2011 11,18 22:24 |
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デビッド・ボウイの息子ダンカン・ジョーンズの監督第2作。デビュー作「月に囚われた男」ほどの世界観と切なさには及ばないものの、今年の映画の中ではなかなか見応えがある。原題は、「Source Code」。シカゴで起きた列車事故で死亡した乗客の一人に、主人公が転送され犯人を見つけ出すというもの。死亡した人の記憶は、8分間残存しており、そこにプログラムで入り込む。「マトリックス」に近い世界観で、主人公が体験するのはすべてプログラムのバーチャル・リアリティーということだ。
タイム・トラベルでないので、実際の乗客は既に死んでおり助けることはできない。物語のフォーカスは、次なるテロを防ぐための犯人探しだ。 繰り返し同じ8分間を体験する、その中で恋に落ちるというプロットは、過去にない訳ではなく、その意味で斬新ではないが、なかなかに魅せる脚本で最後まで飽きない。 アクションとしても、サスペンスとしても良く出来ているが、最近のアメリカ映画に多い、家族愛や人道主義へのお涙ちょうだい的なエピソードの挿入がちょっと辟易。主人公の悲しさや人生の心残りを入れ込みたかったんだとは思うけど、どうしても伏線の無理矢理感が否めない。 「映画通ほど騙される」というキャッチコピーだったが、正直始まってすぐ(始まる前から?)、装う通りの展開となる。それほどの驚きは無いし、用意されているラストのどんでん返しも予想の範囲内。最後にもっとすごいものを期待しすぎちゃったね。 栗3つ。ユナイテッドシネマ豊洲 スクリーン6にて。 |
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2011 11,12 23:19 |
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抜けているダメ男で極道を気取っているけど、優しさが抜けきれない、こういう役をやるとピカイチだなあ、拓ボンは。そんな拓ボンの一所懸命なところと笑顔を見ているだけで癒される。 出演者が楽しんでいる感じが面白い。夏八木勲のブッとんだキャラ設定は「動」の魅力、菅貫太郎のヤクザの親分は、インテリ風で「静」の魅力。 室田日出男ですら、かっこいいと思えてしまうラストの夏八木との一騎打ちは、ドリフの大爆笑的な結末が待っている。 極道ものなのにホンワカしている不思議な映画。拓ボンの魅力がスクリーンに溢れている。クライマックス(?)の志賀勝との対決(笑)は・・・。栗3つ。 銀座シネパトス1 「生誕70年 川谷拓三映画祭」にて。
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2011 11,12 22:53 |
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子供の頃テレビで観たことあるけど、スクリーンで観るのは初めて。また、結構話を忘れていたので、初めて観たような新鮮さがあった。前半は、結構ドタバタ喜劇調だったんだねえ。おいそれはないだろう的な突っ込みどころ満載だけど、楽しめたなあ。
主役は、渡瀬恒彦なんだけど、圧倒的な印象を残すのは、やっぱり川谷拓三なんだよねえ。以前観た時も、拓ボンが人質の子供をバスの窓から小便させるシーンは覚えていたなあ。 悪人だけど根は優しくていい奴みたいなのは、川谷拓三の真骨頂だ。暴力的だけど、ところどころで人間の優しさを垣間見せる。 曲者なのは、実は被害者。善人振りながら、己の欲のままに真実を隠して知らんぷりする。単なるアクション映画ではないラストが用意されている。できれば、もうちょっと上映時間を長くして、とんでもない乗客たちの過去をさらけだす会話とかあればさらに面白かったと思うんだよねえ。 栗3つ。こんなにパトカー壊して大丈夫なのって心配になるくらいのカーチェイスだった。(笑) 銀座シネパトス1 「生誕70周年 川谷拓三映画祭」にて
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2011 09,03 23:06 |
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『LIFE IN A DAY 地球上のある一日の物語』という映画を観てきた。この作品は、リドリー・スコットとトニー・スコットの兄弟の会社がプロデュースしたドキュメンタリーで、2010年の7月24日にYouTubeに投稿された映像を編集したものだ。寄せられた映像の投稿は、8万本で約4500時間。それが90分の作品になっているんだけど、まあ編集が見事だった。
何でもない一日、ある者はこの世に生まれ、ある者は働き、ある者は旅をし、ある者はただ徘徊し、ある者は笑い、ある者は泣き、ある者は踊り、ある者は愛し合い、ある者は死ぬ。およそ、世界中のあちこちで日常起きているこれらの出来事が何故かとてもドラマチックである。何でもない日が毎日綴られて、それが人生なんだとしみじみとする思いがあった。 YouTubeの映像だから素人っぽいものが多いのかと思ったが、投稿にはプロやアマチュアのカメラマンのものが多く(そういうものを選んだのかな?)、美しい映像あり、はっとするアングルがあり、また目や表情の捉え方も映画のようでもあった。もちろん素人の微笑ましい映像もたくさん使われている。 何でもない一日の市井の人々の生活に、この地球の文化の多様性を感じた。 上映劇場は、こちら。何故かユナイテッドシネマが多いな。 栗4つ。ユナイテッドシネマ豊洲 スクリーン11にて。 |
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2011 09,03 20:38 |
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BBCの動物ドキュメンタリーのクオリティーはものすごく高い。特にさまざまな角度からの解説も加えたアッテンボローのシリーズには驚愕し、感動した。同じBBCものながら映画版は、かなりのダイジェスト版になっており、地球上のあらゆる場所、多くの動物を扱っているだけに一つ一つのパートが短く全体的に散漫の印象だ。どこかで観たことある(というかアッテンボローのシリーズではもっとすごい映像を観た)ものばかりで新しいものや、すごいと思うものは少なかった。映像の美しさでも過去の作品に劣る。 何匹目のどじょう?残念な出来。そろそろ別の視点を考えたいね。栗2つ。 ユナイテッドシネマ豊洲 スクリーン10にて。 |
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2011 08,17 23:25 |
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『紙兎ロペ』をご存知かな? TOHOシネマズの一部劇場で映画が始まる前に上映しているショート・ムービーだ。ほんわかとした笑いのテイストがたまらなく、すっかりファンになってしまった。もともと映画好きではあるのだが、最近は、このロペが映画本編よりも楽しみになってきた。
おなじくロペ大好きなにっし君と毎月「ロペ会」と称して映画を観に行っている。もちろん映画本編自体も楽しみなのだが、ロペの新作を見ることに重点が置かれており、TOHOシネマズでもロペが上映されている映画館を選ぶことになる。何故か家から近い銀座の日劇やスカラ座では上映していなく、TOHOシネマズ六本木ヒルズに行くことが多くなるねえ。シャンテでも上映しているんだけど、シャンテでかかる映画とはかなり雰囲気がかけ離れていると思うんだよねえ。どうして日劇やスカラ座でやらないんだろう?謎だ なんとその『紙兎ロペ』の第二弾DVD発売記念ということで、これまでの全作上映と未発表作品が観られるイベントがTOHOシネマズ六本木ヒルズであった。スクリーン7という一番大きい劇場でロペ全作上映を満喫した。 これまではくすくすと笑ってしまい、またそれがいつまでも思い出し笑いみたいにじわじわと残る感じだったのだが、今回は、抱腹絶倒の「試食」、ちょっとしんみりハートウォーミングな「キャプテン・ペガサス」など新境地を見せてくれたねえ。お寺で焼き芋焼いているエピソードも面白かったなあ。まだ観てない人はお楽しみに。 上映後のトークショーには、脚本・監督の内山勇士さんとアニメーション担当の青池良輔さん、そして今回ロペの新作で声優に挑戦したAKB48の篠田麻里子さんが登場。驚いたというか、やっぱりというかロペの登場人物たちの声は、すべて内山さんが1人でやっていたということ。そして嬉しい発表としては、来春、劇場版『紙兎ロペ』が公開されるということ。これも今から楽しみだ。劇場版の方にも篠田さんは声優として登場するみたい。 タイトルは、『紙兎ロペ』なのだか、面白いのは圧倒的にロペの先輩のアキラ先輩だ。このアキラ先輩の傍若無人ぶりがたまらない。 もう一つ、背景画が面白い。おそらく実在する下町の風景を利用していると思うのだが、CASIOのデジカメのHDRアートモードで撮影したような雰囲気がたまらん。ロペのロケ地(?)を探す聖地巡礼している人もいるみたい。 このほんわかワールドをぜひ劇場で。 |
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2011 08,14 12:22 |
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今作も、前作『ニュー・ワールド』同様、溢れ出るイメージの洪水は、まるで映像化された交響曲のよう。音楽に映像を付けたような奇跡の編集は、ディズニーの『ファンタジア』を彷彿させる。 今回、一番驚いたのは、テレンス・マリックが、CGや特殊効果を使用したこと。宇宙的広がりと地球誕生から太古の世界を圧倒的な映像美で描く序章は、まるで『2001年宇宙の旅』の猿人が投げる骨から宇宙船に切り替わるあの名場面を思い起こした。 宇宙や地球の誕生からしたら、ちっぽけな人間の営み。長々と見せられた太古の物語の後に、正直どこにでも転がっている退屈なある家族の日常がさらに延々と描かれる。さしたるストーリーもなく、観客は、登場人物の断片的な記憶の反芻に引きずられる。 娯楽的な側面は少なく、楽しい映画を期待してくると不満になるだろう。ブラッド・ピット主演ということで大劇場での公開となっているが、かなりの人ががっかりするだろうね。 また、これまでのマリック監督のファンもちょっと驚くかもしれない。特殊効果やそうは言っても物語として面白かったこれまでの作品とはかなり違ったものになっている。 家族の物語のようにも思える。しかし、神の存在と人間の死生観を問いかける深い作品になっている。死んだらどうなるのかねえ?宇宙から見たらそんなのどうでもいいこと。どうでもいいことに一喜一憂しているのが我々。でもそれが素晴らしき人生。考えると深みにはまっていくなあ。 溢れ出す映像の波を心で受けとめ、神、生と死について考えたい。 栗4つ。TOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン2にて。 恐竜にも慈悲があるのかなあ?
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2011 07,31 23:59 |
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なるほど、時代の雰囲気がよく出ていて、緊張感あふれるサスペンス映画になっていた。アクション・シーンもサンフランシスコのカーチェイスは、さすがもとレーサーの監督だけあり、実際のスピードで撮影しているところがすごい。ただ、ほとんど車が走ってないねえ。当時は、交通量が少なかったのか、車を遮断して撮影したのか、分からないけど。 ラストの空港での追跡劇もびっくり。よく撮影許可下りたよなあ。パンナムの飛行機がたくさん注機されてて懐かしくて、涙ちょちょぎれた。 一方、ドラマの方は、薄っぺらい。大好きな美人女優ジャクリーン・ビセットが出ているのに、なんて扱い。ただのお飾りで、全くメインのストーリーに絡んでこない。残念。 スティーブ・マックイーンが全く笑わない。クールと言えばそうなんだけど、人間味がないよなあ。そういう設定なのかもしれないけど。 アクション・シーンはすごかったけど、ドラマにもうちょっと厚みが欲しかった。されど特撮が無い映画って、本当にすごいよなあ。 栗3つ。 TOHOシネマズみゆき座にて。 |
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2011 07,31 23:20 |
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ここまでくだらなくて、ばかばかしくて、エログロナンセンスだと許せちゃうね。どうせやるならとことんやるべきだ。 六本木でみたらR18だったんだけど、それ以外の映画館ではR15版の公開だったらしい。どこが違うのか分からないけど、多分、R15の方はぼかしが入っているのかなあ?六本木バージョンでは性器がちらちら露出してたからなあ。 暇つぶしには、最適の映画。もちろん観終わった後、何も残らない。 栗3つ。TOHOシネマズ六本木ヒルズ アート・スクリーンにて。何故にアート? |
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2011 07,31 22:55 |
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友だちのノートを間違って持って帰ってきた主人公の少年が、それを返しに隣村のどこに住んでいるか分からない友だちの家を探して返そうとする物語。ただ、それだけ。ただ、それだけなのに、スクリーンに釘付けになる。永遠にこの物語が終わらなければいいのにとさえ思う。 すべてが素人の子供たち。どうしてこんなにも芸達者なのか、驚くべき表情と表現力に脱帽。 主人公の少年が村を彷徨う中、出くわすのは身勝手な大人たち。その台詞の節々に、固陋で相手を理解しようとしない、各々の自己中心的な姿を子供の視線からあぶり出す。 夜の村の暗い通りに浮かぶ窓や扉の意匠が印象的だ。 人間への鋭い洞察、自然への畏敬の念、少年の純粋な気持ちが胸を打つ。心が豊かになり優しい気持ちになれるラストシーンが秀逸。 栗4つ。キアロスタミ監督は、すごい! TOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン2にて。
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