2007 04,01 23:17 |
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よくよく考えると思慮のない若者が何しやがるという感じだが、若く、インテリで、野心的で冒険好きという主人公の設定は、なかなかにそそられる。それは、嫌悪感でもあり憧憬でもある。拮抗するこの思いに共感できるとこの映画はすんなりと入ってくる。 圧巻は、やはりウィティカーで、こんなにすごい演技を観たのは、「クライング・ゲーム」以来だ。とにかく最初の登場シーンから畏敬のパワーを彷彿させる。 悪名高いアミンの恐ろしい側面の中に、時折見せる人間味に、最初主人公が熱狂してこの大統領を迎える。オープニングからアミンの狂気じみた本性を見せ出すまではなかなかの迫力。 後半、アミンの正体に気づいてからの展開は平凡なのが残念。 監督は、アラン・パーカーの「ミッドナイト・エクスプレス」を、原作者は、コンラッドの「闇の奥」あたりを目指したのかもしれないけど、較べちゃうとねえ・・・。 まあ、昔の秀作と較べてしまうとちょっと消化不良だが、今年観ておきたい映画であることには間違いない。 栗3つ。 有楽町スバル座にて。 |
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2007 03,31 20:30 |
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ただ予告編で想像させるストーリーとはまるで違う展開だった。これってデジャヴか? 結局のところタイム・トラベラーものなのね。 ただ、過去と現在の同時進行のカーチェイスは、迫力満点だ。 強引な設定はさておき、2時間飽きないのは、デンゼル・ワシントンの魅力につきる。一つ一つの表情や仕草がとても細やかでとても良い役者だ。 予想通りの結末と強引な設定が突っ込み処満載だが、なかなかに楽しめる娯楽作だ。 大好きな街ニューオーリンズで撮影されていて、ああ、ここはここまで復興しているんだ、ここはハリケーンの傷跡がまだまだものすごいなあと感慨深く見入ってしまった。 栗3つ。 TOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン3にて。 |
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2007 03,24 18:23 |
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映像で臭いを表現するのはとても難しい。この映画は、タイトルはパフュームだが、映画には、香りと悪臭の両方が取り上げられる。 前半は、悪臭の中で人々が蠢き、後半は芳しい香りを求めて殺人が行われる。 物語の焦点が主人公だけにあたりすぎていて、殺されていく女たちに何の感情もいだけず、また忍び寄る死の影のスリルやサスペンスが物足りない。 されど、鼻の動きや表情で香りを表現する様は、不気味だが上手い。 ラストのクライマックスの香り饗宴は、ボティチェリとカラヴァッジオとブリューゲルの絵画が一斉に動き出したようで、圧倒的な演出。香水は、まさに媚薬であり、人間の本能を呼び覚ますもの。食欲も臭いによってかきたてられるしねえ。 死にゆく女性があまり魅力的でないのが残念だが、臭いという人間の本能に作用する点を上手く利用し、主人公を単なる猟奇殺人者と一線を画していて面白い。 栗4つ。 サロンパス・ルーブル丸の内にて。 サロンパス・ルーブル丸の内の客席の頭上にあるシャンデリア。バブル時代にできた映画館らしいねえ。昔は、上下していたのに、最近は色が変わるだけで動かない。
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2007 03,24 15:26 |
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可愛いのは子供時代で成長した後の主人公のペンギンは、ちょっといただけない。アデリー・ペンギンのアミーゴたちの方がコミカルで可愛い。 ミュー ジカルのような冒険もののような、また環境問題なんか入れてちょっと教育的なところもあり、散漫な印象はあるが、海の中のペンギンたちが泳ぐシーンや氷の 洞窟を滑りまくるシーンは、迫力満点。スピード感あふれて楽しめる。南極の氷と青い海の世界も美しく、ロジャー・ディーンの絵画を思い出したりした。 固陋な長老派と若者の対立というのがいかにもステレオタイプ的だけど、子供向けのアニメとしては分かりやすくていいんだろうね。 ペンギンを踊らせたアイデアは成功していると思う。 栗3つ。 丸ノ内プラぜールにて。 |
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2007 03,23 18:27 |
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2007 03,11 22:48 |
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夜明けのブルックリン橋のベンチ、プラネタリウムでのデートなど圧倒的に美しくうっとりするようなシーンが満載で惹きつけられる。こういう映画ならではの映像美、これこそが映画なのだ。 ちょっ と傲慢で哲学的なアレンの台詞、とうてい全部字幕に表現できていない早口が嫌いな観客もいるだろう。大笑いしたいアレン作品が好きなら、「ブロードウェイ のダニーローズ」や「ボギー、俺も男だ」の方が好きという人も多いかもしれない。僕も、そうしたスラップスティックなアレン作品も大好きなのだが、やはり アレンの最高傑作は何と聞かれたら、この映画を薦めたい。 美しい映像の中に描かれる、男と女の大人の駆け引きは、愛情のようでもあり同情 のようでもあり妥協のようでもある。その中で、この映画は、ラストシーンで人間の純粋であるもう一つの側面を見せてくれる。マリエル・ヘミングウェイとア レンのラストの台詞のやりとりは、初めて観たときは号泣してしまった。今日も、目頭が熱くなった。とてもシンプルな台詞なのに、涙腺が切れて目が真っ赤に なってしまう。最後の二つの台詞。それを聞くためだけにでも、この映画を観てほしい。 人は、自分が誰かを愛していることにはすぐ気づくのに、誰かに愛されていることにはなかなか気づかない、そんな気がした。素敵な映画をありがとう。 栗5つ。 早稲田松竹にて。
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2007 03,11 18:49 |
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映画館で並んでいる時の後ろのカップルの会話にいらいらする主人公に、妙に納得。美術館とか行くとこういうことに今も出っくわす。 ダイアン・キートンのデカデカ・ネクタイとダブダブ・ズボンの男装ルックは、当時この映画がきっかけで大流行したそうな。 様々な映画技法が取り入れられ、ウィットに富みかつ危ない会話は、アレンの真骨頂。さすがに今は、若干色褪せた感は否めないが、彼のスタイルを確立させた佳作。 ポール・サイモンやクリストファー・ウォーケンがちらっと出てくるのが懐かしい。 栗4つ。 早稲田松竹にて。超満員だった。今も、アレンは人気があるのか、作品の持つ力なのか・・・。
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2007 03,10 18:50 |
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構図、カメラワークの美しさは圧巻で、特に桜の下の電車ごっごのシーンは秀逸。海や山の美しい背景は、まさに自然のセット。もう一つのこの映画の主役と言っていい。 そ して何よりも、高峰秀子と子供たちの演技が素晴らしい。日本映画史上最高の演技力を持つ高峰秀子(本当に、この人は、出る映画出る映画、皆違う演技で驚嘆 する)は、「浮き雲」とは全く違う、でも戦中・戦後を生きた女の喜びと悲しみを完璧に演じている。子供たちも表情も、本当に自然で、前半は映画でなくまる でドキュメンタリーを観ているかのようだ。 全編を流れる唱歌の旋律は、美しい自然と調和して心の琴線に触れる。 上映の最中、あちこちですすり泣きがおきていた。あの時代を生きた人たちの悲しみは、この映画で描かれている以上のものだと思う。 役者、演出、映像、音楽、全てが完璧な日本映画の珠玉の一編。こんなにも美しく、こんなにも悲しくて、こんなにも幸せな映画は、そうはない。 銀座・東劇にて、デジタルリマスターを鑑賞。 栗5つ。
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2007 02,28 23:35 |
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2007 02,22 23:43 |
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1000回も講演したから、後は映画でねってことなのかなあとも思いながら、いやあ本当にプレゼンは上手だよ。日本の政治家もこれくらいアピールできればいいんだけどね。 内容は、別段、今更驚くようなことは何もなかったけど、よくまとまっていた。まあ、一歩的な視点しかないので、もうちょっとカウンタークレームを出して、それを論破するようでないと、ちょっと気恥ずかしいかな。 驚いたのは、映画館で僕を呼ぶ声が・・・。見ると、映画館にうちの会社の社員が10人もいたこと。環境部門の人たちだった。(笑) TOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン5にて。 栗3つ。 |
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