2008 09,20 22:46 |
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2008 09,18 23:47 |
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ペーソスあふれ何度も鳥肌が立つ感動的なシーンがあるが、それほど湿っぽくならず、ユーモアもある温かい作品になっている。 本木・山崎は、余程のものが出てこない限り、今年や来年の映画賞は総なめだろう。演者は、みな魅力的で、出演シーンが多くない役者もこれまでの人生の悲哀や幸福を感じさせる。 鶴岡や酒田など庄内の風景も美しく、音楽と共に胸に残る。 一見、「死」を扱ったような映画と思われるかもしれないが、これはまさに「人生」の映画だ。それもどこにでも転がっている何気ない人生。でもその何気ない人生こそがドラマチックなのだ。 前述の通り作りはオーソドックスなので、映画としての新しさや奇抜なものは無いが、今年見るべき邦画は、これに間違いない。 栗4つ。この映画と比べると「20世紀少年」は、なんと陳腐でチープなんだ。 ユナイテッドシネマ豊洲 スクリーン2にて。 |
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2008 09,15 23:49 |
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2008 08,24 23:01 |
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2008 08,22 23:05 |
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これは以前からずっとスクリーンで観たかった映画だ。 前半、男女の裸の交わりの中に挿入される広島の原爆関連のシーンは、まるでドキュメンタリーのよう。ドキュメンタリー出身のアラン・レネ監督らしさを感じる。 喫茶どーむでのフランスでの戦時下の悲恋が交差する告白シーンからは、もう息も付かせずのめりこませる。構成、台詞、脚本、カメラワーク、構図、ライティング、音楽、その全てが圧倒的で陶酔しながらも、頭を後ろからハンマーで殴られたような衝撃もある。 戦後間もない頃の夜の広島は、まるで別の惑星のような異空間だ。そこをさすらう男と女。狂おしいまでの恋の炎は、戦争の生々しい傷の記憶に揺らめき、また燃え上がる。 彷徨う人間の魂が広島とフランスの農村を行き交うなんとも鮮烈な映像にただただ圧倒される。これこそ映画だ。こんな作品を一本撮れたら死んでもいいと思った。 傑作。栗5つ。 早稲田松竹にて。
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2008 08,22 21:06 |
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カラー映像の現代のアウシュビッツから、モノクロの冷たい当時のフィルムへ。人間を生き物でなくモノとして扱うその行動には、今を持って何故こん なことを信じがたい。戦時下における人間の感覚の麻痺とは恐ろしいもので、死体の山、生首の山、中途半端に焼けた焼死体などが周りにゴロゴロしていても平 然と作業をしている。 人間とは何者なのか。そしてまたこういう行為を繰り返すことはないのかと考えさせられる。今もこの地球上で起きている紛争。人類は、何も学んでいないような気がする。 短いドキュメンタリーでたんたんとした記録映画だ。栗3つ。早稲田松竹にて。 ところでヴィクトール・フランクルの「夜と霧」は、みすず書房から出ているんだけど、学生の頃は、みすず書房の本が高くてねえ、あまり買えなかったよ。 |
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2008 08,15 21:16 |
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2008 08,09 16:30 |
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甲斐性のない男は、見ていて本当にいらいらするくらい情けない。こんな登場人物に共感はできないし、主人公の女性の行き方もまた然り。 しかし、主人公をとりまく市井の人間たちの妬み、同情、欺瞞、裏切り、かけひきは、どれも人間の恥部のようだが、それこそ人間の本質とばかり、日常のなかに描ききるあたりは、見ていて本当に身につまされる。 愚かな行為があくまで人間らしく、端から見ていると許せぬ行動がまさに人間そのものなのだ。 救いのないラストは、それでもこれが人生だと、重く胸にのしかかる。 栗4つ。京橋・近代フィルムセンターにて。 |
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2008 08,03 23:33 |
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これは、オッフェンバックの歌劇を1951年に映画化したものだ。トマス・ビーチャム指揮、ロイヤル・フィルの演奏に後から映像を付けたもの。台詞は全て原曲のオペラになっており、役者の演技は、サイレント時代の大げさな感じがしてしまう。 幻想的な色使いとシュールなセットの前で繰り広げられるバレエ・シーンは綺麗だが、サイレント映画に着色したような古めかしさは否めない。 それでも「娼婦ジュリエッタ」のシーンで歌われる有名な「ホフマンの舟歌」では、美しい旋律と色彩豊かな映像にうっとりだ。 背景が紙芝居の絵っぽいけど、オペラ、バレエ、音楽、映像を融合したなかなかに幻想的な一品だ。 世界観は素晴らしいのだが、やはり古めかしいなあ。 栗3つ。 京橋・近代フィルムセンターにて。 |
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2008 08,03 20:35 |
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よくもここまで重く、また結構グロテスクでダークな映画が米国でこの夏の最大のヒットになったものだ。ヒース・レジャーへの追悼の意味もあるのかな。 そ のヒース・レジャーだが、過去にジャック・ニコルソンが演じて強烈なイメージを残したジョーカーに挑戦した。その結果だが、もうぶったまげるほどすごい。 完全に主役のベールを食っており、ヒースの独壇場の映画だ。しかし、あのメイキャップ・・・。これが遺作となったのは、あまりに残念だ。 物語は、かなり重い。スーパーマンのような異星人でなく、普通の人間であるバットマンは、肉体の老いなどから永遠にヒーローではいられない、その辺の苦悩から、街の新たなヒーローを作ろうとするのだが・・・。 何か事件が起きる度に、簡単に心変わりする市井の人々を揶揄しながらも、それこそが人間なのだというその普遍的な行動がまた切ない。そして、その人間の弱さをジョーカーが突いて悪事に勤しむというその構造がすごい。 同じ人間の中にある正義と弱さを巧みに利用した戦いがすごい。単なるアクション映画でなく、重厚なドラマでもある。 ド迫力のアクションシーンもあり、この夏大スクリーンでぜひ。必見! 栗4つ。 TOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン7にて。
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