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2006 10,28 22:08 |
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そ れでもカンザス州での冷たい映像とニューヨークでの華やかな上流社会でのカポーティの対比は、良く出来ており、またホフマンの演技は噂に違わず圧倒的だ。 脇のキャサリン・キーナー(老けてて最後のクレジット見るまで分からなかったよ)と大好きなクリス・クーパーの演技も素晴らしい。クーパーのシーンが少な くてこれもちょっと残念だった。 カポーティとダンフィーの描写が曖昧だったけど、「冷血」を書くにいたった真意は、何だったのかは非常に興味深い。 単に名声を得るためだったのか、本当に自分自身を殺人犯に投影したのか、映画は、強烈な答えを出さないが、離乳食を与えるシーンやその後のカポーティの執筆状態からも伺えることができる。 ホフマン、キーナー、クーパーの演技に酔いしれながら、良くできた脚本、人生の陰と陽を見事に表現した楽しめる一作。栗4つ。 日比谷シャンテ・シネ2にて。
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2006 10,28 19:08 |
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デ・パルマらしい回転ショットは健在なるも、それ以外に観客を酔わしてくれる映像が無い。「殺しのドレス」や「キャリー」で魅せてくれたうっとりするような映像美は、微塵もないのだ。 また、一見何でもない分断されたエピソードが最後に怒濤のごとく一つになっていくデ・パルマお得意の手法も総崩れ。最後まで散漫なまま。「ボディ・ダブル」のあの鮮やかなトリックを知っている観客が観たら拍子抜けもいいところだ。 役者もいま一つ。「殺しのドレス」のどうしようもなくエロティックな残酷さは見ることもできない。 ヒラリー・スワンクの母親役のあの大根演技は何?ひどすぎる。おまけに、ヒラリー・スワンクは、エロくない。 アーロン・エッカードが襲われるビルのシーンだけ、昔のデ・パルマの香りが漂っていた。 キャスティングが失敗なのか、そもそも脚本がダメなのか、なんともお粗末な作品だ。 デ・パルマの大ファンなので、かなりがっかり。次回作に期待。栗一つ。 日比谷スカラ座にて。 |
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2006 10,22 22:13 |
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桃井かおりと映画初出演の武田鉄矢が成長していく過程が見事で、高倉健演ずる男とのふれあいを描くたった3日間の物語だ。 さえない武田と泣き虫でちょっと癖のある女桃井が最高の面白さを見せる前半の喜劇は、とても楽しく、何度観ても大笑いしてしまう。 一 転、後半、高倉健が刑務所から出所したばかりだとわかり独白から回想シーンへ向かうが、その切なさはたまらない。高倉の「この女しかいない。初めて会って そう思ってから、口をきくまでに半年もかかってなあ」の名台詞のシーンは、もう鳥肌もの。高倉健が最高の演技を見せる。 刑務所での別れのシーン、倍賞千恵子の台詞「あんたって勝手な人だねえ」も涙無くしては観られない。 それにしてもこの映画の高倉健は、最高にかっこいい。不器用で、自分勝手な男を見事に演じている。桃井も武田も最高の演技で、当時の若者像を見事に表している。 結末が分かっているのに、どうしてこんなにもワクワクしてドキドキして、大笑いして、切なさにほろっとしてしまうのだろう。何度観ても、泣けちゃう。涙が止まらない。 脚本は、まるで映画のお手本のよう・・・。魅力的な登場人物、その全ての背景が丁寧に書けている。台詞も素晴らしく、回想シーンのフラッシュバックの挿入もいい。高倉と倍賞の物語に武田と桃井の物語がだんだんと交差していく設定も本当に見事だ。 誰もが結末を知っているこの映画。なのに何度観ても笑って、泣いてしまう。涙といっしょに身体の中の邪悪なものが全て洗い流される。 栗5つ。満点。映画の素晴らしさを満喫できる! ユナイテッドシネマ豊洲にて。
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2006 10,21 22:14 |
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ヴィスコンティの愛人でもあったヘルムート・バーガーが美しい。美貌と権力、これって怖いものなしだよなあ。真実の愛を得られず芸術に陶酔し、孤独から狂気の沙汰へと墜ちていくなんとも言えない表情のバーガーの演技は最高だ。 それにもまして、ロミー・シュナイダーの存在感。もう圧倒的。圧巻。こんなにすごい人なのに、それほど代表作がないのよねえ。私生活での不幸ばかりが目立って、華やかなスターであったこそ、一層悲壮感にひたってしまう。 有名な白鳥のいる池のゴンドラのシーンの照明とバーガーの狂気の表情、雨の中の逮捕突入シーン、美術作品越しのカメラアングル、またまた雨の中の松明のラストシーンの美しさたるや、もうメロメロ。 豪華な衣装、豪華な音楽、豪華なキャスト、何の不自由もないはずの人たちの孤独と喪失感がひしひしと伝わってくる。 これが映画というものだ。栗5つ。新宿テアトルタイムズスクエアにて。 これってオリジナルは、何語なんだろう。声がアフレコぽかったなあ。クレジットの最後にイタリア版の声優っていうのが出てたけど・・・。確かに、台詞と口の動きがあってなかったような・・・。
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2006 10,15 23:11 |
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貴族って見かけの豪華さと気品とは裏腹に普通の人以上にエロで愚か。この主人公の男、全然共感できない。女性像は、みな理解できるけど、この男はねえ・・・。まあ、狙いは、分からないでもないけどね。 自分は、浮気し放題なのに、妻の浮気には嫉妬し、悲劇に向かう男の話。 人を愛さないのに自分だけは、愛されたい。そんな人間の身勝手さは、痛切に絢爛豪華な映像美の中に表現されている。 「家族の肖像」もそうだったけど、気づくと、孤独な自分がいる。でも、あんな結末になるかなあ? どうもこの主人公の男の行動が理解できず、いまいち感情移入できない。 ただヴィスコンティの映画の中では、すごく取っつきやすい。 もと、アイマックスシアターだった劇場の大画面に、裸体、性器、裸体がデーンとくるのは、すごいなあ。(笑) 映画館は、ほぼ満席。観客の8割は、50代以上。年配には、今も圧倒的な人気だ。 ヴィスコンティの映画としては、分かりやすいけど、ちょっと物足りなさも感じる。 栗3つ。 新宿テアトルタイムズスクエアにて。
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2006 10,13 21:54 |
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原題は、X-Men: The Last Stand。
X- Menは、MARVELの作品では、最も気に入っていたシリーズ。ブライアン・シンガーが監督した前2作は、ストーリーがきちんとあって面白かったのに、 今作は、散漫な印象だ。ミュータントであるという暗い過去と人間からの差別を負った登場人物の背景や心理がよく描けていた前2作に比べると今回は、脚本が まるでダメ。多くの登場人物を扱うことができず、途中でどんどん死んでいく。アンナ・パキンも今回は、まったくつまらない役所になっていた。可哀想。 監督がブラッド・ラトナーになったせいで、アクション・シーンは迫力が増したが、アクションは、ストーリーがあって引き立つもの。何も無い土台に何を載せてもお粗末。 1作目、2作目が良くできていたので、尻つぼみな印象。もったいないなあ。 栗2つ。 日比谷スカラ座にて。 |
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2006 10,12 21:56 |
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このドキュメンタリーには、歴史的な大事件もなければ、イデオロギーの衝突もない。憎悪もなければ衝撃的な出来事も無い。 あるのは90歳を迎えたばあちゃんとその息子(この映画の監督の父)との対話と日常である。たったひとつ大きな出来事と言えば、50年住んだ家を取り壊すこと。 冒 頭、日常の生きる場である「家」の描写、いつもの朝食がある。それから母と子で家の荷物を片付けていき、だんだんと「家」が広くなり、広くなる毎に生活の 臭いが消えていく。本当にこの家は、片付くのだろうかとあとからあとから出てくる思い出の品。およそ日本の歴史の動静には関係がない家族の歴史が鮮やかに 蘇る。 母と子の会話は、なんとも優しく温かい。何も事件が起こらないただの日常がドラマチックに感じる。まるで小津安二郎の映画を観ているようだ。 最近のドキュメンタリーは、ビデオで撮影する向きもあるが、この作品は、フィルムだ。時折静岡の自然や小動物の営みが挿入されるが、それがまるで絵画のように美しい。素晴らしいカメラ・アングル、郷愁を誘う映像が胸に染みる。 登場人物は、みな優しく、楽しく、明るい。そんな中でも、常に「死」というものが側にいる。死すべき運命の人間の「生」がこんなにも強烈に焼き付けられたフィルムはないだろう。 後半、家を壊すシーンの編集、そしてラストがたまらなく素晴らしい。 人間という生き物は、なんのために生きているのか分からないが、まだまだ捨てたものじゃないと久しぶりに思った。 静岡の「ちぐさ」という店に行って、この家族に会いたくなった。 栗5つ。満点。 ポレポレ東中野にて。 |
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2006 09,24 13:33 |
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これは、傑作! 北朝鮮に息子3人を送った在日朝鮮活動家の父を追ったドキュメンタリーだ。監督は、実の娘。 理想と思想がうごめいていた1970年代。北朝鮮と南北統一に明るい未来を描いていた活動家の父は、実の息子のみならず多くの南出身者を北へ送るために尽力する。こんなはずじゃなかったと思いながらも、理想と思想は変わらず一貫している。 このドキュメンタリーは、重いテーマを扱いながらも終始ユーモアにあふれ、笑いながらある家族のやりとりを見つめることができる。思想家である以前に父親であるこの男の仕草がとても可笑しい。 フィルムは、北朝鮮へ向かう船の中、港、ピョンヤンの街角、ピョンヤンの家族の様子など、なかなか見られない情景を克明に記録する。明るさとその裏にあるものを感じぜずにはいられない。 特異な人生を送ったある家族の記録に、ひきこまれる。人生とは、家族とは、いったいなんなのだろう。 父と母のそのキャラクターに魅了されながら、北に渡った息子たちの想いが忍ばれる。 娘の国籍について語る後半のシーンがとても興味深い。 栗4つ。素晴らしい出来。 ポレポレ東中野にて。 |
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2006 08,27 18:12 |
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映像は、新鮮というよりは、とても懐かしいテイストだった。昭和40年代の映画を観ているよう。懐かしいのに、新しい、とても不思議な感覚の映像。音楽もレトロな雰囲気で、またセンスがめっちゃいかしてる。 兄弟の確執をオダギリ・ジョーと香川照之が最高の演技で魅せる。彼ら以外に考えられない絶妙なキャスティング。台詞、視線、狂気、日常、どれも完璧な演技でゾクゾクする。 現代のある家族の日常を切り取り、人間という生き物の本質に迫る脚本は、圧巻で、演出、演技、音楽、映像のあらゆる要素が溶け合って昇華する。こういう映画をもっと観たいものだ。 それぞれの登場人物が秘めた想いを表現している。ラストシーンも秀逸。 栗4つ。 銀座テアトルシネマにて。 23時過ぎに終わるレイトショーなのに満席。 |
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2006 08,22 19:24 |
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映画は、淡々と事実を追っている。実際のフィルム、音声記録、遺族へのインタビューなど相当な取材を重ねたようだ。管制塔の職員など、実際の人が出演していたりする。 映画は、まるでドキュメンタリー・フィルムを観るようで、犯人も、死に行く乗客の感情や内面、どんな経緯や思いで飛行機に乗ったなど、あらゆる要素を切り取って、ただ冷たくあの日の2時間を描いている。 Discovery Channelでも同様のドキュメンタリーを観たが、あちらが、テロにあった全ての飛行機、WTCにいた人、家で電話を受けた家族に焦点を当てていた。この映画は、UNTED 93便に乗った乗客と犯人、管制塔や軍の関係者のみをフォーカスしている。 とりわけ、この93便は、唯一、テロリストの目的を達成させなかった。乗客の勇気ある行動には、感動すら覚える。 後半の展開は、下手なアクション映画も真っ青の緊迫感と迫力だ。あともう少しで、もしかしたら助かったかもしれない・・・。しかし、観客は、この結末を知っている。それだけにとても切なく悲しい。 あの日の記憶の記録としての価値がある。栗3つ。 日比谷スカラ座にて。 |
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