2007 05,04 23:50 |
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時間の制約でしょうがないのかもしれなけど、オダギリと松たか子のとってつけたような恋人のエピソードは中途半端で全然いきていなく、ラストや全体への重み付けも拍子抜け。唐突すぎない?何あれ・・・。 それでも、やっぱり樹木希林は素晴らしい女優だ。 個人的には、自由奔放な生き方のオトンの人生が面白いのになあと思った。 だいたいにおいて、人間の内面の自我や心の葛藤が微塵も描かれていない映画は苦手なんだよねえ。まあ、最近は、こういう軽いストーリーが観客にウケるんだろうなあ。 松竹もベストセラーでとりあえずお金を儲けたかったのね。こんなうわべだけのストーリーの映画じゃ、草葉の陰で小津や木下が泣いているよ。 あまりに登場人物が良い人すぎて、みな人間じゃないんじゃないかと思えるほどだった。人間味をあまり感じない映画だった。この程度の映画なら過去にいくらもあったね。心に残らん。 栗2つ。樹木希林は、素晴らしい。 丸の内ピカデリー2にて。 |
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2007 05,02 23:54 |
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ス トーリーが無茶苦茶、3作目で既にネタ尽きた感じ。なんか、笑いも中途半端。アクション・シーンもさしたるすごいもの無し。1作目のニューヨークの街を飛 び回るカメラ、ルーズベルト島へのロープウェイのシーンのような、凝ったアクションも無く、ただただ見慣れたいつものシーンと子供の学芸会の出し物のよう な演技にただただ退屈。 1作目は、面白かったのにねえ。残念。 サム・ライムは、やっぱり「死霊のはらわた」と「XYZマーダーズ」やねえ。「ダークマン」も良かったのにねえ。 栗、おまけで一つあげる。 ユナイテッドシネマ豊洲 スクリーン10にて。 |
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2007 05,01 23:55 |
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映 画を監督名で選ぶ人も多いだろうけど、実は、脚本家で選ぶことが楽しいのだ。中島丈博、好きなのだあ。「津軽じょんがら節」は圧倒的だったし、テレビドラ マでも「草燃える」、「かぐわしき日々の歌」もとても良かった。実は、トラック野郎も1本書いていて、その1本がこれまたすごく良くできている。 こ の作品、中島の自伝的作品と言われているが、ドラマ「かぐわしき日々の歌」ともども、田舎の青年が田舎でのしがらみを断ち切って東京へ旅立つまでが描かれ ている。おかしくて、悲しくて、おぞましくて、残酷で、楽しくて、優しくて、狂おしい、そんな人間の本性の全てが実は、市井の生活にあることを思い知らさ れる。何でもない日常が何ともドラマチックなのだ。 それにしても、出てくる人間は、どいつもこいつも自分のことしか考えず、本能のおもむ くままに生きている。愛することも、生きることも、あまりに人間的で嫌気がさすようだ。そんな中、江藤潤扮する主人公の自然な演技はとても良く、男なら容 易に感情移入ができるだろう。しかし、竹下景子の大根演技には、ちょっと興冷め。女性から見ると、この映画、ちょっと入りにくいかもねえ。まあ、母親役の あの気持ちは、ああいうものなのかなあとしみじみ・・・。 圧巻は、原田芳雄。すごすぎる。こんなすごい演技、昔はしていたのかと驚いた。ラストは、彼の独壇場。胸を打つラストシーンだ。 青春映画の秀作、アメリカに「ラストショー」あれば、日本に「祭りの準備」あり。なんとも心に染みる名作だ。 栗4つ。 京橋・近代フィルムセンターにて。
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2007 04,30 23:56 |
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期待が高かっただけに、肩すかしの感あり。交差する複数の物語が繋がるまでの前半は、なかなかだが、後半はかなり退屈。それに、銃弾と結びついているのは、父親の役所広司であり娘じゃない。 今回、並行して進行する物語は、それほど深みも無く、バベルなんて随分大きなテーマのタイトルを付けた割には、これだけなのかと、ちょっとがっかり。 しかし、菊池凛子演ずる聾唖者の孤独と性の目覚めの物語は、素晴らしい。正直、これだけで1本の映画にした方が見応えがあったのではと思う。噂に違わず菊池凛子の演技はとても良く、はっきり言って「ドリーム・ガールズ」のジェニファー・ハドソンよりかなり難しい役所だ。 東京を舞台にしたこの深淵で普遍的な物語は、素晴らしいが、他の国のエピソードははっきり言って退屈。 結局、世界をつなぐことができなかったのは、監督、お前じゃないか。 国籍を越えた素晴らしさがあるのが、音楽。なんとも表現できない旋律が秀逸。 監督がやりたかったことは、良く分かるが、なんとも消化不良気味。 期待しすぎた。栗3つ。 ユナイテッドシネマ豊洲、スクリーン10にて。 |
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2007 04,22 23:57 |
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危 機また危機の連続で、その危機からの脱却の方法が甘く、また予想通りの結末が突っ込みどころ満載だが、ディカプリオ主演の映画としては、とても良くできて いる。主要な登場人物は、みな素敵だ。「ディパーテッド」より遙かに素晴らしい映画ではある。ディカプリオもこちらでアカデミー賞にノミネートされたのは 嬉しかったと思う。 このところ、「ホテル・ルワンダ」、「ダーウィンの悪夢」、「ザ・ラストキング・オブ・スコットランド」などアフリカ の悲しい側面が描かれた映画が多いが、どれも現象をとらえているだけで、何の解決も訴えない。ジャーナリスト役のジェニファー・コネリーに、「あなたの記 事を読めば、多くの人がここへ助けにくるのか?」の問いに、「おそらく、誰も来ないわ」と答えるこの台詞が一番秀逸だ。 甘い展開の脚本が残念だが、映画らしい魅力に溢れ、正攻法で良くできている。見て損は無い。アフリカの夕焼けは、美しすぎる。 栗3つ。 ユナイテッドシネマ豊洲 スクリーン9にて。 |
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2007 04,21 23:59 |
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追悼特集 映画監督 今村昌平と黒木和雄が、近代フィルムセンターで開催中。この機会に、スクリーンで多くの作品を観たいものだ。
今 日は、今村作品で未見の「人間蒸発」へ。これ、フィアンセが失踪した女性と共にその足取りを追うドキュメンタリー・・・と思いきやいつの間にか観客は、虚 構の世界に引きずり込まれる。映画にもドキュメンタリーにも、恐ろしいまでのアンチテーゼをぶつけるものすごい傑作。今村昌平のものすごい才能に背筋が凍 りつく。 前半は、フィアンセが失踪した女性と共にその男の足取りを追う。男の家族、愛人、会社の同僚、取引先の社長、イタコなどに取材していくうちに登場しないその男の姿とフィアンセの知らない素顔が現れていく・・・。 後半、いつの間にか、失踪した男のことはさておき、取り残された女性とその姉との確執がクローズアップされる。現実と虚構を一瞬のうちに逆転させる今村の手法に脱帽する。(ここでは書かない) その後、これが現実なのか虚構なのか、分からないまま映画は進む。芥川龍之介の小説「藪の中」のように、ある人にとっての現実は、ある人の虚構、自分のことしか考えない人間の本性がまざまざと露わにされる。 40年前に、今村は既にこんなすごい仕事をしていたのか。現代の日本の映画人は、いったい何をしているのか・・・。 栗5つ。 京橋・フィルムセンターにて。
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2007 04,20 00:00 |
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なるほど監督は、ダニー・ボイル。頷ける。太陽に神がかりな魅力を感じる登場人物がいい。すごく感情移入してしまう。死ぬ間際に美しい恐怖を見るという、その刹那がたまらない。真の美と裏腹にある死、そんな雰囲気がやはりヨーロッパだ。 それにしても予告編の作り方は、観客を馬鹿にしている。あれじゃまるでSFアクション・アドベンチャーやんけ。 映像も面白いし、「2001年宇宙の旅」と「エイリアン」の雰囲気を楽しめる。まあ、それと較べると遠く及ばない完成度だけどね。映像は良いので、せっかくの宇宙、大きなスクリーンで観たい。東京でのメイン館がスバル座とは、ちょっと残念。 ハリウッドのSF映画を期待していくと悲しい思いをするが、僕は、かえって楽しかった。 栗3つ。 ユナイテッドシネマ豊洲スクリーン8にて。 |
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2007 04,15 00:03 |
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この映画の登場人物は、映画の中のその中のギャリソンの頭の中の架空の人物と思いながら観ると楽しめる。多くのアメリカ人は、それを知っているのだ。 も う一つ。字幕がひどい。これは、決して英訳している人のせいでなく、どうやってもあのウィットに富んだ台詞や英語独特な言い回しは日本語にならない。これ から観る人は、がんばって英語の台詞に集中してなるべく字幕に頼らなければ、素敵な語感と音感の世界に浸ることができる。 カントリー・ミュージックとフィッツジェラルド、なんともアメリカの心のような設定もまた好きじゃないとつらいかも。 個人的に、こんな理由から、これはアメリカ人向けの映画だなあと思った。 それでも、この一見ドラマチックな展開など何もないストーリーは、言わば市井の人々の人生そのもの。多くの人は大したクライマックスもピークもない平凡な人生を生きて死んでいくのだろう。 「ナッシュビル」、「ロング・グッドバイ」、「ビッグ・アメリカン」、「ウェディング」、「ザ・プレイヤー」などなど、素晴らしい映画をくれたあなたに感謝。さようなら、アルトマン。 栗4つ。銀座テアトルシネマにて。 人生とは、こんな風に何気なくあっけなく、でもささやかな幸せがあるのだろう。 |
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2007 04,07 23:15 |
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東西ドイ ツに分かれていた頃の東側の物語。それほど遠い昔ではない。抑圧された環境で虐げられる人々、そこからの解放を促す人々、それを監視し罰する人々、自分が 安全でいるために罪なき人を裏切る人々・・・、どれも人間的だ。どんな時代でも人間は、生きていかねばならず、時代時代に生きるための選択を行う。 この映画に描かれているのは、人間の弱さと強さと狡猾さ。どれも人間そのもので、どれがいけないという訳ではない。そんな中で、この映画がもたらしてくれる感動は、言葉や音楽が持つ力、人間に与える大きな影響だ。 つまらない日常に与えてくれる、魂を揺さぶる感動。ウルリッヒ・ミューエの寡黙な演技に圧倒される。 栗5つ。満点。これこそが映画だ。 チネチッタ川崎にて。
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2007 04,01 23:18 |
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