2005 08,21 21:52 |
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背景には、ボスニア戦争という暗いものがあるが、物語は、とてもユーモラスで思わず笑ってしまう喜劇仕立てになっている。
息 子が戦争捕虜になりその交換条件にするために、敵側の女を軟禁するが、次第にその女と恋に落ちてしまうお父さんの物語だ。俳優人は、みな良い演技だが(ヒ ステリーな元オペラ歌手の女房は、いただけないが)、それよりも何よりも動物の使い方が非常に旨い。主人公が飼っている犬も名演技だが、圧巻なのは、「失 恋して絶望し自殺しようとするロバ」だ。このロバ、なんともいい味で、物語にアクセントを与えている。 あと、郵便屋役のおじさんもいい味出していた。 どことなくフェリーニの映画を思わせるユーモアのセンスは、戦争の中の優しい狂気を彷彿させる。欲を言えば、戦争のシーンに緊迫感や緊張感が乏しく、単なるコメディーのようになっているのが惜しい。 それでも、霧の中のサッカー場シーンから秀逸なラストまで、めまぐるしく展開し、次々に登場するエピソードを散漫にならず見せる手腕は、流石かな。 ボスニアが抱えるこうした問題を、バカ平和に慣れきった日本人は、どうとらえたらいいのだろう。 あっという間の二時間半だが、もう一つひねりと意表つく展開がほしい。栗3つ半。 シネスイッチ銀座にて。 |
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