2006 08,13 23:50 |
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今日は、早起きして池袋の新文芸坐へ今村昌平監督特集を観に行った。そう、この作品をスクリーンで観るため。ものすごい混雑で驚いた。観客の9割以上が男性だった。女性は、こういう映画嫌いなのかなあ。しかし、これこそが本物の映画という物だ。
今村らしい昆虫や爬虫類、鳥など随所に動物のアップのショットが挿入されている。神が地球を見下ろす時に人間などと・・・、まるで蔑むような視点だ。その動物の向こうに人間の哀れな営みがぼんやりと、しかし強烈に焼きこまれる。 因 習と伝統は、鎖のように島の人々に絡みつき、それは、主人公根吉を演ずる三国連太郎の足に嵌められた鎖に象徴されるようだ。近親相姦という罪を背負ってい るある家族、その家族は、島での神の役目をつかさどっているが、罪多きその行動が神の怒りに触れ、津波により家の前に巨大な岩が打ちあがる。その岩が神へ 献上する米を作る田を潰し、その岩を20年もかけて崩そうとしているのが主人公の根吉である。 もう一人の主人公、根吉の弟亀太郎を演じるのが今は亡き、河原崎長一郎だ。彼は、因習と新しい時代の生き方の間で翻弄する。「迷信だとおもっちょります」の台詞を吐きながら、一方で因習を断ち切れず、ラストの兄への報復への舟に乗る。 圧巻は、トリ子を演ずる沖山秀子で、知的障害と神がかった女を圧倒的な迫力で演ずる。 美しい海、焼けつくような太陽、咽つくよう暑さの中、人間の性と生、信仰を驚異的な映像美で魅せる傑作。クライマックスの海洋シーンは、当時の技術でどうやって撮影したのだろうと驚嘆する。 心と脳味噌を刺激してくれるこれこそが映画だ。栗5つ。傑作。 池袋・新文芸坐にて。
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