2012 11,18 16:00 |
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日中国交正常化40周年記念の特別展。普通なら混雑必至の東京国立博物館・平成館の展覧会だけど、昨今の日中関係を反映してか、日曜だというのに空いていたなあ。入り口で荷物検査をしていたけど、それもその影響か。
空いているのでゆっくり観られたけど、中国4000年の歴史を一気に見せる企画は、失敗だったのでは?どの王朝も同じ展示スペースで均等に展示するのは、なんとも中途半端。一つ一つは、貴重なものなのだろうけど、全体を通して、これが目玉というのが無かったなあ。壮大な中国王朝に思いを馳せるには、随分と地味でこじんまりした展示品だった。正直、遺跡の写真パネルが一番興味深く、その場所に行って古の王朝の姿に思いを馳せたいなあと思った。 残念ながら、今は日中関係が良いとは言えないけど、日本文化の源流は明らかにここにも流れていて、昔の日本人がそこに何かを見たように、近いうちにゆっくり中国を訪れてみたいとは思う。 中国王朝の至宝 12月24日まで。東京国立博物館にて。 ついでに観ようと思っていた「出雲」の特別展の方は、行列および館内大混雑だったので、あきらめて帰った。 昔は、東京国立博物館の敷地内に精養軒があって、そこのデミグラス・ポークソテーが美味しかったのだけど、リニューアルしてからホテルオークラになった。館内に食べる場所は、二カ所しかないのでどちらも結構混んでいた。お昼の時間からかなりずれていたけど、ケーキとか食べている人がいて、ちょっと並んで遅めのランチ。 煮込みハンバーグ、1800円。 |
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2012 10,13 17:52 |
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京都国立博物館で開催中の「宸翰 天皇の書」展へ。昔は、書の展覧会という見向きもしなかったけど、最近は面白い。文字を見ていると書いた人の気持ちや想いがどこか伝わってくるようだ。癖というか個性がそれぞれにあって面白い。 時代を追って展示されており、だんだんと新しくなっていくのだけれど、途中空海などの実際の達人の書も展示されていた。天皇がお手本として利用したものだと。その空海の書は、東京の国立博物館でも今年展示されていたもので、思わぬ再会にびっくり。でも、その空海の書、走り書きなので、そんなに字が上手じゃないのよねえ。 南北朝時代には、朝廷だけでなく、書の文化も別れ独自に発達していたというのが興味深かった。手形を推しているもの、手紙や日記などもあったけど、ほとんどが漢文で書かれているので、もっと何が書いてあるか知りたかったなあ。 展示内容 http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/121013/sakuhin.html 書も面白いね。なかなか興味深い企画だと思う。しかし、初日なのに空いてたなあ。ゆっくり見られたから良かったけど。 |
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2012 09,21 13:40 |
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ずっと行きたいと思っていた美術展に行ってきた。夏休み中は、大混雑で入場券を買うまでに長蛇の列ということだったので、9月になり落ちついたかなということで平日に出かけてきた。それでも最初の展示室は、混んでたな。あと、平日は修学旅行生が結構いるね。
CGは好きではないのだが、昔の特撮は大好きで、グラフィックソフトなどに頼らない手描きのデザインの美しさに惚れ惚れする。子供の頃に夢中になって未来世界を想像させてくれた小松崎茂のイラストは、いつみてもワクワクするぜ。そして、ウルトラマンをデザインした成田亨。六本木ヒルズの展覧会でも感激したが、彼のデザインは本当に素晴らしい。単に子供向けの特撮テレビドラマという枠を超え、美術品だと思った。この頃のヒーロー特撮ものは、飛行機や車のデザインもかっこよかったなあ。
いろんなヒーローの生首(笑)も展示されていたが、個人的に涙ちょちょぎれたのが、「トリプルファイター」、懐かしかった。
様々な展示を見ながら進んで行くと、次は映像のコーナー。この展覧会のために制作された「巨神兵東京に現わる」で最新技術を駆使した映像を体験する。
続く展示は、特撮美術倉庫。映画スタジオの美術倉庫が再現され、戦後昭和の特撮映画で活躍した様々な小道具、大道具が陳列されている。
そして最後に用意されているのは、映像コーナーで観た映画の撮影に使われたミニュチュアセット。このコーナーだけ撮影可で、かつセットの中に入っていくことができる。
細部に渡って綿密に作られたミニュチュアセットは、ビルの看板の文字まで再現されていた。電話番号まで入っていた。(笑)これには、大人も子供も夢中になって写真撮影。
展示、映像、美術倉庫、ミニュチュアセットと順々にいろんな工夫がされた展示室をめぐるのは、まさにテーマパークのようだ。そして、テーマパークのお約束、出口の所にはお土産ショップが。プラモデル、キャラクター・グッズ、書籍、玩具など本当にたくさん売っていた。
買わなかったけど、気になったのが、「ウルトラセブン」の有名な場面を模したフォトフレーム。ちょっとそそられねえ。アマゾンでも売っているみたいなので、やっぱり買っちゃおうかなあ。(笑)
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2012 07,16 23:52 |
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山種美術館に行って来た。その昔、兜町の山種証券が入っていたビルにあり、それから九段下を経て、現在は広尾にある。最寄りの恵比寿駅からも歩いて10分以上あり、おまけに坂道。この暑い中、空いているだろうと思って出かけてみたのだけど、混んでたなあ。それほど大きな美術館ではないけれども。
チラシに採用されているこの絵、タイトルは「瓦」でなくて「雨」。よく見るとの雨の落ちた跡が点在している。屋根ではなく瓦の度アップという斬新な切り取り方をされた構図、同じような色を使いながらもその濃淡で平面なのに立体的、そして雨音までもが静かに聞こえてきそうだ。 他にも青や緑を鮮やかに印象的に配した作品が多く展示されていて、暑い夏の中、爽やかな清涼感に溢れていた。 他にも大好きな小野竹喬の作品もあって満足。しかし、前後期で展示替えをしており、見たかったものが前期で展示が終わっているものもあった。美術展情報は、ちょくちょくチェックしないとダメだねえ。でも、願わくば前後期の展示替えは勘弁してほしいな。同じ展覧会に二度行くというのは、ちょっと大変。 ロビーにはカフェがあり、常に満席状態。美術館を目的に来たお客だけでなく、近所の人の憩いの場になっている感じがした。 「福田平八郎と日本画モダン」展 山種美術館 7月22日まで。 |
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2012 07,15 17:05 |
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出光美術館に行ってきた。この美術館は、小さいけど静かで皇居の眺めも素晴らしく大好き。今回の展示は、ちょっと地味かなあと思っていたけど、いやあこれが面白かった。
テーマは、「祭」。展示は、出雲阿国の歌舞伎踊りから始まり(そうそう歌舞伎は最初は女だったんだよねえ)、祇園祭、三社祭、そして江戸の風俗へと続く。 圧巻は、江戸と京都の街を俯瞰した屏風。江戸は随分と変わってしまってけど、京都は今も残る寺社仏閣が描かれており、また祇園祭の山鉾が今と変わらずどことなくその姿を現在に投影することができた。 江戸も街の姿は一変しているけれど、土地が記憶している区画とそこに過去にあった今となっては想像もできない市井の人々に生活が生き生きと描かれていて見入ってしまった。表情も結構細かく描かれていた。人間の観察力は、本当にするどくあらゆる生活の場面、場面がそこに記録されている。まるでタイムカプセルに乗って江戸時代に行ったかのようで、その当時の人々と出会った感するする。 落語でよく聴く吉原の姿も、「へえ、こんなんだったんだあ」と興味深く見入ってしまった。遊女や客や幇間が踊り、歌い、酒を飲む姿は、まるで今にも動き出しそう。人々が着ている着物の柄も色も様々で見ているだけでも楽しい。 やはり風俗画って面白いなあ。当時の人々の生きた息吹を肌で感じることができる。一日中屏風を観ていたいと思った。もっといろんな発見があるんだろうな。 日本の美・発見VII 祭 MATSURI ―遊楽・祭礼・名所 出光美術館 7月22日まで |
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2012 06,06 12:11 |
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今回の展示とほぼ同じ内容の展覧会が30年ほど前にあった。東京国立博物館の本館での開催で、当時も「日本の至宝」が帰って来たとものすごく話題になっていた。中学生だった僕、それまで美術展の絵画というと印象派やルネサンスなど西洋のものばかり観ていたけれど、この展覧会は、日本美術の素晴らしさを気付かさせてくれた。特に「平治物語絵巻」の荒れ狂う炎の描写には、ものすごく感銘を受けて、大人になったらボストン美術館へ行こうと思ったほどだ。
そして、大人になってからボストンへ行き、真っ先にボストン美術館へ行ったのだけど、日本美術の展示コーナーはとても狭く、そして江戸時代の看板の展示とかそんなものがやっていた。所蔵していると展示しているとは別問題なのだ。まあ、別の機会の時に観たボストン美術館の浮世絵展の色鮮やかさに驚いたけれど、本当に保存状態良く保管してくれている美術館なのだろう。 という訳で、ボストンに行けばいつでも日本美術の至宝が観られるというのではないので、こうした展覧会は本当に貴重だ。 当然、展覧会は大混雑。平日でも入場規制がかかるほど。全部をゆっくりなどはとても無理。ということで、30年前に観た絵巻との再会に注力し、ガラスにへばりつきながら鑑賞した。やはり、展示されていた2巻の絵巻は、圧巻だった。 「吉備大臣入唐絵巻」は、全巻展示。普通、絵巻ものの展示は一部分だけが鑑賞できることが多いが、今回は全部観られた。これは、まさにSFアドベンチャー。超能力を持った吉備大臣は、空を飛び、厳重な警備の王宮に忍び込み、スパイ活動などして、唐の皇帝が出す難題をクリアしていく。阿倍仲麻呂の幽霊が出て来たりと当時から想像力溢れるストーリー展開がされていた。 続く「平治物語絵巻」は、「吉備大臣・・・」と比べると絵画の技術力と表現力が飛躍的に向上していているのがよく分かる。30年前に驚愕した炎は、当時の感動のまま、そして登場人物の細かい動き、表情は、時に迫力があり、時に切なくそして残酷で、戦に翻弄される人間の運命が凄まじい。 他にもすごい作品がたくさんあったけど、個人的にはこの2巻の絵巻との再会に尽きる。 東京での展覧会は、終わってしまったけど、来週から名古屋のその名も名古屋ボストン美術館での展覧会が始まる。続いて、来年福岡、大阪と巡回する。 ボストン美術館展ホームページ その後、常設展示へ。 特別展では、人だかりで全体を観るのが困難だった横山大観の「雲中富士」も常設展示ではゆったり観られる。特別展に展示される作品も常設展示に通っているとゆっくり観られるので、国立博物館を頻繁に訪れるといいと思うよ。 |
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2011 12,09 16:35 |
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森美術館で開催中の展覧会へ足を運ぶ。日本は、素晴らしい現代建築が数々あるが、海外の都市に比べると区画が小さく、街や地域全体の調和を考えると美しいシルエットになっているケースはあまりない。 戦後の復興の中で、個ではなく都市全体を設計をしたメタボリズムの建築を大画面のCG映像、模型、写真、設計図で再現した一大展覧会だ。 1960年代から見たあったかもしれない日本の都市の未来は、今でも斬新で革新的だ。全体として実現したものは無いが、その一部として今も残る建築が残っている。ウルトラセブンにも何度か登場した京都国際会館、銀座の旧電通本社ビル、中銀カプセルタワー、広島の原爆資料館、山梨文化会館など奇抜さと美しさの共存が素晴らしい。 大阪万博の模型も凄かったなあ。IBM館の資料も展示されていた。 大阪万博のパビリオンは、建築的にも奇抜で面白いものが多かった反面、複雑な構造故、取り壊しに多大な時間とコストがかかり、つくば科学博では簡単に壊せるパビリオンということで建築的にはちょっと面白みに欠けたな。 館内は、写真撮影禁止だけど、下記のレポートに詳しく出てる。 森美術館「メタボリズムの未来都市」展、レポート 膨大な展示資料に、結構長い時間いたけど、また来たいなあ。館内にあるラウンジに貴重な建築関連書籍がたくさん置かれており、自由に読むことができる。それまで入れるととても全部見切れない。 ついこの間まであった建築とかも、もっと見ておけば良かった、写真撮っておけば良かったなあとちょっと後悔。僕の住んでいる晴海も今住んでいるマンションが建つ前は、前川国男設計の晴海アパートがあったんだよねえ。戦前の幻の東京万博の建物も一つだけ完成したものがついこの間まで晴海にあったのに、今は取り壊されちゃったんだよねえ。残念、残念。 以前、読んだ下記の本のことを思い出し、また読んでみたくなった。
あったかもしれない日本の都市にイマジネーションを膨らませてみるのが楽しい! メタボリズムの未来都市展 森美術館 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53階 2012年1月15日まで |
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2011 11,17 18:59 |
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夏の「空海」展に続き、秋は「法然と親鸞」だ。東寺の仏像群を持ち込み巨大な曼荼羅の幻想的な空間を作り出した「空海」に比べると今回は、かなり地味な印象だったが、「法然/親鸞」のその人間像に迫った展示は、なかなかに素晴らしいものだった。特に二人の人生やその後の弟子の布教活動を再現した絵巻は、とても保存状態が良く、まさに昨日書いたような色鮮やかさだった。ほとんど公開されていないんだろうね。
生い立ちから死までの、その波瀾万丈な人生、考え方とその後の広まりが順を追って丁寧に展示されていた。派手さはなかったけど、その人物像に迫るとても良い展覧会だと思った。 個人的に「おおっ」と思ったのは、浄土宗とインド仏教をつなげる図。その美しく現代的なビジュアルに、これって布教のための当時の広告だったのではと思ってしまうほど、センスがいいものだったなあ。かなり色あせていたけど、当時これを見たら、本当に美しかったろうな。 文字は、全部読めないけど、ところどころ判別できる。筆跡を追っていると、どんな気持ちでこれを書いていたんだろうと古の人々と心で交信できるような不思議な感覚になる。 12月4日まで、東京国立博物館・平成館にて。 |
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2011 10,20 17:27 |
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たまたま草津に行ったらやっていたので入館してみた。山下清の絵は、これまでじっくりと観たことがなかったのだけど、自分でもびっくりするぐらい引き込まれた。 この展示会は、タイトル通り東海道五十三次を描いている。江戸時代と違い、車やトラックも走る風景だが、それでも懐かしいような、見たことも無いような日本の姿が描かれていた。 点描画のようなタッチは、素朴なモノクロの世界を不思議と印象深くする。「目の前の景色より、絵が素敵になるはずはない」とは山下の言葉だが、絵には絵で非常に魅力的な力がある。 どの絵もずっと観ていたかったなあ。山下清がこんなにすばらしい画家だったなんて、今まで気付かなかった。 特別展以外にもいくつか山下の絵が展示されていて、ヨーロッパ旅行の際に描かれたものは一転色鮮やかなタッチで目に焼き付くようなオレンジや赤が印象的だった。こちらも驚くほどビビットで力強く、圧倒された。油彩だと思っていたら水彩画らしく、またびっくり。 興味深かったのは、山下の直筆の日記帳が展示されていたこと。テレビドラマのようなあの口調で書かれていたのと、鋭い眼差しからの世の中の描写がこれまたびっくりだった。日記は、句読点が一切なく、まるで樋口一葉や古典の文章みたいだった。山下曰く「話をしている時にカギかっことか丸とか言わん無いんだな」と説明書きがしてあった。 俄然、山下清の絵に興味が出て来た。もっと早く気付いていれば良かったなあ。 草津市・草津宿街道交流館にて。 |
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2011 09,28 20:49 |
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昔は、本館と言ってと思うんだけど、今は、特に日本の科学の展示館になっている。以前は、この正面玄関から入場し、いきなりアロサウルスの骨格がデーンと迎えてくれたが、現在は、地下が入り口になっている。建物自体は、重要文化財になっているが、外観も内装もその意匠の美しさには圧倒される。 かつてのエントランス。今は、閉ざされている。ここから入館できたら、博物館の体験はより素晴らしいものになると思うのだが。 天井のドーム、吊り下げられている照明もこれまた美しい。 ステンドグラスもたまらない。 吹き抜けのホール。この下中央に、昔は、アロサウルスの骨格が展示されていた。 階段部の意匠もため息が出る美しさだ。 目玉展示の一つ、フタバスズキリュウの化石。 地球館に負けじと色鮮やかな展示品。 椿の花。いろんな形があるのね。 手前の白い秋田犬は、渋谷駅前で銅像になっている忠犬ハチ公の剥製。その後の右上は、映画『南極物語』でも有名なタロー、ジローのジロの剥製。複製なのかなあ?以前見た時は、もっと貧弱な印象だったけど。 鶏もすごい種類。 弥生人の女性。 屋外展示の鯨。 |
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