2009 03,27 23:09 |
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このところ林芙美子に凝っている。
この作品は、戦前の代表作。貧困の中でもしたたかにあっけらかんと生きる女性(自分自身の姿)が時にユーモラスで、時に絶望的に悲しい。 日記と詩で構成されており、物語としての連続性は無い。事実、発表当時は、この日記のいくつかの抜粋が刊行されていた。著者曰く、発禁になる恐れがあるからと後年語っているが、確かに皇室や宗教を揶揄した表現が散見される。 それにしても戦前、女性が生きていくのは大変だったのだなあ。 当時の風俗、街や田舎の姿が不思議と懐かしく目に浮かぶ。 それほどレトリックはないのに、何故かひきこまれた。「私は宿命的な放浪者である。私は古里を持たない」、冒頭はシンプルながら名文だ。 |
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