2009 09,27 20:31 |
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レニ・リーフェンシュタールの未見の作品をついにスクリーンで観た。戦時中この映画がもたらしたプロパガンダとしての側面は、ちょっと置いておいて、記録映画としてここまですごいものはそうはない。
1934年に行われたニュルンベルクにおけるナチス党大会の記録。大会そのものの演出は、建築家シュペアーによるものだが、何十台ものカメラ、圧倒的な陰影とキューブリックばりのシンメトリーの構図は、レニの手腕そのものだ。 ヒトラーやヘス、ゲッペルスなど有名な人だけじゃなく、軍人の日常の姿や熱狂する市井の女性や子供の表情を巧みに盛り込んだモンタージュ手法は、まさにプロパガンダ映像のお手本といった感じ。 正直、どうしてここまで熱狂と陶酔するのかは分からないが、ヒトラー政権が不況の時代に行った社会保障や福祉、アウトバーン建設による就労の確保など、他国侵略の裏側で意外と真っ当なことが行われていたせいかも・・・。 とにもかくにも、様々な角度から追ったヒトラーの演説、行進する軍人の真上からの構図、空撮、何十台ものカメラを利用した編集、シンメトリーの構図などなど、どうやって撮ったのとこれまたびっくりする映像ばかり。 人間の「個」が群衆となり、陶酔し熱狂する。それが招いた歴史、考えさせられる。 レニがどういう思いでこの映画を撮ったかは分からないが、とにかく究極までに「美」を追求したということは間違いない。 栗4つ。貴重な記録だ。 シアターN渋谷にて。 |
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