2011 04,14 23:49 |
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女性が男の遊び道具みたいだし、意味もなくむやみに人を殺すし、どうなんだろう、この映画、今観ると。 ただ、滅び行く西部の男たちが、だんだんと追い詰められていく過程はなかなか。 そして、やっぱり、ウィリアム・ホールデンだよなあ。子供の頃、アメリカ映画というと、まっさきにこの人が浮かんだよなあ。「慕情」とか「ピクニック」とかかっこよかったよなあ。もちろん、リアルタイムでは観てないけど。 どうもドンパチ、ドンパチものは苦手なんだよなあ。栗3つ。 TOHOシネマズみゆき座にて。 |
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2011 03,04 23:54 |
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デビット・ボウイの息子ダンカン・ジョーンズの監督作品。ストーリー原案も彼によるものらしい。 低予算だったためか、CGを使わず、ミニチュアみたいな月のセットが逆に新鮮で美しい。 月の資源の採掘のため、一人月で作業する主人公。話し相手は、HALのような人工知能を持ったコンピューター。このコンピューターの声のみの出演にケヴィン・スペイシーってのが渋い。 通信衛星の故障で地球とライブ中継ができず、録画した映像のやり取りしかできない。 3年の期限の労働がもうすぐ終わろうとする主人公に驚愕の真実が突きつけられるという内容だ。 「2001年宇宙の旅」と「惑星ソラリス」をくっつけたような感じだけど、それと比べるとかなりのお粗末さは否めない。ただ、ちょっとチープでシュールなSFとしては見応えがある。 もう一人の自分が現れてから、その互いの苦悩がもっと出ていれば、これ傑作になる可能性もあったのになあ。やはり、悲しい運命を抱えた人間の苦悩の描き方がもう一歩というところか。 ただ醸しだす雰囲気は、とてもいい。次回作とか期待しちゃうな。 栗3つ。中途半端だけど、楽しめる映画だ。 ユナイテッドシネマズ豊洲 スクリーン6にて。
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2011 03,03 23:11 |
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もともとのコンセプト「地球は神ではなく、悪魔が創造した」というオチを製作総指の人がうっかりもらしてしまったため、トリアーが脚本を書き直し、そのせいだかわからんけど、トリアー自身がうつ病になってしまい完成が遅れた作品だ。 えげつないグロテスクなシーンが多く、おまけにR指定だ。猥褻というより、グロテスクなシーンが性器に向けられているからか。しかし、日本では映倫の指導ですごいシーンはぼかしが入っている。 これは、好き嫌いが分かれる映画だろうな。まあ、トリアーの作品は、みなそうだけど。 正直、全体的な印象は、ホラー映画だ。はっきりいって怖いよ。ただ、「13日の金曜日」みたいなB級ホラーというよりは、「エクソシスト」や「ローズマリーの赤ちゃん」のような格調高い雰囲気はある。 残念なのは、デジタル処理が多いことか。 さらっと観ると、ただのホラー映画としか思えぬ節もある。 されど、いろいろ考えてみるとなかなかに設定は面白い。 タイトルは、「Anti Chris♀」となっており、Tが女性のマークになっている。後半、豹変するシャルロット・ゲンズブールが悪魔で、「最後の誘惑」でキリストを演じたウィレム・デフォーが神なのか(?)、神と悪魔の壮絶な死闘が繰り広げられる。 エンド・クレジットで、「タルコフスキーに捧ぐ」と出る。と、ここで初めて、いろんなことに気付きだす。プロローグで出てくる3人の乞食の像は、タルコフスキーの「サクリファイス」の「東方の三賢人」とだぶり、森の中の枯れた白い大木は、これまたサクリファイスの有名なオープニング・シーンのオマージュのようだ。(もともと「サクリファイス」のそのシーンは、溝口の「雨月物語」のオマージュだけど) とキリスト教に詳しい人が観ると、もっともっといろんな埋め込まれたメッセージが見えてくるんだろうなあ。 隠れたメッセージや意味、テーマを考えながら観ると奥深いのかもしれなけど、そういうの何も考えないとただのホラー映画だね。 とにかく観客の気持ちを逆なでするかのような痛いシーンの連発は、好き嫌いの分かれるところだろう。 栗3つ。ヒューマントラストシネマ有楽町 スクリーン1にて。 ウィレアム・デフォーの顔が生理的に苦手。ごめん。セックス・シーンの嫌悪感の原因は、そこだったりして。 |
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2011 02,26 22:44 |
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コリン・ファースの演技は、良かったね。吃音の悩みと次男なのに王にならなきゃいけない葛藤とが素晴らしくよく滲み出ていた。 ただ、僕は、淫らなアメリカ人女性と結婚するために王位を投げ出した兄の話の方が面白いんじゃねえかと思ったよ。 まともな役のヘレナ・ボナム・カーターを久しぶりに観たよ。 ジェフリー・ラッシュも巧いねえ。 という訳で演技は、楽しめる。 でも、お話はというと、これまたありきたりの展開で、ところどころ微笑ましいエピソードはあるものの、それほどすごいってものは無かったねえ。 クライマックスのドイツへの宣戦布告のスピーチだけど、やはり自国民が聞くのとはそれほど思い入れが違うのか、それほど感動的でもなかった。それに、なんでドイツへ戦線布告しているのに、バックに流れる音楽がベートーヴェンなんだろう?あえて? きわめてオーソドックスな作りで新しさもなく、これといってすごいところもなく、淡々としている。まあ、奇抜な設定ばかりが目立つ昨今の映画の中では、まともに見える大人の映画なのかもしれない。 個人的には、「ソーシャル・ネットワーク」の方が見ごたえあったなあ。二度目も観た時も面白く最後まで釘付けだったし。この「英国王のスピーチ」は、もう別に観たくない。 栗3つ。普通の出来。期待しすぎると拍子抜けかも。 TOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン7にて。 |
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2011 02,25 22:16 |
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内容は、いかにもアメリカ人が好きそうなお下劣ネタのオンパレード。下品で、いやらしくて、馬鹿馬鹿しくて、とんでもない。とにかく品がない。 超下品だけど、脚本はそれなりに練られており、二転三転するストーリーは、最後まで飽きさせず魅せる。まあ、消えた花婿のオチがいまいちだけど。もっととんでもない結末があるのかと期待しちゃった。 へんてこりんな危ないキャラとしては、マイケル・マクドナルド似のアラン役の太っちょが面白い。この配役は、秀逸。ただ、昔のジョン・ベルーシなんかと比べるとまだまだパワー不足かなあ。 あと、やっぱり、ゴールディー・ホーンの「ファール・プレイ」のような奇想天外で抱腹絶倒のコメディを知っている世代からみると、まだまだ物足りないよなあ。 結局二日酔いの理由がドラッグというオチがちょっと残念。 それでも2時間、楽しく過ごせる。最高の暇つぶし。 アメリカでのヒットを受けて、今年続編が公開される。舞台は、ラスベガスからタイのバンコクになるらしい。あのボクサーもまた出ているらしい。 栗3つ。エンドクレジットのデジカメ写真が一番面白かったりする・・・。 ユナイテッドシネマ豊洲 スクリーン6にて。 |
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2011 02,20 21:39 |
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身勝手で我侭で自分のことしか考えない人間、そんな中で人間の素晴らしさを気付かせてくる魔法のような映画。映画や芸術が素敵な時間と温かい心を与えてくれる、こういう映画があるから、それを求めてたくさん映画を観てしまうんだよなあ。 監督は、「第三の男」のキャロル・リード。こんなロマンティクなラブ・コメディも作れちゃうのねえ。脚本は、「ブラック・コメディ」、「エクウス」、「アマデウス」など歴史に残る傑作戯曲をたくさん世に出したピーター・シェーファー。これで面白くないわけがない。 「屋根の上のヴァイオリン弾き」で有名なトポル、学が無いけど可愛い女を演じさせたら右に出るものがいないミア・ファロー、この二人の演技は最高。 妻が浮気をしているのではないかと探偵を雇う夫、その疑いの心が招くとんでもない出来事・・・。もうこの脚本が秀逸。 孤独の人間の中に人間の素晴らしさを芽生えさせる台詞の無い10日間の追跡劇は、なんともロマンチックでユーモラス。これぞ映画の魔法。食材の名前の通りを導く場面、ホラー映画から「ロミオとジュリエット」へと導く場面、追う側からいつの間にか導く側に入れかわるその演出の手腕には、脱帽だ。 映画って本当に素晴らしい。映画の魔法にかかって幸せな気分になる。多くの人にとって忘れられない映画になっているのが頷ける。 栗5つ。これが映画というものだ。 TOHOシネマズみゆき座にて。
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2011 02,19 22:23 |
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並行して進む3つのストーリーは、ありきたりで、予想通りに展開していき拍子抜け。ロンドンの子供のとのやりとりは、まさに「シックス・センス」の二番煎じで苦笑。 唯一、セシル・ド・フランスは、いい感じだったけど、それ以外の俳優陣は退屈だったなあ。 どうでもいいエピソードばかりで、話は冗長。あまりに中身が無い展開には辟易してしまう。 エンターテイメントとしても失敗、人間ドラマとしても見所無く、残念な映画。 栗2つ。観なくていいと思う。 丸の内ピカデリー1にて。 |
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2011 02,11 13:14 |
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にっし君から電話。「ソーシャル・ネットワーク観にいきましょうよー」と言うので、すでに観ているけど、試写室だったし、面白かったから映画館でも観てもいいなあと思っていたので、行くことにする。
窓を開けると外は、雪が舞っていた。それほどひどい降りではなかったので、出かける。公開からだいぶ日が経っていたのでシネコンではすでに小さいスクリーンに移っており、久しぶりに松竹のメイン館である丸の内ピカデリーへ。電車がちょうどいいタイミングでやってきて、家から映画館まで16分という最短記録で到着。 丸の内ピカデリー1(2も・・・)は、スクリーンが大きくて、2階席は観やすくて好きだ。 2回目の「ソーシャル・ネットワーク」。2度目でも面白かったねえ。全然飽きなかった。 やはり、オープニングの二人の会話のシーンは、秀逸。畳み掛ける台詞の応酬がかみあわず、それでいていやそれこそが登場人物の性格を浮き彫りにさせることに成功している。この映画、このファースト・シーンが全てだと言っていいほどだ。 前回は、全く気がつかなかったけど、アイデアを盗用されたと訴える双子、一人で演じてたんだよねえ。そう知って観ると、確かに「あ、ここ合成っぽい」ってところがあるんだけど、びっくりするくらい演じ分けられていて面白かったな。 BARの外の寒い環境での会話の場面やボートレースのシーンなど映像表現も面白い。オープニングの会話の後、広いハーバード大学構内を走り抜けて寮に戻っていくカメラワークもいいよなあ。 演技もいいから、見入っちゃうね。 という訳で、二度目もものすごく楽しめた。 丸の内ピカデリー1にて。栗4つ。
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2011 01,10 17:17 |
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上映している映画館の中で一番スクリーンが大きいところで観ようと思い新宿ミラノ1へ。かつては、新宿一の映画街だった歌舞伎町、バルト9や新宿ピカデリーのシネコン化に押され、大劇場の新宿プラザが閉館、ミラノの周りの中小映画館も軒並み閉館していた。映画もエロも全体的に歌舞伎町からパワーが無くなっている感じがした。 日劇、テアトル東京、日比谷映画、有楽座、日比谷スカラ座とかつての映画館らしい大劇場が姿を消し、ついこの間まで東京で一番の収容人数とスクリーンの大きさを誇るのがここ新宿ミラノ1だった。昔は、新宿ミラノ座と言われていたね。キャパシティは、単独映画館としてはいまだ東京で一番大きいが、スクリーンの大きさでは、ワーナーマイカル海老名、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、ユナイテッドシネマ豊洲に抜かれた。 されど、新宿ミラノ1には、スクリーンの前に幕があるのだよ。映画ファン感涙。そして映画館ではろくなものが食べられないけど、ここは館内にモスバーガーがあるという貴重な映画館なのだ。 でも、今時座席指定じゃなく、入場に並ばせるのはちょっと不満。 と映画館の話が長すぎた。 肝心の本編だけど、音楽ファンなら楽しめるが映画ファンには消化不良という感じか。お決まりの展開となんのひねりも無い脚本は、退屈きわまりない。陳腐の台詞のオンパレードやありきたりのラブロマンスには、辟易してしまう。 されどどうせ観るなら映画館をお勧めする。大音量の音楽とアギレラ、シェールの歌声を度迫力のボリュームで聴けるのは価値がある。アギレラは、顔と体からは想像できないほどパワフルな歌声とダンスを披露。 声量や迫力で圧巻のアギレラだが、シェールの存在感はまた別格で、歌って技量じゃなく心なんだなあと思わせてくれる。 このところすっかりレディGAGAにお株を奪われたが、エロ奇抜衣装の元祖は、シェールだよねえ。 ドラマを期待していくと肩透かしだけど、豪華なレビューを観たと思えば楽しめる。 栗3つ。新宿ミラノ1にて。 にっし君が「シェールって男だと思ってた」と言っていた。違うよ。違うよねえ? あ、それからLAのセレブは、やっぱりルブタンの靴を履いているんだということが確認できたことが収穫か?(笑) |
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2010 12,24 22:43 |
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『晩春』が日本人の心の美しさを表しているとすれば、『東京物語』は日本人の切なさを象徴している。 家族というものを親と子、それぞれの視点から描いているが、この頃の日本で既に親から見た家族の喪失を描いていることに驚く。昔は、家族の絆って強かったとのだろうと勝手に思っていたけど、意外と今と変わらなかったのかもしれない。 杉村春子演じる一見嫌味な長女だが、この人物こそ市井の人々の代表なんだろう。目の前の事象に上手に対処し、喜怒哀楽も普通にあるが、一方で物事に対して冷めていてエゴむき出し、自分さえ良ければそれでいいタイプだ。 対照的に原節子演じる死んだ次男の嫁は、他人なのに一番優しい。あまりに親切で優しいその姿だが、時折見せる冷たい表情に偽善的な匂いも感じないではない。ラスト「私、ずるいんです」とういう台詞を原に言わせる脚本は、ものすごい。それに対する笠智衆の台詞は、涙無しには観られない。 どうしようもない孤独と喪失感、切なく悲しい展開に、でもこれが人生なのだろうと妙にしみじみしてしまう。 たんたんとした日常の中に人間というものを描ききった稀有な作品。 栗5つ。 神保町シアターにて。
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