2008 03,16 22:06 |
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やったぜ、コーエン兄弟が帰ってきた。「ブラッド・シンプル」、「ミラーズ・クロッシング」、「バートン・フィンク」、「ファーゴ」の興奮が蘇る。
正直、「ビッグ・リボウスキ」以降の作品は、がっかりだったので、久しぶりに彼らの真骨頂を堪能したよ。 この緊迫感、緊張感は、まさに「ブラッド・シンプル」彼らの原点だ。荒涼としてどこまでも続く道、闇に迫る影、水滴や鏡やブラウン管に写るシルエット、何かもかもが「待ってたぜ」と叫びたくなる。 後半、ちょっとダレたが、ラストの台詞が秀逸。トミー・リー・ジョーンズが、いろんな人と話す本筋とは一見関係ない会話がなんとも意味深で人生観や死生観を脳味噌の片隅に釘を打たれたように引っかかる。 栗4つ。 日比谷スカラ座にて。
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2008 03,09 09:14 |
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大統領暗殺までの数分が何度も何度もフィードバックされる。その度に違う人物の視点で・・・。犯人は誰か?
8人の目撃者、食い違う証言なんてのはかなり大げさな予告での宣伝文句。怪しい人物は、すぐに分かるし、映画の途中で犯人は明らかにされる。いくつかどんでん返しのための伏線が敷いてあるが、犯人が誰か分かってからの予定調和のお決まりの展開には、脱力感だ。 カーチェイスは、なかなかの迫力だが、「ボーン・アイデンティティー」シリーズを観てしまった以上、それほどの驚きもなく・・・。 宣伝が大げさで、目撃証言は、それほど食い違いがなく、これが黒澤の「羅生門」へのオマージュだなんてちゃんちゃらおかしい。 アメリカ側から見た対テロリストに対する日和見主義的な感覚はもうたくさんた。 事件に巻き込まれる登場人物の背後にあるドラマが取って付けたようで何もいかされてなく、何から何まで残念な出来だ。 まあ、暇つぶしにはいいかも。 栗2つ。 ユナイテッドシネマ豊洲 スクリーン3にて。 シガーニー・ウィーバーの出番が少ないよー。デニス・クエイドは、かっこいいが・・・。 |
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2008 03,01 22:23 |
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2008 03,01 18:25 |
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2008 02,11 21:09 |
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素晴らしい。切ないラブ・ロマンス、戦時下のサスペンス、美しい音楽、素晴らしい役者、豪華なセット、とにかく全編に渡って映画的魅力に溢れている。
アン・リー、やっぱりすごいぜ。展開は、容易に予想できる範囲なのだけど、演出と役者の演技によってここまで奥深いものになるのね。映画って素晴らしい。 まあ、難を言えば、前半、演劇学生があんな大物を騙せてしまうという設定がちょっと感情移入できず・・・。金持ち婦人?貿易商の旦那?無理があったなあ・・・。 それから戦時下にしては、緊張感と緊迫感が無かったなあ。 でも、でも、でも、この余韻、この体の震え、やっぱり映画は素晴らしい!酔いしれたなあ。 この映画を大画面で観たくて、新宿まで行ってしまった。 新宿バルト9 スクリーン8にて。栗4つ。 日に何回か上映されるが、二回目だけ大きなスクリーンでの上映だった。 |
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2008 02,11 20:10 |
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2008 01,27 15:15 |
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二つの祖国の間でゆれる家族の人生を描いたドラマ。物語の主軸となる主人公の名前にちなむエピソードは、それほど大したものでなく、ここまで引きずるのは、どうかと思う。もうちょっとすごい裏話があるのかと思った・・・。
素晴らしいのは、前半の中心人物であるアショカとアシケだ。二人ともとても印象的な演技でしみじみとした余韻を残す。一方、子供たちを演じる役者は、それほど魅力的でない。 映画も全体を通して観るとどこに焦点があたっているのか分からず、物語は散漫だ。 それでも、ある家族の何でもない一生をしみじみと描き、切なくもちょっと幸せな気分にさせてくれる。とりわけ根底にインドの文化や宗教が流れていながらもアメリカという土地に染まっていく若者たちが興味深い。 ちょっと散漫な印象で、名前にちなむエピソードが拍子抜けだが、家族や人生について考えさせられた。なんとも言えない味わいのある余韻を残す。 栗4つ。 日比谷シャンテシネ3にて。 |
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2008 01,26 23:16 |
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これは、とても良い映画。
オーソドックスな作りだが、原作がいいのだろう。大人になってから忘れてしまった何かを気づかせてくれる。 森の中の秘密の場所、子供の頃は持っていたなあ。イマジネーションの世界は、大好きなのだ。 音楽の授業のシーンが秀逸。歌われる曲も素敵だ。 心がすがすがしくなる。 テレビゲームや漫画ばかりが原作の昨今の邦画に欠けているものが、この映画にはあるなあ。文字が持つ力、文字から広がるイマジネーション、それがやはり一番素晴らしい。 栗4つ。 ユナイテッドシネマ豊洲スクリーン11にて。
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2008 01,26 20:17 |
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吉永小百合は、素晴らしく魅力的なるも、過去の山田洋次監督作品と比べるとがっかりするくらい平凡な出来。
視点は違うが同じ主題の黒澤の 「わが青春に悔なし」と比べてしまうとあまりにお粗末。まあ、母親に焦点があたっているのでしょうがないが、映画というより、原作者の思い出話を聞いてい るようで、それもやはり戦後間もない頃の映画と比べてしまうと観客を引き込むだけの力がないなあ。 黒澤、成瀬、木下など、戦時中の抑圧から解放されて、ここぞとばかりに芸術をものすごいパワーで炸裂させた戦後の作品を観ているので、この「母べえ」では何の感慨もないなあ。ああ、そうですかって感じ。 意外や印象的な演技を見せる鶴瓶だが、とってつけたようなエピソードはそのまま無くなっても何の違和感もない。 映像表現も陳腐だし、ストーリーの展開も予定調和、これが山田洋次監督作かと思うと、ただただ残念なばかりだ。 山田洋次は、大好きな監督なだけに、消化不良気味。 されど、吉永小百合は、素晴らしい。吉永小百合の演技を観るだけの映画だ。 野上照代は、黒澤の仕事を見ているはずなのに、この程度ですか? 栗3つ。 ユナイテッドシネマ豊洲スクリーン10にて。 |
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2008 01,20 17:21 |
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フェリーニは、大好きな監督なのだが、正直「8 1/2」や「ボイス・オブ・ムーン」は、映画館で寝たなあ。
「甘い生活」は、一応ストーリーがあるので寝ることはないのだが、それでも昔は、ちょっと寝た。 しかし、改めて観てみると、上流階級の話とは言え、この性と金の退廃した日常は、あまりに人間的で、お前もこうだろうと胸に突きつけられるようだ。中身があるようで無い台詞は、こんなの思いつくのが不思議と思うくらいだ。 空飛ぶキリスト像、トレビの泉での戯れ、完全な配置の部屋での役者の位置、打ち上げられる不思議な魚など印象的なシーンが次々に現れる。溺愛する子供を殺して自殺する友人、父親と久しぶりに再会する夜のクラブのシーンも忘れがたい。 とんでもない絵空事、だけどあまりに現実的。とんでもなく他人事、でももしかしたら明日は我が身。 栗4つ。 早稲田松竹にて。 |
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