2010 12,01 22:00 |
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ちょっと二番煎じで、またストーリーも全体構成も散漫な印象が拭えない印象があるが、それでも見所がたくさんある。黒澤作品の中では、かなり埋もれてしまい、あまり陽の目を見ない方かもしれないけど、愛すべき小品になっている。
旅から帰ってきた三四郎だが、強さ故の辛さに苦悩する日々。そこに登場するのが、車屋の少年。過去の自分を投影させているが、この辺りが分かるようで、二番煎じのようで・・・。また、異種格闘もちょっとおちゃらけていて、まあ三四郎の賞金の扱い方などコミカルで面白いけど・・・。 見所は、荒れて道場で酒を飲む三四郎に、怒りもせず酒徳利で足技をしてみせる矢野正五郎の描写。師匠の器の大きさを示すすごい場面だ。 かつての宿敵檜垣源之助を人力車で送る三四郎、そこに現れる小夜、ここでの源之助の台詞が決まっている。 今回の敵は、檜垣源之助の弟たち。兄貴の敵を討とうとするのだが、月形龍之介が源之助と次男の二役を演じているところと、三男の源三郎のキャラ設定に能の動きを取り入れて不気味で独特の雰囲気を出しており、これが最後の最後まで狂気じみていて怖い。 ラストの決闘場面は、雪中で裸足と過酷だが、前作の圧倒的映像美と比べるとかなり見劣りする。 しかし、この作品は、その後、山小屋でのこれまた緊張感あふれる静かな戦いがあり、その場面が興味深い。 そして最後の三四郎の満面の笑みは、すべてを達観し、これまでの苦悩を吹き飛ばし、次なる人生に進みだした一人の男の未来を台詞のない表情だけで示した素敵なものである。この藤田を笑顔を観るだけでも、この映画を観る価値があるね。 栗3つ。 どうせ一作目は超えられない、じゃあ好き勝手気に実験しちゃおうって姿勢が随所にあって楽しい。 京橋・フィルムセンターにて。
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