2006 05,01 22:02 |
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金馬師匠の芸歴65年を振り返った本。これは、金馬師匠個人の歴史というより、戦中戦後の日本の芸能史の一つ。文体も金馬師匠が語りかけているようで、と ても優しさに溢れている。戦前の下町の賑やかで楽しげな風情から、戦中だけどどこかしらほのぼのとした人々の生活、戦後のお笑い三人組で大人気になる過程 は、本当に波乱万丈だ。人生は、何が幸いするか本当に分らない。何でもやるのがいいんだねえ。
てんぷくトリオやトニー谷、話には聞い たことがある東宝名人会や人形町末廣亭、他にも東京にあった寄席や劇場の面影が、知らないのに懐かしい。若くして事故で死んでしまった伝説の師匠、さらな る飛躍が期待されつつも病に倒れた師匠には、切なくなるとともにこれが人生なんだなあとしみじみしてしまう。 金馬師匠と先代の金馬師匠、先代の小さん師匠の会話には、抱腹絶倒。どちらも実際には、知らないけど、その人柄、面白みが伝わってくる。 写真もたくさんあって興味深い。金馬師匠と奥様とのなりそめも映画のようにロマンチック。戦中、戦後の東京、寄席の姿にへえ、へえと頷きながら、金馬師匠と愉快な噺家さんとの会話に大笑いしてしまう。 落語ファンならずとも必読。とっても読みやすく、また温かい気持ちになれる。 『金馬のいななき 噺家生活六十五年』 税込価格 : \1,995 (本体 : \1,900) 三遊亭金馬 出版 : 朝日新聞社 ISBN : 4-02-250173-1 |
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