2017 12,22 12:07 |
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現在、六本木の森美術館で開催されている「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」は、とってもお薦めの展覧会。レアンドロ・エルリッヒは、日本では、金沢の21世紀美術館の「スイミング・プール」が有名だよね。 騙され易い人間の視覚とそれによる錯覚を利用した面白い展示作品が並ぶ。さらに楽しいのは、その作品に中に観覧者が入って自由に撮影が可能なこと。(フラッシュ撮影は禁止、動画は1分以内。撮影した画像の修正は不可)今風に言えば、インスタ映えすること間違い無しの展覧会だ。 思わず声をあげてしまう不思議な作品が次から次に現れる。廃校の教室に自分が幽霊のように現れる「クラスルーム」、突然知らない人が鏡の中から現れる試着室、不思議な鏡の世界のヘアーサロン、巨大な壁に観覧者が張り付く建物など、楽しくてしょうがない。自分も上手に被写体に入るには、二人以上で行くのがいい。一人だとちょっと楽しみ半減かも。ヘアーサロンは、3人いるとすごい写真が撮れるね。 窓から向こうの建物を窓を覗いたら、まさかのもう一人の自分がこちらを見つめていた。 建物から落ちるぅ〜。 21世紀美術館の「スイミング・プール」の模型も展示されていた。 驚きと楽しさ満載の展覧会。もう絶対にお薦め! レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル 森美術館 にて2018年の4月1日まで。 |
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2017 11,25 18:21 |
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大混雑必至で、そんな環境ではゆっくり作品に対峙できないと分かっていたので、当初は行くかどうか迷っていた。でも、やっぱり行って良かったな。 もちろん、東大寺の三月堂や興福寺の北円堂のように静かな空間で千年の時を超える会話とはならないのだけど、ここまで間近で見られること、仏像の裏の姿が見られるということでやはり貴重な機会だった。 全ての展示作品をじっくり鑑賞というのは、はなからあきらめていたので、以前興福寺の北円堂の特別公開で出会っていた無著菩薩立像・世親菩薩立像との再会に的をしぼりそこに1番時間をかけた。あるべき場所にある姿も良いけれど、こんなに近くで見られたことはやはり感動的だ。特に後姿には当時の色や剥げていない漆や着物の模様が残っているところがあり、そこから往事の姿を想像するに、なんとも言えぬ感慨深さがあった。 魂が乗り移ったかのようというのは、まさにこういう仕事を言うのだろうな。もの言わぬ彫像がこんなにも雄弁なのかと、何かを感じずにはいられない。 そして、また暫くしたら、奈良に行って運慶と再会したいものだ。 興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」 東京国立博物館にて。11月26日まで。 |
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2017 11,24 18:27 |
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うかうかしている間にまたしても会期末ぎりぎりに。Twitterで現地で並んでいる人のつぶやきを見てみると、入場券を買うのに60分以上待ちとの情報が。金曜日は20時まで開館しているので金曜の夜を狙って出かけてみた。18時過ぎに行ってみたら行列無し。ということで入館。それでも館内は、そこそこの混雑。まあしょうがないよね。 大正から昭和初期に皇室に献上された美術品が並ぶ。当時最高の技術の粋を集めた伝統工芸品制作を指揮したのが東京美術学校。東京藝術大学の前身だ。今回、東京藝術大学創立130周年記念特別展ということで言わば里帰りした感じだ。 目玉は、今回の展示で皇居の外へ初めて出たという「御飾棚」。皇太子 (昭和天皇) ご夫妻のご成婚を祝して献上されたもので、皇太子、皇太子妃それぞれに贈られたものが対になって展示されていた。どちらも見事な螺鈿と蒔絵にうっとり。 「東京名所図」は、当時の東京市の地図と名所を扇に表したもので、古地図好きにはたまらない作品。 高村光雲の彫刻もいくつか展示されていて、どれも素晴らしかったけど、「松樹鷹置物」には圧倒された。鷹もすごいんだけど、動かぬはずの松の躍動感が恐ろしいほど。特に松の根がまるで上部の鷹のそれを代わって表現されたような何かを掴むような力強さが圧巻だった。 そして、二曲御屏風の鮮やかな美しさも鳥肌もの。日本の工芸、芸術って本当に素晴らしい。 技巧や表現の美しさもさることながら、当時の日本の美しい情景にも心打たれた。 皇室の彩 百年前の文化プロジェクト 11月26日まで 東京藝術大学大学美術館にて |
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2017 09,22 15:22 |
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上野の国立博物館で開催されている「フランス人間国宝展」に行ってきた。特別展だが、平成館でなく表慶館での開催。表慶館の方が遥かに好き。ここは、建物自体が美術品。この空間に今も入ることができるのが嬉しい。 フランス人間国宝(メートル・ダール/Maître d' Art)は、日本の人間国宝(正式名称 重要無形文化財の保持者)認定にならい、伝統工芸の保存・伝承・革新を旨として、フランス文化省により1994年に創設されたとのこと。最近なんだね。今のところ13名が認定されているらしい。 入館して最初の部屋からノックダウンされる。天目茶碗がこれでもかと並べられている。暗闇の中に整然と並べられた茶碗に仄かな照明が当てられていて、茶碗がキラキラと輝いている。まるで天目茶碗の宇宙だ。この展示だけでも来る価値あり。 他にも傘や扇、鼈甲の眼鏡など、日本の伝統文化と共通するものも多く、比較しながら鑑賞するのも一興。エンボス加工の部屋も良かったなあ。展示作品が、表慶館の空間とあいまって展覧会自体が一つの作品のようだ。 フランス人間国宝展 東京国立博物館 表慶館にて。11月26日(日)まで。 |
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2017 08,18 12:40 |
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2017 02,02 12:58 |
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キース・エマーソン、グレッグ・レイク、ジョン・ウェットン、グレン・フライとここ1年で大好きだったアーティストが次々に亡くなってしまい、寂しく切ない想いだ。デヴィッド・ボウイも大好きだった。初めて買った彼のレコードは、「ジギー・スターダスト」。中の曲は一つも知らないのに、アルバム・ジャケットにつられて購入。一曲目に針を落とした途端にその世界に引き込まれた。今も全く色褪せない素晴らしい音楽だ。
美術展でその作品の前でボタンを押すと説明が流れるオーディオガイドは、よくあるが、こちらは、展示作品の前に立つと自動的にその展示と関係があるボウイの音楽が流れてくる。ボウイのこれまでの名曲を聴きながら観覧するのだ。インタビューのビデオが流れているモニターの前に来ると、音声になったりとなかなか凝っていた。結構ところ狭しと展示作品があるのに、上手に音楽が切り替わりった。音楽を聴きながら思わず体が動いてしまっている人もいた。もしかしたら、僕もそうだったかも。(笑)まさに体感する展覧会だ。 ボウイの直筆のノート、絵画、時代時代の衣装他貴重な資料がたくさん展示されていた。もともと美術学校出身のボウイだけあり、ミュージック・ビデオや衣装、コンサートの舞台などの絵コンテやデッサンがたくさんあって、大変興味深かったな。 圧巻なのは、やはり衣装。当時の映像のメイクアップと合わせてみると、そのスタイルとビジュアルは、同じ人とは思えぬほど。そして、体が細〜い。バックにクラウス・ノミがいる映像もあって、これノミのドキュメンタリー映画で観たなあと懐かしく、また切なくなっちゃった。 やはり、年配のお客さんが多い気がしたが、ボウイの音楽は今の若い人にも気に入ってもらえると思いう。また、衣装やデッサン、出演映画やミュージック・クリップの映像は、美術やデザインを志している人にも絶対に面白いと思うね。 ボウイの名曲に誘われて、展示作品を巡る、まるで時空を超える旅のようだった。懐かしい曲に、当時のことを思い出しながら、楽しい時間を過ごせた。グッズもいろんなものが販売されていたね。 確実に入場できるよう、事前にチケットを買った方がいい。僕は、前日にチケットぴあで購入し、コンビニで発券した。ぜひ、天王洲にデヴィッド・ボウイに会いに行ってみてね。 DAVID BOWIE is |
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2016 11,22 22:33 |
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東京国立博物館の特別展「禅―心をかたちに―」に行ってきた。大規模な展覧会なのに会期は一ヶ月ちょっと。おまけに前・後期で展示替えがある。前期だけ展示の作品は、観たことがあるのが多かったので、後期に出かけた。国立博物館の平成館は、展示室の空間造りや見せ方に凝ったものが多いのだけど、今回は淡々とガラス越しに展示しているものが多く、面白みには欠けたなあ。 後期を選んだ理由は、雪舟の「慧可断臂図」と如拙の「瓢鮎図」が展示されているから。これは、どちらも普段は京都にある。雪舟の「秋冬山水図」は、東京国立博物館にあって、時々常設展にも並ぶのだ。その時の方がゆっくり観られるからね。「瓢鮎図」は、京都の妙心寺の退蔵院に行ったことがあるんだけど、方丈に飾られていたのはレプリカだったんだよねえ。どうしても本物が見たかったの。どちらも水墨画。水墨画は、その濃淡をいかした表現のすごさが、本物だとよく分かるね。 興味深かったのは、十大弟子像の展示。サークル状に並べてあり、それぞれの仕草や表情が個性的で見入ってしまった。 全体的に見せ方にもう一工夫欲しかったなあ。そして、国宝、重要文化財が多数並ぶなか、目が行ってしまうのが仙厓だったなあ。(笑) 凛とした静寂の中で作品と対峙できたらと無理なことを願ってみる。。。 展示室の最後に座禅を組んで記念写真が撮れるコーナーがあった。 11月27日まで。東京国立博物館にて。 |
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2016 11,13 22:19 |
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ロシアの宇宙飛行士が宇宙で使った小便器や大便器、ジャップ・ハンティング・ライセンスと書かれた証明カード(硫黄島)、石器時代の斧、月の隕石など奇妙なコレクションは、展示方法も面白く見応えがあった。しかし、せっかくの素晴らしい企画なのに、この美術館の展示室では狭すぎる。 一つ下の階の展示室では、廃墟になった映画館の写真。朽ち果てた館内にスクリーンだけ眩しく輝いている。写真手前の床に撮影時そこで上映した映画の名前が書いてある。実際にその映画を上映しているスクリーンの明かりで長時間露光を行い撮影するというすごいもの。僕が初めて杉本を知ったのは、この映画館シリーズなのだけど、それは廃墟ではなく、人は誰もいないけれど現役の映画館だった。杉本の写真は、海といい、自然史博物館のジオラマや蝋人形といい、昔から「ロスト・ヒューマン」だったのだねえ。 廃墟の映画館の裏側には、2005年の杉本博司展でも展示されていた京都・三十三間堂の仏像群。手前に大きな柱があったのが残念だが、荘厳なる雰囲気だ。もし、この空間に自分一人だったら、どんなに贅沢だったろうねえ。 これまでにない試みがとっても面白かったけど、もっと写真を観たかったな。 |
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2016 10,29 12:00 |
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瑞巌寺は、高校生の時に親友と旅行したことがあったけど、その時はちゃんと見ていなかったなあ。こんなにもすごい宝に溢れていたとは。まあ、年を取った今だからこそ、分かるものもあるけどね。 伊達政宗って、達筆で絵も上手だったのね。独眼竜の異名のもと、なんとなく猛々しいイメージがあったけど、繊細で優しい人だったのかな。献上物に対してのお礼の直筆の書などが展示されていた。 個人的に最大の収穫は、国宝の瑞巌寺本堂彫刻欄間。Webサイトの写真じゃ全く伝わらないけど、ものすごい立体感と躍動感。特に植物は、蠢くようにその蔓や葉が動きだし目の前で成長しているではと錯覚する。これは、絶対に実物を見るべし。すごい。 展覧会の目玉は、五大明王像かな。瑞巌寺のホームページによると「松島五大堂に安置され、三十三年に一度御開帳される秘仏で、前回は2006年に御開帳。本来なら2039年まで見ることが出来ないが、今回特別に震災復興祈念として出開帳を行う」とのこと。この機会を逃すことなかれ。 正宗の正室が作らせた伊達政宗甲冑倚像は、等身大。映画やドラマでは眼帯をしているが、実際にはしていなかったらしい。 なかなかに見応えがある展覧会だ。 特別展「松島 瑞巌寺と伊達政宗」 三井記念美術館 11月13日(日)まで。 |
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2016 10,15 20:54 |
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青空映える良い天気、「平安の秘仏」展を観るために東京国立博物館に出かけた。てっきり平成館だと思っていたら、本館の特別室だった。入館してすぐの大階段の後ろのスペース。滋賀県甲賀市にある櫟野寺(らくやじ)の秘仏の本尊他全部で重要文化財指定の20体が東京にやってきたのだ。特に本尊の十一面観音菩薩座像は、かつては33年に一度しか開帳されなかった秘仏で、今も正月と春秋の特別公開の際にしか拝むことができない。 部屋に入ると、思わず心の中で「でかっ」と声をあげてしまう。もちろん奈良の大仏に比べたら遥かに小さいのだけど、自分が想像していたものとのギャップはかなり大きく、見応えあるものだった。普段はなかなか見られないということで、金箔もあまり剥がれていないし、また座っている足の部分と肩の部分の衣のデザインがとても良く残っている。 それほど広くない展示室に、20体の仏像が並ぶ様は、壮観であり、また一体一体違った表情で素晴らしい。やはり、観音様の優しい表情に癒されるなあ。 今日は、久々に和装で出かけてみた。昼間は暑いくらいだったけど、夕方は心地よい感じだったな。 特別展「平安の秘仏―滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」 東京国立博物館にて。12月11日(日)まで。 |
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