2007 06,17 23:45 |
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昨 日観た「銀座二十四帖」の正義感あふれ頼れる男とは違い、リストラされ女のヒモとして言いなりになる頼りない男を三橋達也が演じる。対する新珠三千代は、 つらい時代も力強く生き抜く女。一度は、離れてもやはりどこかで繋がっている男と女、成瀬の「浮き雲」のようだが、ここではそれほど悲観的でなく非業で狂 おしいまでの恋愛と憎悪は描かれていない。それは、今もどこにでも転がっている男と女の生き様そのものだ。 口では嫌いと言ってはみても、心はうらはら、それが人間というものなのねえ、というのをしみじみと実感できる映画だ。 なんと言っても自然な演技で圧倒的なのは、轟夕起子。ああ、あの轟夕起子だよ。黒澤の「姿三四郎」に出てたあの轟夕起子・・・。素晴らしい演技と存在感、昔の日本映画は本当にいい役者がたくさんいたなあ。 男の心も、女の心も、言葉ではうまく表現できない、可笑しくて切なくて残酷で温かい、これが人生なんだろう。 栗4つ。 京橋・近代フィルムセンターにて。
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2007 06,16 23:47 |
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歌とジョッキーに森繁久彌。ナレーションでなくジョッキーなのだ。ラジオのディスク・ジョッキーのようにお喋りしている。オープニングは、森繁の歌。いろんな説明をしながら、時に登場人物に話しかけたりする。 そ んな風にドタバタコメディーが始まったかと思えば、いつの間にか銀座の花屋と影のある女とのラブ・ロマンスへ、と思ったら「第三の男」を真似したようなサ スペンスへと展開していく。少女頃に絵を描いてくれた初恋の人、その人が描いた自分の肖像画のサイン G.M.、そのイニシャルの人物が生きている、それ がダークサイドのボスらしい、女の家の前でいつも写生をしている謎の人物と、なんとも盛りだくさんの不思議な映画。 物語はさておき、1950年代の銀座の街を探検するのが非常に楽しい。どこもよく知っている場所なのに、今と全く違う。銀座の街を水上バスが行き、都電が走り、見たこともないネオンが輝く。変わらないのは、和光の時計台だけか・・・。 月 丘夢路は美しく、北原三枝が元気ではじける。少女の浅丘ルリ子に、どこに出ているのか分からなかった岡田真澄、若すぎてよく分からなかった芦田伸介に佐野 浅夫、正義感の男三橋達也 、最後にちょっとしか登場しないのに、「第三の男」を思わせる陰影の中で圧倒的な存在感の河津清三郎 となかなか豪華なキャスティングだったねえ。 「ヒロポンなんてやめろ」という台詞が時代やねえ。 助監督に今村昌平。なんとも不思議な映画だ。笑えるサスペンス。 栗2つ。京橋・近代フィルムセンターにて。 |
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2007 06,10 23:48 |
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2007 06,03 23:52 |
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2007 06,02 19:55 |
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しかし、ジャック・スパロウが再登場するシーンは、「マルコヴィチの穴」のようなシュール映像満載で笑った。まあ、真似と言えば真似なんだけど、ジョニー・デップのあのふらふらしたキャラクター設定には、やっぱりツボにはまる。 思ったほどひどい出来ではないが、このシリーズ、ジョニー・デップが出演したおかげで成功したのは明らか。彼の存在がないと、何でもない普通の映画だ。 もし、あとでDVDで観ようと思っているなら、絶対映画館で観ることをお薦めする。ラストの海洋合戦シーンは、ものすごい迫力で、これテレビの画面で観てもしょうもないものだと思う。できるだけ大きなスクリーンで観るべきだろう。 栗3つ。ドタバタ喜劇だった2作目よりはかなりまし。 ユナイテッドシネマ豊洲 スクリーン10にて。 |
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2007 05,27 15:59 |
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2007 05,13 23:35 |
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ある者は、そうした喪失感を抱くことなく、本能のままに生きている。それはそれで幸せなことかもしれないが、そうした人は自分の行動が知らず知らず誰かを傷つけているなんて気にも留めていない。一方、喪失感をいだく者は、日々悩み苦しみ、そして死を身近に感じたりする。 映画は、たんたんと高校のある一日を追う。時間的に交差しながら進む展開は、ガス・ヴァン・サントの「エレファント」の雰囲気がある。また長回しのショットもなかなか魅せる。 ドキュメンタリーのように挿入されるインタビュー風のモノローグは、心の声のように聞こえる。 この映画のすごいところは、ラストにある。喪失に気づく者、気づかぬ者、どちらも他人の人生に鋭い爪を立てる。しかしながら、最も恐ろしいのは、喪失するまでその存在が認知されないことだ。実体験に基づいた脚本だけあり、強烈に胸をえぐる。 栗4つ。胸が痛い。 渋谷アミューズCQNにて。この映画館、初めて入ったけど、天上が高くスクリーンが上の方にあるのでとても観やすい。 |
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2007 05,06 23:48 |
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登場人物は、すべて糸で繋がった操り人形。天上へと伸びるストリングスは、美しい。オープニング、操る人間たちも登場するが、これが味噌で、操り人形の世界をまるで神の視点から観ているような感覚を与えてくれる。 操られているはずの人形が繰り広げるのは、殺戮と自我を誇示する世界。ふと自分たちも見えない糸で誰かから操られているのではと思ったりもする。 人の醜さと希望を人形の世界という人間界の縮図でまざまざと見せてくれる深い作品だ。 栗4つ。 台場・シネマメディアージュ スクリーン8。 メディアージュは初めて入ったけどちゃちい造りだなあ。仮設劇場みたい。 悪の香取慎吾がなかなかいい。 |
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2007 05,06 23:47 |
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2007 05,04 23:52 |
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チープなCGにはがっかりだが、何故か目玉おやじだけは素晴らしい出来。製作者の心意気を感じた。 圧巻は、大泉洋のねずみ男。こりゃ影の主役。完全に他の全ての出演者を食いまくり、あまりにはまった演技に拍手喝采大絶賛を惜しまない! 本当は、黒澤の「酔いどれ天使」みたない時代設定と雰囲気の中のダークな鬼太郎を観たかったけど、ゴールデンウィークの家族がターゲットだからしょうがないかね。 かなりの拾いもの。大泉洋のねずみ男だけでも観る価値あり。 家族で観るには最高に良い作品。 丸の内ピカデリー1にて。 栗3つ。 |
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