2006 08,19 16:36 |
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8月15日は、終戦の日と思いきや、終わっていなかった。確かに、シベリアで抑留された人たちや原爆で被爆した人々も、戦後もずっと苦しみ続けたのだろ う。これらは、とてもよく知られているが、今回扱われている、8月15日以降も中国に残り、中国共産党軍と戦い続けた日本軍のことは、全く知らなかった。 もちろん、他の多くの場所で、ポツダム宣言受諾後も戦っていた兵士はいただろう。それは、多くは終戦の事実を知らず、単独で戦っていたものだと思うのだ が、この映画の戦士は、日本軍として戦った。終戦後も戦い続け、550人も戦死。昭和29年に日本に帰国した彼らに待っていたものは、「勝手に残った者に は、戦後補償は無い」というものだった。
この多くの日本人が知らない事実に目を向けた点は、とても評価できるが、ドキュメンタリー自体 は、普通の出来だった。優し気な風貌の中にも、力強い信念と厳しさを持つ奥村氏は、とても良いのだが、彼らのインタビューと現地を訪れて、現地の人にイン タビューするだけの構成は、今までのドキュメンタリーと何ら変わらない。そのインタビューで話される内容も、予想の範囲内で、別段新しい話も無い。 奥村氏と小野田氏の激論をもっと徹底的にやればいいのにと思った。証人探しも結局中途半端、奥村氏の奥さんへの打ち明けも無く、司法の問題にもっとメスを入れたりとかできないものなのだろうか? テーマは、面白いのに、普通のドキュメンタリーの手法で、予想通りの展開と結末で拍子抜けしてしまった。 なんか、取材が足りないんじゃないの? 時間が無いので急いで作ったという感じが否めない。確かに、時間は、無い。彼らが行動できる時間は、もう限られているが・・・。 この後、どうするのかが気になる。問題提起ができたから、こうしたことがあったことを知らしめることができたから、それでいいのだろうか? 今年は、ドキュメンタリーの秀作が多く「送還日記」などと比較すると、パワー不足。なんか、こう人間の心や魂に語りかけてくるだけのものが無いなあ。期待していただけに残念。 普通のドキュメンタリーだった。何かが足りない。栗3つ。 イメージ・フォーラムにて。 |
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