2019 03,08 21:55 |
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足の悪い兄は、リストラされ生きていくために自閉症の妹に売春を斡旋する。生きていくために愛する者に売春させるというのは、古くは古典落語の「お直し」があったり、映画にも珠玉の傑作「津軽じょんがら節」や韓国映画のこれまた傑作「悪い男」などこれまでもあったことはあった。 今作は、前半貧困と障害の社会問題のように見せながら、徐々に妹の凄まじい自我・愛・優しさの目覚めを強烈な印象で叩きつける。妹役の和田光沙の演技は、圧巻、驚愕、感嘆、呆然! なんともやるせなく、切ない想いを一瞬で表現するラストも秀逸。 うーん、邦画は、今年これを超えるの無さそうな予感。栗4つ。 ヒューマントラストシネマ有楽町にて。 |
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2019 02,22 22:20 |
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2019 02,15 19:34 |
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いろんなところで絶賛されていたので観に行った。 曇天で荒涼とした大地は苛酷でありながらも美しい。極寒の羊の出産作業の労働の中で生まれるラブ・ストーリーは、寒さといろんな匂いがプンプンしてくる。この演出はすごい。 病気で何もできないのに厳しく息子を叱責する父、人手不足で存続が難しくなってきている稼業、そこにやってくる移民、それをよく思わない土地の人など現代の社会問題も散りばめられている。
主人公とルーマニア移民のゲオルゲとの恋愛よりも、主人公と父親との葛藤と許しがなんとも切なく感動的。 しかし、あんなにも心優しいゲオルゲが、こんなクソ野郎の主人公を好きになるのだろうか。そこがなんとも腑に落ちないのだけど、人が人を好きになる理由は言葉ではいい表せないからねえ。 それにしても、ゲオルゲの優しさにだんだんとこのクソ野郎の主人公が変わっていくのだけど、人間とは結局のところすぐには変われないというラストがまた余韻を残す。 栗4つ。シネマート新宿にて。 |
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2019 02,08 19:38 |
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年末にNHKで何気なくテレビ版というのを見はじめたら、途中で終わった感ありありで、続きと結末が気になったので劇場へ。途中まではテレビと全く同じ、あのテレビは何だったの?予告編?吹き替えだったし。
そして、テレビの続きは、ふううんという感じ。展開と結末は、予想通りで何の衝撃もなかった。むしろ、終わり方は謎のままのテレビ版の方が好きかも。こんな予想通りの展開であったのであれば。 しかし、主人公の男優の演技は人生への冷めたかつ諦めた感の中にそこはかとない希望があって良い感じだった。共演の男優、どこかで見たことあるなと思ったら「ウォーキング・デッド」のグレンじゃないかあ。全く違う役柄で面白かった。 この手の雰囲気の映画は、70年代の邦画にくさるほどあって、むしろ懐かしさでいっぱいになった。 栗3つ。TOHOシネマズ・シャンテ スクリーン1にて。 |
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2019 02,01 19:47 |
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2018 12,24 21:32 |
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A Star is Bornの4度目の映画化。もともとは映画業界の話だが、3度目の映画化のバーブラ・ストライザンドとクリス・クリストファーソン版で音楽業界に設定を変更し、今回も基本それを踏襲している。
それにしても何故今更この話をリメイク?あまりに使い古されたお決まりの展開に退屈だったなあ。レディー・ガガが主演だから、何か奇抜でぶっとんだ展開とか期待していたのに、普通じゃん。恐ろしく普通の展開じゃん。レディー・ガガが普通の女になってんじゃん。 むしろ、バーブラとクリス版の方がよっぽどぶっとんでた。(笑) あまりに地味で普通で驚いた。栗2つ。 もうリメイクはいいから、何か新しいものが観たいなあ。 TOHOシネマズ日比谷 スクリーン1にて。 |
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2018 12,14 21:51 |
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はなから観客を呼ぶことを放棄しているんじゃないと思う邦題だが、映画を観るとその通りだ。(笑)
原題の「FAR FROM THE TREE」がThe apple doesn't fall far from the tree.という諺に由来していることが分からないと原題のニュアンスを伝えるのは難しい。 それはさておき、この映画は本年必見のドキュメンタリーだ。 正直この邦題では観る気は、さらさら無かったが、知人が「絶対観て!」と薦めるので観に行った。本当に素晴らしい内容。親の期待とは違った形で生まれてきた子供との関係の記録だ。親と子、それぞれの当事者の苦悩より、その関係性にフォーカスされた興味深いドキュメンタリーだった。 拒絶と寛容、絶望と希望、悲しみと愛情の葛藤が見事に映し出されている。ひとつひとつが人生であり、家族の形であり、幸せの形だ。 いろんな形が登場するが、個人的には、自閉症の子がアルファベットを一文字一文字綴って自分の思いを言葉として発し、他人とコミュニケーションができた時の表情が印象的だった。 登場する家族の背景には、もっと壮絶な苦悩と葛藤があったと思えるが、今の幸せの姿を見ているととても清々しい思いになる。 人間っていいなと思わせてくれる珠玉の一作。 栗4つ。新宿武蔵野館にて。 |
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2018 12,01 21:58 |
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話題の「ボヘミアン・ラプソディ」を観てきた。奇しくも今日は、世界エイズデー。
役者の外見を似せることにはずいぶん注力されていたが、肝心の映画の出来は平凡だった。ありきたりの展開、陳腐なストーリーはかなりがっかりだ。ザンジバルから逃げるようにロンドンに来た一家、フレディーとクイーンのメンバー、フレディーとメアリー、ポール、ジムとの確執と葛藤は、もっと重厚なドラマにできたはず。薄っぺらい感情表現と人物への洞察は、そもそも脚本がひどいのか演出が悪いのか、とにかく退屈で物足りない。 それでもクィーンの素晴らしい音楽は圧巻で、音楽が始まれば心躍る。収録されている楽曲以外にも大好きな曲がたくさんあり、本当にすごいバンドだったよねえ。あの曲もこの曲も大音響で聴きたいと思った。スマホでクイーンの曲を聴きながら帰った。 これほどまでにすごいバンド、これほどまでに波乱万丈な人生の物語がこんなにも陳腐な作品になってしまうのは、とってももったいないと感じた。 栗3つ。 TOHOシネマズ日比谷 スクリーン5にて。 |
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2018 10,25 22:33 |
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この映画は、何十回観ただろう? スクリーンにかかる度に映画館、名画座、映画祭、学園祭などとにかく上映される度に観に行っている。テレビ、ビデオ、DVDなど自宅でも何度も何度も観ている。それなのに全く飽きないし、それどころか毎回引き込まれてしまう。何かものすごい力を持った映画であることは間違いない。
先日の国立映画アーカイブでの70mm版は、見逃しちゃったけど、続くIMAX上映で鑑賞。映画を大音響と巨大なスクリーンで観られるという喜びを満喫してきた。映像と音楽に包みこまれる、やはり素晴らしい体験だった。 最近、IMAX上映可能なシネコンが増えているんだけど、どこもスタジアム形式でスクリーンが下方にあるのでとても見難い。新宿のテアトルタイムズスクエアは、IMAX専用で上方にスクリーンがあったのでとっても観やすかったのだけど、残念ながら閉館してしまい、今、一番観やすいのは、品川のT・ジョイ PRINCE 品川だと思う。ここももともとIMAX専用劇場で、とっても観やすい。IMAXならここのスクリーンがお薦めだなあ。 オープニングのタイトルクレジットと『ツァラトゥストラはかく語りき』でもう鳥肌もの。何度観てもゾクゾクする。台詞も諳んじてしまうほど内容を知っているのに、どうしてここまで夢中にさせられるんだろう。キューブリックの映画には、本当に圧倒される。巨大スクリーンでこの映画を体験できる機会は、またあるだろうか。ぜひ定期的にお願いしたいものだ。 映画という芸術が到達した一つの頂点。栗5つ。 T・ジョイ PRINCE 品川 スクリーン11にて。 |
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2018 09,05 17:42 |
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「なぜ、この土地では、少女ばかりが殺されるのか」というキャッチフレーズは、肩透かしだが、映像、演技ともに見応えある作品。このキャッチだと何かものすごい謎が潜んでいそうな印象を受けるが、謎解きなどはなくかなりオーソドックスな展開と結末で驚きはない。
辛い過去を持ち内に秘めたる寡黙な男を演じるジェレミー・レナーは良いねえ。共演陣の演技も良く、それだけで物語に引き込まれる。 犯人も結末も予想通りの展開で度肝抜かれることもなければ、どんでん返しもなく淡々としている。むしろアメリカ先住民の扱いがいまだにこうなの?とそちらが驚きだ。 白銀の世界ならではの映像と閉塞感による特殊な環境の雰囲気はとってもよく出ている。 栗4つ。角川シネマ有楽町にて。 |
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