するとかなり間口が狭いので、暗闇からパッと洗われる藤棚のセットは、歌舞伎座に比べるとかなり見劣りした。 しかし、踊りは、圧倒的な美しさ。手の動き、可愛らしさ、酔い加減、どれも魅惑的でうっとり。紫の衣装を着た、まさに妖精だ。 楊貴妃 最後は、楊貴妃。中国が舞台だし、歌舞伎と合うのかなあ?とどんなものになるのかものすごく期待していた。夢枕獏作の新作歌舞伎ではあるが、もともとが白居易の『長恨歌』が室町時代に能『楊貴妃』となったもので、そこには日本的な美意識が存在していた。 死んでしまった楊貴妃の魂を、玄宗皇帝の命で探し求める方士、胡弓と琴が奏でる幻想的な調べの中、舞台の薄いカーテンが徐々に開いていく。楊貴妃が腰掛ける籠のようなテラスが舞台の真ん中にあるだけの簡素なセット、死者の魂が舞う姿は、まさに能の幽玄の世界だ。 ゆったりした踊りとは言え、重い衣装を纏って踊る玉三郎は、汗一つかかない。人間を超越したような冷たい美しさに圧倒された。荒川静香のイナバウアーを彷彿させるほどの背中の反り返し、能と京劇の舞も取り入れた幻想的な舞には、溜め息が出る。 そして、カーテンコール。時空を超えてやってきた楊貴妃がそこにいるかのような、鳥肌立つほどの存在感とカリスマ性には、もう圧倒されっぱなし。観客にお辞儀しているだけなのに、何だろう、このものすごいパワーは・・・。人気なのが分かるねえ。また、玉三郎の公演観たいな。 歌舞伎座じゃなかったので、かけ声が無かったなあ。 大和屋っ! 坂東玉三郎特別舞踊公演 日生劇場 10月26日まで |
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