2010 04,03 18:36 |
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今年のアカデミー賞作品賞受賞作品。「アバター」よりは遥かに見応えがある。
カメラなんか存在してないんじゃと思うくらいのリアリズム。手持ちカメラやクローズアップ、スローモーションの効果的使用など映像は魅せる。爆弾処理場面の緊迫感と緊張感は、本当に手に汗握る。また、緊迫感を増幅させる音楽もなかなか。 ただ、物語は爆弾処理の繰り返しで単調。演技は上手いが無鉄砲で自分勝手な主人公には、辟易。 外国人は皆同じに見える的展開も拍子抜けだし、戦争美化とまでは言わないがささやかな日常の幸せより、戦争での緊張感を求める映画の姿勢にはちょっと疑問。 アメリカ側からだけの視点の映画で、まあ、そこがなんだかなあなのよ。 栗3つ。 TOHOシネマズ スカラ座にて。 |
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2010 03,30 22:19 |
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ジム・キャリーが脚本を読んで、「トゥルーマンショー」や「エターナル・サンシャイン」と出会った時と同じ感覚を持ち即出演を決めたという作品。
「トゥルーマンショー」や「エターナル・サンシャイン」の壮大なスケールと圧倒的想像力が昇華された傑作に比べると、今作は、ちょっと小粒だ。 ジム・キャリーの演技は、かなり大げさでスラップスティック・コメディばり、前述の二作で見せた魅力はない。一方、ユアン・マクレガーは、びっくりの名演技。なんとも自然で魅惑的な青年像は、ジムのみならず観客までも彼と恋に落ちそうだ。 愛する男のために脱獄を繰り返す詐欺師の男の実話の映画化。アメリカって、刑務所に入っても自由に電話かけられるし、中でお金も流通しているし、日本ではちょっと考えられないよねえ。他の映画を観た時も思ったけど、刑務所の図書館ってなんであんなに充実しているんだろう? どんな脱獄をするんだろうと思っていたら、電話と文書偽装で表玄関からどうどうと脱獄するんだよねえ。これって、日本の刑務所じゃありえないよな。なんかアメリカって変。 映画の出来としては、普通。でも、人をこんなにも一途に純粋に愛せるって、ちょっといいわーって思っちゃう。 栗3つ。ユナイテッドシネマ豊洲スクリーン6にて。 ジム・キャリーが自ら言っているように、「トゥルーマンショー」と「エターナル・サンシャイン」は、映画史に残る大傑作。ともに5つ栗映画だよ。観てない人は、こっちを観ような。映画の命は、脚本であることを如実に示す名作だ。「トゥルーマンショー」は、アメリカだから成しえる展開、「エターナル・サンシャイン」は、脳味噌を取り出してぐちゃぐちゃにこねてまた頭に中にもどす、それくらいの衝撃があったなあ。ああ、そんな映画が観たいなあ。 |
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2010 03,28 23:59 |
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ボブ・フォッシーの傑作ミュージカル「CHICAGO」を陳腐な映画化で台無しにしたロブ・マーシャル監督の作品だけに、今回も怪しい匂いがプンプン。そしたら、その通り、何この間抜けなミュージカルは?
このボケナス・ロブには、陳腐な振り付けのダンスシーンでまたしても舞台の映画化でなくMTV風な映像化を見せられる。せっかくイタリアにロケしているのに、ミュージカルシーンは、オールセット。まあチネチッタで撮影中というシチュエーションだからかもしれないけど、とにかく振り付けとかカメラワークが陳腐で平凡でつまんねえんだよねえ。脳味噌ツルツルなのか、脳味噌無いのか、この監督は・・・。 ミュージカル映画って何度も観たくなるものなのに、もう途中で帰りたくて、帰りたくて、もうこれ以上ボケナス・ロブには、ミュージカル映画を作ってほしくないなあ。もう吐き気がする。ひどいものを見せられると本当に頭にくるよなあ。 それに、喫煙擁護団体のキャンペーン映画ってほど喫煙、喫煙、喫煙、喫煙。もう煙たーい。 あー、時間の無駄。今年の最低映画の筆頭。退屈極まりない駄作。 豪華なのはキャストだけ。しょぼい内容にしょぼい展開。しょぼすぎ、あー腹立つわー。 ペネロペ・クルスだけすごいわ。この人、スペイン語でスペイン映画出る時と全然違うねえ。女優だなあ。 栗一つ。 ユナイテッドシネマ豊洲スクリーン10にて。 もうブロードウェーに行って、本物のミュージカルを観て口直ししたい。 |
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2010 03,01 23:24 |
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公開時は、あまりヒットしなかったが、その後ジワジワと人気が高まり、今ではカルト的人気を誇る一作になっている。公開当時観られなかったけど、現在開催中の「午前10時の映画祭 何度見てもすごい50本」の特集上映で観てきた。
おいそれはないだろうという設定のタイムスリップ、あまり1910年代の雰囲気も出ていないし、突っ込みどころは満載なれども、この作品の魅力は、もうたまらないほどロマンチックなところだ。一途に人を愛し、運命の恋に燃えるその姿は、なんとも憧れますよねえ。 惜しくも亡くなってしまったクリストファー・リーブとそしてヒロインがジェーン・シーモアだよ、ジェーン・シーモア、ジェーン・シーモア。二人が出会う湖畔のシーンのまあ美しいこと。 ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」も効果的に使われているが、この映画を脚本以上に魅力的にしているのは、ジョン・バリーの音楽 だ。ジョン・バリーは、007の音楽で有名だけど、「野性のエルザ」や「愛と哀しみの果て」など、本来は、叙情的で美しい旋律が持ち味だ。美しいメロ ディーに切ない結末で、女性観客は泣きまくり・・・。 まあ、もうちょっとひねったラストが欲しいところだけど、運命の恋の熱い想いに、観終わった後、誰かに優しくしてあげたくなること受け合いだ。 ジョン・バリーの音楽の美しさに溶けてしまう。 栗4つ。一途っていいわあ。 TOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン4にて。
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2010 02,14 19:25 |
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「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソンの新作。壮大な世界観を持つあの作品と同じものを期待すると相当な肩透かしをくらう。
冗長で散漫で退屈なストーリー展開には途中で辟易。あまりにアイデアの無い凡庸なお話にがっかりする。一人70年代の雰囲気をぶっぱなすスーザン・サランドンがものすごいが、正直浮きまくりだ。ラストもあっけないくらい拍子抜け。 丹波哲郎も笑っちゃうくらいのチープな霊界は、ただ綺麗だねとしか感想がない。CGやマット絵ではなく、オールロケで天国を撮影してほしかった。 とにかくお粗末な脚本に観る価値ない。時間の無駄だ。栗1つ。 あーあ、ものすごくがっかり。こんなことなら早朝寄席に行けばよかった。 丸の内ピカデリー3にて。 |
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2010 01,30 15:44 |
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2010 01,27 23:13 |
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2010 01,24 23:55 |
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話題の映画『アバター』をこちらの記事を 参考にして、川崎の109シネマズのIMAXシアターで観てきた。これを読んだらどうしてもIMAX3Dで鑑賞したくなり、関東地区では、川崎の 109シネマズのみということで出かける。土日の昼間の会は売り切れか、端っこのブロックしか空いていないことが多く、終了時間が23時55分という夜の 回に。
109シネマズ川崎のスクリーン7がIMAX3D対応劇場になっている。しかし、もともと普通のシネコン施設だったのを強引にIMAXに改装した ので、正直、新宿や品川にあったIMAXシアターと比べると窮屈で、また「え、このスクリーンの大きさでIMAXなの?小せぇ」という感じだ。劇場が窮屈 なので小さく感じたせいかもしれないけど。前の人の頭が足元くらいにあった新宿とは違い、ここは前に座高の高い人が座るとスクリーンの一部が欠ける。新宿 や品川がIMAXでなくなってしまったのが、本当に惜しい。もう少し早く『アバター』が作られていたらねえ。 それでも、スクリーンと客席が近い分、画面に飲み込まれるような迫力はあった。3Dは、飛び出して来るという昔の万博ふうのものではなく、どちら かというとものすごい奥行きがあるという感じ。キャメロン監督は、これを上手に使い、崖に沿って急降下する迫力あるシーンを描き出していた。クライマック スの戦闘シーンは、それこそ度肝抜く大迫力だ。 どうせCGなんだろうけど、惑星パンドラの世界は美しく、空中に浮かぶギアナ高地のような風情もいい。 されど、肝心のストーリーは、拍子抜けするほどお粗末。きっとこうなるだろうと思うとその通りに展開していく。『エイリアン2』のような奇想天外 でハラハラドキドキする凝ったシナリオはここにはない。ナヴィ族も、自然を愛し、呪術的で絵に描いたようなステレオタイプ。お決まりの恋、お決まりの攻 撃、お決まりの復讐、ハッピーエンディング、物語に新しい要素は何一ないよーん。 新しい映像表現を思い切り楽しむためにストーリーは簡潔にしたと、キャメロン監督が語ったなどとネットに書かれていたが、あまりに単純な勧善懲悪は、ちょっと退屈だ。意表つく展開も皆無。あと鼓舞するために演説をするアメリカ映画特有のシーンがどうも僕は、苦手だ。 まあ、どうせ観るならできるだけ大きな3D対応スクリーンで、谷底に落ちる感覚を味わうのがよかろう。 栗3つ。 109シネマズ川崎スクリーン7にて。 |
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2010 01,15 23:59 |
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世界的ベストセラー絵本の実写化なんだって。そのもとを知らなかったのだけど、会社の先輩が「うちの子供が大ファンなのよ」と絵本を貸してくれた。映画版 の方は、随分と話を膨らませてある。監督は、大傑作「マルコヴィッチの穴」のスパイク・ジョーンズ。今回は、脚本も彼なんだけど、脚本は、チャーリー・カ ウフマンに頼めたら、もっとすごい作品になっていたのではと思う。
絵本で終始ほのぼとのしているかいじゅうたちとのやり取りは、今作では人間社会の縮図が投影されていて、妬みや嫉妬が蠢いている。自分勝手な少年 がそこで自己を見つめて成長しちゃうってところが、ありきたりでつまらんのだ。で、もしチャーリー・カウフマンの脚本だったら、もっとものすごい展開が期 待できたのになあ。 されど、特筆すべきものはたくさんある。CGに頼らず、「セサミ・ストリート」で有名なジム・ヘンソンのオフィスが制作したかいじゅうたちは、表情豊かで素晴らしい動きを見せる。 砂丘でのシーンの美しさも幻想的。母親役のキャスリーン・キーナーの演技も素晴らしい。 そしてそして、何より、音楽が素晴らしいのぉぉぉぉぉ。もう、曲も詞もアレンジも秀逸。 ただねえ、生意気で情緒不安定な主人公のくそガキは、車に轢かれて死んじゃえって思ったね。こんなのが自分の子供だったら吐き気がしちゃう。 まあ、内容はありきたりだけど、音楽の素晴らしさに★ひとつおまけの栗4つ。 ユナイテッドシネマ豊洲スクリーン10にて。
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2009 12,30 18:46 |
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頑固一徹だけど女好きの森繁久彌が最高にかっこいい。こんな親父がいたらなあと心の底から思うよ。
そして今作では、縦横無尽にパワー炸裂しまくりのフランキー堺が画面を持ってきまくり。団令子とのやりとりも可笑しいし、親父と喧嘩して隣の屋根 に上ったり、工事現場のクレーンに吊るされて宙を舞ったり、度肝抜く場面もたっぷり。破天荒で調子がいいけど憎めないキャラクターがもう最高。 そして、もう一人、やっぱりクロレラ研究家の三木のり平がたまらなく可笑しいよー。 また、よく知っている上野の場所がたくさん出てくるけど、切なくなるほど懐かしいよ。変わりすぎた湯島の風情は、もはや想像するのも難しかったけどね。 ラストの歌のシーンもハッピーで最高に楽しかったなあ。 森繁久彌もフランキー堺も、もうこの世にいないなんて、悲しすぎるよー。 もっと早く生まれてきたかったよ。 彼らがいない日本映画界は、寂しすぎる。 とんかつが無くなったら死んでしまいたい、と森繁が歌う主題歌も最高! 栗4つ。 銀座シネパトス2にて。 |
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