2005 10,10 20:31 |
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もう、この映画を何十回観ただろう。リバイバルの度に劇場で観ているが、これは、単なる映画の再映ではなくて、旧友との再会だ。
ミュージカルのカテゴリーは、二つしかない。ウエスト・サイド物語以前と以後だ。以前は、ジーン・ケリーやフレッド・アステアに代表されるタップ・ダンスと社交ダンス。ウエスト・サイド以後は、ダイナミックなダンス・シーンを持つ現代のミュージカルだ。 公開当時、体操と言われたジェローム・ロビンスの振り付けは、その後のミュージカルの歴史を変えることになる。まさにこの映画は、革命だった。この次のミュージカルの革命は、ボブ・フォッシーの登場を待つことになる。 ウエスト・サイド物語は、ブロードウェイの舞台では、それほどヒットしなかったが、映画化されて大成功した、非常に珍しいパターンのものだ。 オープンニングのニューヨークの空撮から、バスケット・コートへ、圧倒的なカメラワークに痺れるのもつかの間、ダイナミックなダンス・シーンが展開される。バーンスタインの音楽は、完全に映像と一体化している。この迫力、この革命的なミュージカルのオープニングは、やっぱり劇場のスクリーンで体験したい。 何度観ても飽きないこの映画、次々に訪れるミュージカル・パートにぐいぐい惹きこまれる。シャーク団がビルの屋上で繰り広げる「アメリカ」は、前半のハイライトだ。プエルトリコ移民の切なさを喜劇調で歌いつつ、ダイナミックなダンスが展開される。 後半のクライマックスは、ジェット団の「クール」のシーンだ。駐車場での車のライトを効果的に使い、まるで演者と一緒に踊りまくるカメラワーク、圧倒的なダンスに、鳥肌が立つ。このシーンには、観る度に震えが起きる。これは、舞台では、できないものすごいダンス・シーンだ。 ウエスト・サイド物語が革命的なのは、ミュージカルは、ハッピーエンドという常識を覆し、結末が残酷なこと。人種の対立、アメリカの恥部、大人の汚さ、若さの残虐性をこれでもかと見せるダークなミュージカルだ。それでも、トニーとマリアの歌う「トゥナイト」やトニー「マリア」の美しい愛のバラードが、心に染みる。 これがミュージカル、これがダンス、これが音楽、これが映画というものです。栗5つ。満点。文句なしの傑作! シネカノン有楽町にて・・・。
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