2008 09,28 23:38 |
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彼の映画で1本あげろと言われたら、迷うことなく「評決」(The Verdict)である。だいたいにおいて、悪がはびこり善人が悲しい目にあう方が現実的で好きなのだが、これは、真の正義を描いた映画だ。
飲んだくれのダメ弁護士の再生の映画でもあり、ラブ・ロマンスがあり、二転三転する物語の展開があり、裏切りがあり、信頼があり、そして何よりも正義の行使が鳥肌が立つほど感動的だった。 この映画でのポール・ニューマンの演技は、本当に素晴らしかった。正義がこれほどまでに感動を呼んだのは、彼の演技に他ならない。
ラストシーンも最高にいかしている。 さようならポール・ニューマン。 |
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2008 09,22 22:44 |
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♪ あんちくしょうに会ったら、今度はただでおかない
「ウォンテッド」というとピンクレディーの歌を思い出してしまう。(笑) でも、この映画、まさにこの歌の文句にぴったり。あん畜生は、ただでは置かんのだ。 新しい映像表現と予告で謳っていたが、それは全部予告で見せてたね。「マトリックス」以上の映像的驚きは無いね。 ほんでもって迫力はあり、一応どんでん返し(途中で誰にもバレバレだけど)がありストーリーもちゃんと考えましたよー的なことは伺えるがいかせん、どうせCGでしょと思うとやっぱり興醒め。 シカゴの街中を周る列車ループでのアクション・シーンなんかもあるけれど、シカゴでループでアクションと言ったら、やっぱりあんた「フレンチ・コネクション」でしょ。「フレンチ・コネクション」面白かったねえ。ループとのカーチェイス、ジーン・ハックマン最高だったよ。 なんかねえ、運命の機織機あたりから苦笑止まらず、あららららの映画だったなあ。 栗2つ。まあ、迫力あるから、どうせ観るなら映画館だね。 ユナイテッドシネマ豊洲 スクリーン10にて。 |
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2008 09,20 22:46 |
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2008 09,18 23:47 |
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オーソドックスな作りで、展開も結末も容易に予想できるが、映画本来の持つ力が漲る佳作である。
ペーソスあふれ何度も鳥肌が立つ感動的なシーンがあるが、それほど湿っぽくならず、ユーモアもある温かい作品になっている。 本木・山崎は、余程のものが出てこない限り、今年や来年の映画賞は総なめだろう。演者は、みな魅力的で、出演シーンが多くない役者もこれまでの人生の悲哀や幸福を感じさせる。 鶴岡や酒田など庄内の風景も美しく、音楽と共に胸に残る。 一見、「死」を扱ったような映画と思われるかもしれないが、これはまさに「人生」の映画だ。それもどこにでも転がっている何気ない人生。でもその何気ない人生こそがドラマチックなのだ。 前述の通り作りはオーソドックスなので、映画としての新しさや奇抜なものは無いが、今年見るべき邦画は、これに間違いない。 栗4つ。この映画と比べると「20世紀少年」は、なんと陳腐でチープなんだ。 ユナイテッドシネマ豊洲 スクリーン2にて。 |
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2008 09,15 23:49 |
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2008 08,24 23:01 |
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2008 08,22 23:05 |
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これは以前からずっとスクリーンで観たかった映画だ。 前半、男女の裸の交わりの中に挿入される広島の原爆関連のシーンは、まるでドキュメンタリーのよう。ドキュメンタリー出身のアラン・レネ監督らしさを感じる。 喫茶どーむでのフランスでの戦時下の悲恋が交差する告白シーンからは、もう息も付かせずのめりこませる。構成、台詞、脚本、カメラワーク、構図、ライティング、音楽、その全てが圧倒的で陶酔しながらも、頭を後ろからハンマーで殴られたような衝撃もある。 戦後間もない頃の夜の広島は、まるで別の惑星のような異空間だ。そこをさすらう男と女。狂おしいまでの恋の炎は、戦争の生々しい傷の記憶に揺らめき、また燃え上がる。 彷徨う人間の魂が広島とフランスの農村を行き交うなんとも鮮烈な映像にただただ圧倒される。これこそ映画だ。こんな作品を一本撮れたら死んでもいいと思った。 傑作。栗5つ。 早稲田松竹にて。
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2008 08,22 21:06 |
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ヴィクトール・フランクルの同名図書は、衝撃的だったが、こちらは、同じタイトルのドキュメンタリーだ。アラン・レネは、初期こうしたドキュメンタリーを撮っていた。
カラー映像の現代のアウシュビッツから、モノクロの冷たい当時のフィルムへ。人間を生き物でなくモノとして扱うその行動には、今を持って何故こん なことを信じがたい。戦時下における人間の感覚の麻痺とは恐ろしいもので、死体の山、生首の山、中途半端に焼けた焼死体などが周りにゴロゴロしていても平 然と作業をしている。 人間とは何者なのか。そしてまたこういう行為を繰り返すことはないのかと考えさせられる。今もこの地球上で起きている紛争。人類は、何も学んでいないような気がする。 短いドキュメンタリーでたんたんとした記録映画だ。栗3つ。早稲田松竹にて。 ところでヴィクトール・フランクルの「夜と霧」は、みすず書房から出ているんだけど、学生の頃は、みすず書房の本が高くてねえ、あまり買えなかったよ。 |
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2008 08,15 21:16 |
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2008 08,09 16:30 |
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エミール・ゾラの原作をルネ・クレマンが映画化。共感できぬ内容だが、人間への洞察は鋭く深い。
甲斐性のない男は、見ていて本当にいらいらするくらい情けない。こんな登場人物に共感はできないし、主人公の女性の行き方もまた然り。 しかし、主人公をとりまく市井の人間たちの妬み、同情、欺瞞、裏切り、かけひきは、どれも人間の恥部のようだが、それこそ人間の本質とばかり、日常のなかに描ききるあたりは、見ていて本当に身につまされる。 愚かな行為があくまで人間らしく、端から見ていると許せぬ行動がまさに人間そのものなのだ。 救いのないラストは、それでもこれが人生だと、重く胸にのしかかる。 栗4つ。京橋・近代フィルムセンターにて。 |
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