2014 07,30 14:40 |
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2013 11,23 14:00 |
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東京国立博物館でもすごい展覧会が開催中。国宝/重要文化財に指定されている洛中洛外図屏風が全7点(但し、前後期で展示替えあり)、御所、龍安寺、二条城の襖絵の展示と度肝抜く内容だ。 洛中洛外図屏風は、以前京都の国立博物館の狩野永徳展でも1点見たが、間近でみるのはその時も困難であった。今回もまず、細部にわたり鑑賞するのはほぼ不可能。というかこの企画、最初から特別展での鑑賞はそもそも無理があると思う。常設展示である程度長い期間展示しないとゆっくり見るなんて不可能だ。とにかく屏風の前は、人、人、人。例え、最前列が確保できたとしても、ゆっくり見られないし、そもそも上部には目が届かない。 洛中洛外図屏風は、本物をちらっと見たという事実を胸に、高精細の巨大スクリーンでじっくり部分を見た方がいい。最初の展示室のその映像で、どのあたりに興味深い人間の営みがあるかを確認し、見たいものだけ絞って本物で確認する、それしかできない。洛中洛外図屏風をゆっくり鑑賞など夢のまた夢だ。 高精細の巨大スクリーンでの屏風投影など、最近の東京国立博物館の展示方法は、凝ったものが多く、がんばっているなと思う。今回新しいのは、超高精細映像4Kで撮影した龍安寺石庭の四季。ほぼ原寸大のスクリーンに美しい四季の移ろいが投影される。春、夏、秋、冬、それぞれに美しい。 その龍安寺の襖絵が、シアトルとメトロポリタン美術館所蔵のものが里帰りし、同じ空間に並んでいる。これもまた次いつ実現するか分からない。 御所の襖絵も近くで見られる機会はそうないし、二条城の襖絵も近く見られないものが間近でかつ、実際の配置のまま鑑賞できる。高い天井を利用した圧倒的な展示、細部まで鑑賞できるのは本当に嬉しい。そして、こちらは屏風ほど混雑していない。絵の鑑賞というより、襖絵が作り出す空間を共有できるのだ。ま、実際のその場所に入れる方が遥かに素晴らしいのだろうけどね。 趣向を凝らした展示だし、恐らく二度と実現しないと思うので、今回絶対体感すべき。 特別展「京都―洛中洛外図と障壁画の美」 東京国立博物館 12月1日(日)まで |
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2013 11,23 13:50 |
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随分前から行こう行こうと思っていたのに、気付いたら会期は明日まで。慌てて出かける。
行ってみたら、あらまあ大行列。入場までに一時間待ちと言われた。昼過ぎには、大分列の長さは短くなっていたけど、やっぱり美術館って午前中が混むのかな? すごい人だったけど、1時間も並ばずに館内に入れた。 僕は、仏像大好きで、特に奈良の仏像はたまらない。まだ多神教だから、いろんな種類の彫刻があり、またどれも躍動感溢れていて、今にも動き出しそうな迫力がある。 一堂に会した板彫十二神将像の彫刻は、薄っぺらいけど飛び出してくるのではないかと思うくらい、これは彫った人の魂が入っているような、そんな作品群だ。ここで見られるけど、いや本当に実物は、すごい迫力だったよ。 そして、今回のメイン展示。仏塔とその前に整然と並べられた木造十二神将像にも完全に圧倒される。 銅造仏頭は破損仏。白鳳期の仏像だが、15世紀に落雷による火災で頭部以外は失われた。その頭部も昭和初期まで忘られた存在だったらしい。頭部だけだが、国宝に指定されている。 仏頭を守るように陳列されているのが、木造十二神将像。会場は暗いからわかりにくいが、結構色彩の跡が残っている。また最近の展示は、円形の柵の中心に置くようにするので、像の後ろ側も見ることができる。これは、実際の興福寺では見られないので、貴重な機会だ。それぞれの干支の動物を頭に載せたユーモラスさもありながら、威風堂々とした威厳を持つ。腰や膝の曲がり具合や腕や顔の表情の一瞬の動きをとらえたその様は、歌舞伎の見栄を切っているようだ。 古の彫り師の魂を感じた展覧会だ。 国宝 興福寺仏頭展 東京藝術大学大学美術館 11月24日(日)まで。 |
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2013 08,28 20:21 |
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今回、初展示(国内初?この美術館で初?)とされている絵巻物が複数あり、個人的にはとっても面白かった。江戸時代、今より夜はずっとずっと暗く、もののけを身近に感じることができたと思う。さらに昔の古典に材を取ったものもあったけど、彼らの想像力と創造力には脱帽。空行く鬼の表現も靡く風、不気味な姿、どれも驚くほど秀逸。江戸から明治の浮世絵と絵巻、能面が圧倒的に素晴らしく、後半展示されていた水木しげるの原画は正直言って霞んだ。 おぞましい化け物達は、時にユーモラスであり、それはまるで人間の心の陰陽を表しているかのようだ。 古の人々のイマジネーションに脱帽。 大妖怪展―鬼と妖怪そしてゲゲゲ― 三井記念美術館 |
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2012 11,18 16:00 |
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空いているのでゆっくり観られたけど、中国4000年の歴史を一気に見せる企画は、失敗だったのでは?どの王朝も同じ展示スペースで均等に展示するのは、なんとも中途半端。一つ一つは、貴重なものなのだろうけど、全体を通して、これが目玉というのが無かったなあ。壮大な中国王朝に思いを馳せるには、随分と地味でこじんまりした展示品だった。正直、遺跡の写真パネルが一番興味深く、その場所に行って古の王朝の姿に思いを馳せたいなあと思った。 残念ながら、今は日中関係が良いとは言えないけど、日本文化の源流は明らかにここにも流れていて、昔の日本人がそこに何かを見たように、近いうちにゆっくり中国を訪れてみたいとは思う。 中国王朝の至宝 12月24日まで。東京国立博物館にて。 ついでに観ようと思っていた「出雲」の特別展の方は、行列および館内大混雑だったので、あきらめて帰った。 昔は、東京国立博物館の敷地内に精養軒があって、そこのデミグラス・ポークソテーが美味しかったのだけど、リニューアルしてからホテルオークラになった。館内に食べる場所は、二カ所しかないのでどちらも結構混んでいた。お昼の時間からかなりずれていたけど、ケーキとか食べている人がいて、ちょっと並んで遅めのランチ。 煮込みハンバーグ、1800円。 |
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2012 10,13 17:52 |
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京都国立博物館で開催中の「宸翰 天皇の書」展へ。昔は、書の展覧会という見向きもしなかったけど、最近は面白い。文字を見ていると書いた人の気持ちや想いがどこか伝わってくるようだ。癖というか個性がそれぞれにあって面白い。 時代を追って展示されており、だんだんと新しくなっていくのだけれど、途中空海などの実際の達人の書も展示されていた。天皇がお手本として利用したものだと。その空海の書は、東京の国立博物館でも今年展示されていたもので、思わぬ再会にびっくり。でも、その空海の書、走り書きなので、そんなに字が上手じゃないのよねえ。 南北朝時代には、朝廷だけでなく、書の文化も別れ独自に発達していたというのが興味深かった。手形を推しているもの、手紙や日記などもあったけど、ほとんどが漢文で書かれているので、もっと何が書いてあるか知りたかったなあ。 展示内容 http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/121013/sakuhin.html 書も面白いね。なかなか興味深い企画だと思う。しかし、初日なのに空いてたなあ。ゆっくり見られたから良かったけど。 |
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2012 09,21 13:40 |
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ずっと行きたいと思っていた美術展に行ってきた。夏休み中は、大混雑で入場券を買うまでに長蛇の列ということだったので、9月になり落ちついたかなということで平日に出かけてきた。それでも最初の展示室は、混んでたな。あと、平日は修学旅行生が結構いるね。
CGは好きではないのだが、昔の特撮は大好きで、グラフィックソフトなどに頼らない手描きのデザインの美しさに惚れ惚れする。子供の頃に夢中になって未来世界を想像させてくれた小松崎茂のイラストは、いつみてもワクワクするぜ。そして、ウルトラマンをデザインした成田亨。六本木ヒルズの展覧会でも感激したが、彼のデザインは本当に素晴らしい。単に子供向けの特撮テレビドラマという枠を超え、美術品だと思った。この頃のヒーロー特撮ものは、飛行機や車のデザインもかっこよかったなあ。
いろんなヒーローの生首(笑)も展示されていたが、個人的に涙ちょちょぎれたのが、「トリプルファイター」、懐かしかった。
様々な展示を見ながら進んで行くと、次は映像のコーナー。この展覧会のために制作された「巨神兵東京に現わる」で最新技術を駆使した映像を体験する。
続く展示は、特撮美術倉庫。映画スタジオの美術倉庫が再現され、戦後昭和の特撮映画で活躍した様々な小道具、大道具が陳列されている。
そして最後に用意されているのは、映像コーナーで観た映画の撮影に使われたミニュチュアセット。このコーナーだけ撮影可で、かつセットの中に入っていくことができる。
細部に渡って綿密に作られたミニュチュアセットは、ビルの看板の文字まで再現されていた。電話番号まで入っていた。(笑)これには、大人も子供も夢中になって写真撮影。
展示、映像、美術倉庫、ミニュチュアセットと順々にいろんな工夫がされた展示室をめぐるのは、まさにテーマパークのようだ。そして、テーマパークのお約束、出口の所にはお土産ショップが。プラモデル、キャラクター・グッズ、書籍、玩具など本当にたくさん売っていた。
買わなかったけど、気になったのが、「ウルトラセブン」の有名な場面を模したフォトフレーム。ちょっとそそられねえ。アマゾンでも売っているみたいなので、やっぱり買っちゃおうかなあ。(笑)
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2012 07,16 23:52 |
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チラシに採用されているこの絵、タイトルは「瓦」でなくて「雨」。よく見るとの雨の落ちた跡が点在している。屋根ではなく瓦の度アップという斬新な切り取り方をされた構図、同じような色を使いながらもその濃淡で平面なのに立体的、そして雨音までもが静かに聞こえてきそうだ。 他にも青や緑を鮮やかに印象的に配した作品が多く展示されていて、暑い夏の中、爽やかな清涼感に溢れていた。 他にも大好きな小野竹喬の作品もあって満足。しかし、前後期で展示替えをしており、見たかったものが前期で展示が終わっているものもあった。美術展情報は、ちょくちょくチェックしないとダメだねえ。でも、願わくば前後期の展示替えは勘弁してほしいな。同じ展覧会に二度行くというのは、ちょっと大変。 ロビーにはカフェがあり、常に満席状態。美術館を目的に来たお客だけでなく、近所の人の憩いの場になっている感じがした。 「福田平八郎と日本画モダン」展 山種美術館 7月22日まで。 |
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2012 07,15 17:05 |
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テーマは、「祭」。展示は、出雲阿国の歌舞伎踊りから始まり(そうそう歌舞伎は最初は女だったんだよねえ)、祇園祭、三社祭、そして江戸の風俗へと続く。 圧巻は、江戸と京都の街を俯瞰した屏風。江戸は随分と変わってしまってけど、京都は今も残る寺社仏閣が描かれており、また祇園祭の山鉾が今と変わらずどことなくその姿を現在に投影することができた。 江戸も街の姿は一変しているけれど、土地が記憶している区画とそこに過去にあった今となっては想像もできない市井の人々に生活が生き生きと描かれていて見入ってしまった。表情も結構細かく描かれていた。人間の観察力は、本当にするどくあらゆる生活の場面、場面がそこに記録されている。まるでタイムカプセルに乗って江戸時代に行ったかのようで、その当時の人々と出会った感するする。 落語でよく聴く吉原の姿も、「へえ、こんなんだったんだあ」と興味深く見入ってしまった。遊女や客や幇間が踊り、歌い、酒を飲む姿は、まるで今にも動き出しそう。人々が着ている着物の柄も色も様々で見ているだけでも楽しい。 やはり風俗画って面白いなあ。当時の人々の生きた息吹を肌で感じることができる。一日中屏風を観ていたいと思った。もっといろんな発見があるんだろうな。 日本の美・発見VII 祭 MATSURI ―遊楽・祭礼・名所 出光美術館 7月22日まで |
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2012 06,06 12:11 |
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今回の展示とほぼ同じ内容の展覧会が30年ほど前にあった。東京国立博物館の本館での開催で、当時も「日本の至宝」が帰って来たとものすごく話題になっていた。中学生だった僕、それまで美術展の絵画というと印象派やルネサンスなど西洋のものばかり観ていたけれど、この展覧会は、日本美術の素晴らしさを気付かさせてくれた。特に「平治物語絵巻」の荒れ狂う炎の描写には、ものすごく感銘を受けて、大人になったらボストン美術館へ行こうと思ったほどだ。
そして、大人になってからボストンへ行き、真っ先にボストン美術館へ行ったのだけど、日本美術の展示コーナーはとても狭く、そして江戸時代の看板の展示とかそんなものがやっていた。所蔵していると展示しているとは別問題なのだ。まあ、別の機会の時に観たボストン美術館の浮世絵展の色鮮やかさに驚いたけれど、本当に保存状態良く保管してくれている美術館なのだろう。 という訳で、ボストンに行けばいつでも日本美術の至宝が観られるというのではないので、こうした展覧会は本当に貴重だ。 当然、展覧会は大混雑。平日でも入場規制がかかるほど。全部をゆっくりなどはとても無理。ということで、30年前に観た絵巻との再会に注力し、ガラスにへばりつきながら鑑賞した。やはり、展示されていた2巻の絵巻は、圧巻だった。 「吉備大臣入唐絵巻」は、全巻展示。普通、絵巻ものの展示は一部分だけが鑑賞できることが多いが、今回は全部観られた。これは、まさにSFアドベンチャー。超能力を持った吉備大臣は、空を飛び、厳重な警備の王宮に忍び込み、スパイ活動などして、唐の皇帝が出す難題をクリアしていく。阿倍仲麻呂の幽霊が出て来たりと当時から想像力溢れるストーリー展開がされていた。 続く「平治物語絵巻」は、「吉備大臣・・・」と比べると絵画の技術力と表現力が飛躍的に向上していているのがよく分かる。30年前に驚愕した炎は、当時の感動のまま、そして登場人物の細かい動き、表情は、時に迫力があり、時に切なくそして残酷で、戦に翻弄される人間の運命が凄まじい。 他にもすごい作品がたくさんあったけど、個人的にはこの2巻の絵巻との再会に尽きる。 東京での展覧会は、終わってしまったけど、来週から名古屋のその名も名古屋ボストン美術館での展覧会が始まる。続いて、来年福岡、大阪と巡回する。 ボストン美術館展ホームページ その後、常設展示へ。 特別展では、人だかりで全体を観るのが困難だった横山大観の「雲中富士」も常設展示ではゆったり観られる。特別展に展示される作品も常設展示に通っているとゆっくり観られるので、国立博物館を頻繁に訪れるといいと思うよ。 |
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