2005 06,30 15:51 |
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映画は、バスのハイジャック事件を描いただけと思いきや、その背景にある警察によるストリート・チルドレンの虐殺事件、ブラジルの貧困の悲惨さ、暴力が暴力を生む土壌、貧困から犯罪そして刑務所の劣悪な環境など、ブラジルの今を切り取り、強烈にさらけだす。 当時は、ストリート・チルドレンが起こした凶悪な犯罪、ハイジャックされて怯える人々をテレビで見ていたのだろう。しかし、このドキュメンタリーでは、なぜ少年がこの犯罪を起こしたのか、乗客が演技していたことなど、バスの中で起きていた出来事を生存者の証言で明らかにする。 いろんな偶然が重なり、生き残った者、命を落した者に分かれる。テレビカメラが生中継したことで演劇的な行動を取ったこと、腐敗した警察の愚行、ストリート・チルドレンに対する国民の感情が複雑に絡み合い、事件が終わった今でも、後味の悪い思いが心に残る。 一番驚くのは、ブラジルの国民が、警察の腐敗、人の死をなんともあけっらかんと語るところだ。 犯罪を起こした少年を知る人が語る時の表情が痛々しく切ない。 追い詰められた人間や死を身近に感じた人間が、その時どういう行動を取るのか、それを記録した映画である。暴力が暴力を生み、憎しみが憎しみを生む、なんとも悪循環なこの連鎖は、地球の反対の国の話しと知らぬ振りは、できない。 強烈な印象で当分引きずりそう・・・。栗4つ。渋谷ライズXにて。 |
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