2008 12,05 22:54 |
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2008 11,27 23:50 |
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2008 11,24 15:55 |
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緒形拳の追悼特集にまた出かける。実際にあった西口彰事件を元にした小説が原作だ。
スクリーンに展開される人間の本能がおぞましい。さすが今村昌平、犯人を追う刑事や殺人事件現場のシーンはドキュメンタリー風、主人公にまつわる回想シーンは戦慄の人間ドラマになっている。 三國連太郎と倍賞美津子の温泉でのシーンは、禁断で危険でかつプラトニック、こんなにもエロティックで純潔な人間関係はないだろう。「鬼畜」では怖い女だった小川真由美の切ないまでの美しく儚い人生の表現も圧巻だ。 そして緒形拳の冷酷な演技は、最後に残忍で残虐でかつ優しい殺人を起こす。人間とは、矛盾した行動が道理となる不思議な生き物だ。 人間とは、生きるとは、何なのか、答の出ないその問に、この映画は、戦慄の表現で観る物の魂を貫きえぐる。 ラストの骨を投げるシーン、すごすぎる。 本当に、人間とはいったい何なのだろう? 栗5つ。傑作。 新宿ピカデリー スクリーン4にて。
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2008 11,23 23:58 |
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2008 11,15 23:42 |
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むき出しのエゴイズム、あふれる詩情、ぶつかり合う役者魂。これこそ映画、この魂を揺さぶる感動こそが映画なのだ。
子供の頃から、この映画は何度も観ている。子供の頃は、どちらかというと大人の怖さの衝撃が大きかった。今、観てみると、大人の弱さと愚かさが胸に染みる。 岩下志摩、小川真由美も度迫力だが、この映画を、最高の境地まで高めたのは、緒形拳の演技に他ならない。特に福井の宿屋のシーンとラストの演技には、もう号泣。涙がとめどなく溢れてしまう。また映画館で泣いてしまった。本当に、あとからあとから涙が頬を伝い止まらない。 東京タワー、ビニールシートなどシーケンスの巧みな演出、松本清張の原作を素晴らしい脚本にした力量、人間のエゴをこれでもかと燃えたぎらせる目の演技には、脱帽だ。戦慄すら覚える。 ラストシーンでは、あちこちですすり泣きが・・・。明るくなった場内には、涙で目を真っ赤にした人ばかり。いやあ、正直、すぐに明かりを点けないでと思った。 映画館を出ても感動と衝撃で震えが止まらない。これを書いている今も、思い出して切なくなり、胸が締め付けられる思いがする。 ものすごい映画を作ったものだ。栗5つ。傑作。 新宿ピカデリーにて。
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2008 11,15 20:48 |
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「フローズン・タイム」の奇才ショーン・エリスの新作は、ホラー。映像やプロットは、なかなか見事。鏡やスローモーション、カメラ・アングルや音楽など、唸らせるほどすごい。
ただ、どんでん返しは、途中で多くの観客が気づいてしまうだろう。鏡とX線のレントゲン写真が味噌で、オープニング・シーンにこの映画の秘密の全てがある。それをずっと覚えていると途中で、「あ、そうか」と気づく。 ただ、この恐怖の根本が何かは、映画は答を出さない。この辺がハリウッドとヨーロッパ映画の違いか。 映像やプロットは、面白く、また忍び寄る恐怖の演出はなかなかだ。もう一ひねりあったら、傑作になっていたかもしれない。 今後に大いに期待できる。新しい才能だ。 テアトルタイムズスクエアにて。 栗3つ。
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2008 11,09 20:49 |
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2008 11,09 16:03 |
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2008 11,07 23:11 |
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今日で、39年の歴史を閉じた新宿プラザ。キャパシティ1000席を超す大劇場がまた一つ消えた。有楽町の日劇1が改装後、席数が1000を割っているので、これで1000席以上の映画館は、東京で(多分日本でも)は、新宿ミラノ座を残すだけになった。
正直、僕は、有楽町・日比谷・銀座で映画を観ることが多かったので、それほど愛着がある劇場ではないのだが、シネコンばかりの昨今、この贅沢な空間が無くなってしまうのはとても悲しい。 さよなら上映では、「2001年宇宙の旅」と「サウンド・オブ・ミュージック」を観た。さよなら特集中は、記念のクリアファイルが配られていた。 かつて東京にあった収容人数1000人規模の映画館 <有楽町・日比谷・銀座> 旧・日本劇場 旧・丸の内ピカデリー 旧・有楽座 旧・日比谷映画 旧・スカラ座 テアトル東京 東京劇場 松竹セントラル 旧・日本劇場は、2000席を誇る日本一の規模の映画館だった。丸の内ピカデリーも今より席数が多かった。有楽座とスカラ座は一番通った映画館 だったな。どちらも1500席ほどある大劇場だった。日比谷映画は、外観も素晴らしく、館内のドームの天井、劇場時代の名残の二階席の飛び出した席がなん ともゴージャスだった。テアトル東京は、シネラマの画面の巨大さに驚いた。ここの映画の看板は、日本一の巨大さだった。松竹セントラルは、昔ながらの映画 館の雰囲気で二階席のロビーは、ホテルの様に落ち着いていた。 <新宿> 新宿ピカデリー 新宿プラザ 新宿ピカデリーも3階席まである大劇場だった。 <渋谷> パンテオン 渋谷で大きな映画館といえばここだけだった。 <浅草> 電気館 さすがにこれについては知らない。(笑) |
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2008 11,06 21:14 |
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ミュージカルは、圧倒的に舞台が素晴らしいのだが、舞台を超えたミュージカルが二つある。それが「ウエストサイド物語」と、同じ監督によるこの「サウン ド・オブ・ミュージック」だ。映画館でもビデオでも何度も観ているのだけど、新宿プラザのさよなら上映ということで、本日、会社を午後休んで観てきた。
大スクリーンにアルプスの山々の空撮、だんだんと音楽がかぶさり、ジュリー・アンドリュースが歌い始めたところで、もう鳥肌。ロバート・ワイズ は、前作「ウエストサイド物語」同様、スタジオを飛び出し、圧倒的なロケーションで音楽と物語を表現した。「ウエストサイド物語」に比べるとダイナミック なダンスシーンは無いのだが、ザルツブルグの街と自然を舞台に駆け巡るさまは、もう興奮しっぱなし。「ドレミの歌」は、圧倒的に舞台より素晴らしい。映画 ならではの表現だ。特にアーチ状の花壇の下を歌いながら踊る姿は、まるで妖精が舞っているようだ。 楽しく明るい前半と一転、休憩後の後半は、ナチスの影が忍び寄り、サスペンス映画調。音楽祭での「エーデルワイス」の観客大合唱も舞台にはない感動を呼ぶ。 何度観ても楽しい、傑作中の傑作。どの曲も素晴らしいが、ミュージカル史上最も美しいアリアの一つ「全ての山に登れ」には、涙が出る。 栗5つ。 新宿プラザにて。
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