2010 12,23 14:28 |
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にっし君と東劇で上映中の映画へ。と言っても劇映画ではなく、シネマ落語。東劇は、向いにあった松竹のメイン劇場であった松竹セントラルが閉館して以来、ポツンと取り残された感ありで、このところシネマ歌舞伎やMETのオペラ中継などあまり劇映画を上映していない。
そんな中、ネタ切れの苦肉の策でついに落語かと思ったが、これがまた場内ほぼ満席状態で大ヒットみたい。ただ、観客の中心は、60代より上といった感じか。 さて、志ん朝師匠以外は、生で観たことがない方ばかり。テレビやDVDだとどうしても集中できないので、やはりこうした機会はありがたい。 八代目 桂文楽 「明烏」('68) 優しそうで人品良さそうで大人しそうなお爺さん。そんな印象だった先代の文楽師匠だけど、落語に入るや驚くほど芸達者。次から次に見た目のキャラからは想像できない人物が飛び出てくる。人物描写が素晴らしく、人間がいきいきとしていた。 三代目 古今亭志ん朝 「抜け雀」('72) 若いっ。志ん朝師匠は、やはり華がある。いい男はそれだけで得だ。そしてこの人の場合、そこに素晴らしい芸がある。 一切の淀みない語り口は、少々早口に思えるのだけど、それでいて登場人物は、瞬時に現れては消え、現れては消えていく。 風格というか貫禄というか、若くても圧倒的な力が漲っていた。 十代目 金原亭馬生 「親子酒」('78) なんとなーく漠然と志ん朝師匠がすごいと思っていたけど、今回の4つの作品の中では、この馬生師匠が一番素晴らしかった。こんなすごい師匠がいたなんて、生で拝見できなかったことが悔やまれる。 こんなにも人間の心と感情を表現できる人がいたんだなあ。人間への洞察が鋭いのに、優しい眼差しを感じた。 六代目 三遊亭圓生 「掛取万歳」('73) 人情噺での鳥肌が立つような感情表現が圧巻だが、こうした滑稽ものも器用にこなすんだなあ。 ダレがちになりがちなこの噺を50分、観客をひきつけるのだからすごい。 まさに何でもこなす天才。ここまでできちゃうと自分でやってても気持ちいいだろうなあ。 4人の落語に共通しているところは、無駄なくすぐりが無いことだ。削って削って、あまりにもシンプルだけど、それ故の何度聴いても飽きない、そして揺ぎ無い芸の真髄がある。 |
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